コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

オピニオン

中国グリーン金融月報【2021年10月号】

2021年11月09日 王婷


「中国グリーン金融月報」10月号をお届けします。

1.今月のトピックス
 中国共産党中央委員会と国務院は10月24日、「新発展理念を完全かつ正しく全面貫徹し、炭素排出ピークアウト・カーボンニュートラルを成し遂げる取り組みに関する意見」(以下「意見」という)を発表した。
 意見では、炭素排出ピークアウトとカーボンニュートラルという目標の実現を明確にし、①クリーンで低炭素かつ循環型の経済体系の構築、②エネルギー効率の向上、③非化石エネルギーの消費割合の向上、④二酸化炭素の排出量の削減、⑤生態系の炭素吸収能力の向上を5つの主要目標としている。
 重要任務も明確にした。第一に経済社会発展の全面的なグリーン転換を促進、第二に産業構造を大幅に調整、第三にクリーン・低炭素・安全・効率的なエネルギーシステムの構築を加速、第四に低炭素交通システムの構築を加速、第五に都市と農村開発におけるグリーン・低炭素側面の質的向上、第六にグリーンと低炭素の主要な科学技術の研究推進、応用強化、第七に炭素吸収源の能力を継続的に強化、第八にグリーンと低炭素の開発に関して対外開放レベルを向上、第九に法規制、基準、統計モニタリングシステムを改善、第十に政策メカニズムを改善、である。
 さらに、炭素排出ピークアウトとカーボンニュートラルに対する党中央委員会の統一的指導と調整を強調し、地方の責任を明確に、厳しく監督・評価すると明記した。
2021-10-25 新華社
http://www.gov.cn/xinwen/2021-10/25/content_5644687.htm
コメント:「意見」の全文は、http://www.gov.cn/zhengce/2021-10/24/content_5644613.htmに掲載されている。
 排出ピークアウトとカーボンニュートラルの実現に向け、中国政府は「1+N政策体系」の策定に取り組んでいる。上記「意見」は「1」にあたるもので、今後排出ピークアウトとカーボンニュートラルへの取り組みを指導する基本方針と位置付けられている。「意見」の公表を受け、国務院も10月26日に「2030年までのピークアウト行動プラン」を公表した。この二つの政策は、炭素排出ピークアウトとカーボンニュートラルの実現における最も重要な政策となる。「N」には、エネルギー、産業、交通、都市・農村建設などのサブセクターの実施計画のほか、科学技術支援、エネルギー安全保障、カーボンシンク能力、金融・価格政策、標準測定システム、検査・評価などが含まれる。随時公表される予定。
 「意見」では、2025、2030、2060年の数字目標を明確にした。2025年までには、GDP当たりエネルギー消費量は2020年比13.5%減、GDP当たり二酸化炭素排出量は2020年比18%減、非化石エネルギー消費量の割合は約20%とし、森林被覆率は24.1%、森林蓄積量は180億立方メートルに達する目標にした。2030年までに、GDPあたりの二酸化炭素排出量は2005年対比65%以上減少、非化石エネルギー消費量の割合は約25%に達し、風力・太陽光発電の総設備容量は12億キロワット以上に達するとされた。森林被覆率は約25%に達し、森林蓄積量は190億立方メートルに達するとの目標も入った。2060年までに、非化石エネルギー消費の割合80%以上を達成し、カーボンニュートラルの目標に到達する。
 さらに、「意見」では、政策メカニズムにおいて、「グリーン金融を積極的に発展させる」との節を設け、グリーン低炭素金融商品とサービス開発、炭素削減のための金融政策スキーム構築、国家低炭素移行基金の設立検討などの施策が盛り込まれた。また、「財政および税体系を改善する」という節を設け、炭素関連税の研究、再生可能エネルギーの大規模開発を促進するための価格メカニズム構築などを盛り込んだ。


2.今月のニュース
(1)-① 中央政府・グリーン金融
【中国人民銀行】易綱行長、オンラインで第一回EU持続可能な投資サミットに出席
 10月7日、欧州委員会は「共同未来へ投資、持続的な発展を実現」をテーマに、第1回EU持続可能な投資サミットをオンラ インで開催した。会議には、EU及び各国の首脳、中央銀行や財務省のトップ、国際機関のトップ、主要企業や金融機関の代表者が参加した。中国人民銀行行長である易綱氏も出席した。
 会議では、持続可能な金融市場の発展と政策措置、持続可能な投資のための優先分野、より魅力的な投資対象となる技術やプロジェクト、マルチチャネル・ファイナンスの動員などのテーマが取り上げられた。
 易綱氏は、人民銀行とEU関連部門が主導した中国-欧州グリーン分類基準策定の進捗状況、人民銀行が金融機関に対して行う気候・環境情報の開示の指導、炭素排出削減支援スキームの立ち上げの状況などを説明した。
2021-10-13 中国人民銀行ホームページ
http://www.pbc.gov.cn/goutongjiaoliu/113456/113469/4360050/index.html

【中国人民銀行】「炭素排出削減支援スキーム」の構築を推進
 中国人民銀行金融政策部の孫国峰司長は、10月15日に行われた第3四半期の金融統計に関する記者会見で、「中国人民銀行は現在、二酸化炭素排出削減支援スキームの構築を進めている」と述べた。
 人民銀行は、低金利の資金を提供し、金融機関が炭素排出削減効果の大きいプロジェクトに対して優遇金利での融資の提供を支援する。支援分野としては、「炭素排出削減支援スキーム」が対象とする「クリーンエネルギー」「省エネ・環境保護」「炭素排出削減技術」に限定する。支援方法について、金融機関が自ら判断し、自らリスクを背負い、重点分野の企業に融資を行った後、人民銀行に炭素排出削減支援スキームの資金支援を申請し、人民銀行の要求に応じ炭素排出削減関連情報を開示するという手法を採用する。
2021-10-15 中国証券報-中証網
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1713682919911381536&wfr=spider&for=pc

【中央政府】米中欧炭素価格会議:気候変動とエネルギー危機に対処するためのグローバル・リーダーシップの強化
 中国・米国・欧州炭素価格会議が開催された。第26回国連気候変動会議(COP26)においてグローバル炭素価格メカニズムを推進させようと、国際金融フォーラム(IFF)、欧州炭素価格ワーキンググループ、米国ポールソン財団が共同で「中米欧炭素価格会議ワークショップ」第二回会合を先週、オンラインで開催した(第1回は今年7月に開催)。非公開の会議として行われ、中国、EU、米国から40名以上の高官、政策担当者、学者が参加した。このほか、国際通貨基金(IMF)や国際エネルギー機関(IEA)の代表者も参加した。
 会合は3つのセッションで構成された。まず、世界の炭素排出量の増加を抑制する緊急性に焦点が当てられ討議が行われた。次に、世界の温室効果ガスの排出傾向を逆転させるための5つの重要なメカニズムについて検討した。5つのメカニズムとは、①EUのカーボン・ボーダー・メカニズム、 ②セメント産業の脱炭素化、③炭素回収・貯留(CCS)技術の導入、④メタン(もう一つの主要な温室効果ガス)の排出量を削減する方法、⑤重要な代替クリーンエネルギー源としての原子力発電の推進、である。エネルギー転換期における再分配効果に起因する社会問題を議論し、そのような問題に効果的に対処するために必要な行動を検討した。最後に、地球規模の気候変動に対処し、グローバルリーダーシップを強化するアクションの実施について論評がなされた。
2021-10-23 中央財経大学グリーン金融国際研究院ホームページ
http://iigf.cufe.edu.cn/info/1019/4181.htm

【国家開発銀行】 グリーン気候基金とMOUを締結
 此度、国家開発銀行はグリーン気候基金(Green Climate Fund:GCF)と新しい協力覚書(MOU)を締結した。双方のこれまでの良好な協力関係をベースに、3060目標達成にさらに注力し、多国間協力のレベルを高めることを盛り込んだ。さらに、グリーン金融分野でそれぞれの優位性と経験を活かし、気候変動プロジェクト開発、グリーンインフラプロジェクトのための構造的ソリューション、気候変動投資基準、プロジェクトの影響評価などの分野でキャパシティビルディングと交流を共同で実施し、途上国における気候変動の緩和と適応の分野での協力の機会を模索していくとした。
2021-10-25 国家開発銀行
https://www.china-cba.net/Index/show/catid/34/id/40087.html

【国家能源局】中国工商銀行と戦略的協力協定を締結
 10月25日、国家エネルギー局と中国工商銀行は戦略的協力協定を締結した。国家エネルギー局と中国工商銀行は政府と銀行の協力関係をさらに深め、グリーンエネルギーの発展を支援し、炭素排出ピークアウトやカーボンニュートラルを推進するための効果的な道筋を共同で模索していく方針を明らかにした。今後5年間で、中国工商銀行はエネルギー分野に3兆元の融資支援を行う予定。
2021-10-27 国家能源局
https://www.ndrc.gov.cn/fzggw/wld/zjh/ldtd/202110/t20211027_1301026.html?code=&state=123

(1)-② 中央政府・「3060目標」、その他
【中央政府】生物多様性条約第15回締約国会議リーダーズサミットにおける習近平氏の基調講演
 習近平国家主席は12日、生物多様性条約第15回締約国会議首脳サミットにテレビ会議の形式で出席し、基調演説を行った。以下、一部内容を抜粋する。
 「中国は率先して15億元を出資し、途上国の生物多様性保全のための『昆明生物多様性基金』を設立する。中国はすべての締約国にこの基金への貢献を呼びかけ、歓迎する」
 「生物多様性の保全を強化するために、中国は国立公園を中心とした自然保護区制度の構築を加速させ、最も重要な自然生態系、最もユニークな自然景観、最も優れた自然遺産、最も豊かな生物多様性を有する地域を徐々に国立公園制度に組み入れる。三江源、ジャイアントパンダ生息地、シベリアトラとヒョウ生息地、海南熱帯雨林、武夷山などの最初の国立公園を正式に設立した。面積は23万平方キロメートルで、陸地の30%近くを占めており、国家の重要な野生生物の保護に努めることになる」
 「炭素排出ピークアウトとカーボンニュートラルの達成を促進するために、中国は主要分野や産業における実行計画や一連の支援・保証措置を策定し、炭素排出ピークアウトとカーボンニュートラル達成のための「1+N」政策システムを構築する」
 「再生可能エネルギーの意欲的な開発では、ゴビ砂漠において大規模な風力発電、太陽光発電基地プロジェクトの計画と建設を加速させ、フェーズ1の約1億キロワットの設置容量分にこのほど着工した」
2021-10-12 新華社
http://www.gov.cn/xinwen/2021-10/12/content_5642048.htm

【中央政府】「昆明宣言」でエコロジーアジェンダを推進する重要な一歩を踏み出す
 国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)は、13日に中国・昆明で閉幕し、「昆明宣言」を採択した。
 「昆明宣言」では、「2020年以降の世界的な生物多様性枠組み」の構築、採択、実施を確実にするために、17の具体的な約束を盛り込んだ。また、2020年以降の生物多様性枠組みの目標として、2030年までに生物多様性の損失を回復することを約束した。遅くとも2030年までには、生物多様性回復を道筋に乗せ、2050年までには「人々が自然と調和して暮らす」というビジョンを完全に実現する、とした。
 国連は「2020年の生物多様性枠組みが2022年の正式な交渉を経て採択される。『昆明宣言』がこれらの交渉に明確な政治的方向性を与えるものになること」を指摘した。
2021-10-14 中国新闻網
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1713045213976510984&wfr=spider&for=pc

(2)-① 地方政府・グリーン金融
【香港】「香港気候行動ビジョン2050」が発表され、今後15~20年で2400億香港ドルを投資
 香港政府は8日に「香港気候行動ビジョン2050」を発表した。「ゼロカーボン・エミッション、グリーン・住みやすい、サステナブル・デベロップメント」というビジョンのもと、香港の気候変動対策とカーボン・ニュートラル実現のための戦略と目標を掲げ、今後15年から20年の間に2,400億香港ドルの投資を行う計画とした。
 ビジョンでは2035年までに日常の発電に石炭を使用しないこと、発電用燃料に占める再生可能エネルギーの割合を7.5%から10%、15%と段階的に引き上げること、長期的には2050年までに発電量のネット・ゼロを達成するために、再生可能エネルギーの利用に関し近隣諸国との協力関係を強化することなどの目標を掲げている。2050年以前までに2015年と比較して、商業ビルの電力消費量を30%~40%削減、住宅の電力消費量を20%~30%削減するとし、2035年までにはそれら目標の半分を達成するとした。
2021-10-8 中国新闻網
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1713045213976510984&wfr=spider&for=pc

【上海市】グローバル・グリーン金融ハブへの発展を加速するため、24つの措置を始動
 10月19日、上海市政府は「炭素排出ピークアウトとカーボンニュートラルの目標を達成するために、国際的なグリーン金融ハブの構築を加速させる実施意見」を発表した。同意見によると、上海は2025年までに国際的な影響力を持つカーボン取引と価格設定のためのイノベーションセンターを構築し、国際的なグリーン金融ハブとしての地位を確立することを明確にした。
 「意見」では、①グリーン金融市場システムの構築強化、②グリーン金融商品の革新、③グリーン金融組織体系の健全化、④グリーン金融保障体系の強化、⑤低炭素産業への転換と技術革新のための金融支援の強化、⑥グリーン金融の国際協力の深化、⑦グリーン金融の発展に有利な環境の整備など、7つの分野の24の措置を通じて、炭素排出ピークアウト及びカーボンニュートラルの目標達成を支援するという。グリーン金融市場システムの構築を強化する面に関しては、「意見」ではカーボン金融市場の発展に言及、金融市場と炭素排出取引市場との協力と連携を促進する。炭素金融市場の活性化のために、炭素排出権の質権、炭素の買戻し、炭素基金、炭素信託などの炭素金融サービスを発展させるという。
 グリーン金融商品のイノベーションについては、グリーンプロジェクトへの融資支援を強化し、グリーンボンドを積極的に発展させ、グリーンボンドプロジェクトバンクの設立、グリーン株価指数、グリーンボンド指数、ESG、炭素価格関連指数の開発を支援し、グリーン指数に基づくインデックスファンド(ETF)などの商品を投入することを明確にした。
図
2021-10-20 中央財経大学グリーン金融国際研究院
http://iigf.cufe.edu.cn/info/1020/4149.htm

(2)-② 地方政府・「3060目標」、その他
【北京市】発展改革委員会:水素エネルギー、太陽光発電など9つのグリーン革新技術の開発に力を入れる
 10月11日、北京市発展改革委員会は、新たに発表した「グリーン技術革新支援政策2.0版」において、①風力発電、②水素エネルギー、③新エネルギー自動車、④低電力半導体・通信、⑤太陽光発電、⑥炭素回収・利用・貯蔵、⑦ゼロエネルギーの建物、⑧資源リサイクル、➈低炭素住宅の9つのグリーン技術革新の重点分野を明らかにした。プラスチック汚染対策についても、分解可能なプラスチック技術の研究と転換を強化し、関連イノベーション成果の転換を支援し、推進を強化する施策をとるという。
 グリーン技術の実証・応用の支援について、推奨目録に掲載されている技術を用いて実証事業を行う場合、一部を市の省エネ・排出削減特別基金から資金援助を行う。補助基準は原則プロジェクトの総投資額の30%を超えず、1つのプロジェクトに対する補助金の上限は1,000万元未満とする。
 グリーン技術革新への投融資の支援について、銀行やその他の金融機関が革新的なグリーン技術の実証・応用プロジェクトに対し融資のためのグリーンチャンネルを設置するよう指導に加え、「京緑通」などの金融政策ツールの導入の検討、革新的なグリーン技術を持つ企業がグリーンボンドの発行を支援すること、グリーン技術イノベーション投資ファンドに民間資金の導入の調査検討、保険会社の商品との組み合わせの奨励などを上げた。
2021-10-12 智通財経網
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1713369286582630431&wfr=spider&for=pc

(3) 業界・金融機関
【清華大学・カリフォルニア州】炭素市場に関する共同研究が開始

 9月29日、「中国・カリフォルニア州炭素市場共同研究プロジェクト」の立ち上げ式がオンラインで行われた。中国気候変動国家専門家委員会の何建坤主任やカリフォルニア州中国気候研究所のMary Nickels所長など、米中双方の専門家が参加した。
 中国・カリフォルニア州炭素市場共同研究プロジェクトは、中国国家革新発展戦略研究所と米国ボキュレー研究所の支援のもと、清華大学気候変動・持続可能開発研究所、清華大学エネルギー・環境経済研究所と、カリフォルニア大学ロサンゼルス校カリフォルニア気候変動研究所と気候変動・環境研究所とが共同研究を行い、炭素市場の改善を図るものである。この研究は中国とカリフォルニア州の炭素市場の運営の効率性と有効性を向上させ、世界の炭素市場の発展と気候変動対策における中国と米国の交流と協力を促進することを目的とする。
2021-9-30 中国報道
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1712314336994623281&wfr=spider&for=pc

【中国銀行】グローバル金融機関での初の生物多様性グリーンボンドを発行
 9月29日、中国銀行は金融機関による世界初の生物多様性をテーマにしたグリーンボンド(18億元相当)を発行した。
 今回の発行は人民元とマカオパタカの2種類の通貨建てで、それぞれ10億人民元と10億マカオパタカの2年満期となっており、国内の地域生態系構築の実証、山岳部の生態系回復、生態系水ネットワーク、国家保護林、低品質・低効率森林の改修など、生物多様性保全の効果がある多数のプロジェクトに対応する資金を調達する。
 また、中国銀行は3億米ドルのグリーンボンド(3年間満期)を同時に発行した。この債券はオーストラリアにおける中国の現地機関が発行する初のグリーンボンドで、オーストラリアにおける風力発電、太陽光発電、グリーンビルディングなどのグリーンプロジェクトを支援するための資金を調達する。
2021-9-30 中国銀行
https://www.boc.cn/aboutboc/bi1/202109/t20210930_20119935.html

【CPAオーストラリア】中国本土でESG人材の需要が急増
 10月11日に、世界最大級の会計専門機関であるCPAオーストラリアがまとめた「環境持続可能な発展に関する調査」が発表された。調査結果によると、中国本土では今後5年間で環境・社会・ガバナンス(ESG)分野の人材に対する需要が急増するという。
 今回の調査には中華圏のさまざまな業界から400名以上の経理・財務担当者が回答した(回答者のうち139名は中国本土からの参加者)。調査結果によると、中国本土で調査に回答した会計・財務の専門家の88%が、今後5年間でESG人材の需要が増加すると予想しており、74%の回答者が、温室効果ガスの排出量をゼロにするとの公約を達成するために、会計士が重要な役割を果たすと考えるというものであった。また、ESGに関する専門知識やスキルに対する需要が非常に高いことも明らかになった。中国本土の回答者の89%は、今後1年間にESG関連のトレーニングコースに参加して専門的なスキルを高めたいと考えているという。
2021-10-11 新尧網房産
https://www.sohu.com/a/494394823_100196112

【中国東方航空】中国初フルライフサイクル・カーボンニュートラルフライトを実施
 中国初のライフサイクル・カーボンニュートラル・フライトとして、10月12日に中国東方航空MU5103便が「上海虹橋-北京首都」を就航した。10月12日から12月10日まで、中国東方航空は国内13路線で780便のライフサイクル・カーボンニュートラルフライトを運航し、100万キロ以上のグリーンフライトを達成すると計画している。
 乗客は取り組みに参加でき、100マイルを使って、森林再生や再生可能エネルギー発電などのプロジェクトを支援することで、飛行中に発生した二酸化炭素排出量を相殺することができる。
 東方航空のカーボンニュートラルフライトの炭素クレジットは、中国認証自主排出量(CCER)から購入する。CCERは、主に江西風林炭素吸収源植林プロジェクト、漢能海南州太陽光発電会社の50MW太陽光発電プロジェクト、南京金陵天然ガス複合サイクル発電プロジェクトを原資とする。乗客が寄付したマイルは遠隔地の農林業プランティングの開発や、低炭素グリーンエネルギーの開発、地方の活性化に活用される。
 また、MU5103便は「プラスチック削減」の取り組みを行った。機内食に使用するナイフ、フォーク、スプーン、つまようじの4点セットは分解性CPLA(ポリ乳酸樹脂)製を採用した。
2021-10-12 中新網
https://m.gmw.cn/baijia/2021-10/12/1302636895.html

【招商銀行】環境開示報告書を発表:環境・気候関連のリスクは銀行業界への課題に
 招商銀行は10月14日、環境情報開示報告書を発表した。「深圳経済特区グリーン金融条例」が施行してから、環境情報報告書を開示する初の法人銀行である。
 気候リスクのストレステストに関しては、テーマ別に気候変動リスクの定量的な分析を行っている。ストレステストは最長10年間を対象とし、炭素排出ピークアウト及びカーボンニュートラルが当該銀行の高汚染産業向け融資に与える短期、中期、長期の影響を検討する。対象となる産業は火力発電、鉄鋼、電解アルミニウムなどの高汚染産業の代表的な企業14社である。
 投資融資活動のカーボンフットプリントの測定方法については、2020年に発表された「グローバル金融業界温室ガス計算と報告標準」と2017年に気候関連財務開示タスクフォース(TCFD)が発表した「気候関連財務開示の実施に関する勧告」を参照し、融資の二酸化炭素排出量を定量化することを実施して、ローンのフットプリントの計算を行う。
 招商銀行の投融資活動におけるカーボンフットプリントの開示は火力発電やセメントなどの高炭素部門に属する計55の融資先に焦点を当てている。
2021-10-14  21世纪経済報道
http://bank.hexun.com/2021-10-14/204519252.html

【中央財経大学グリーン金融国際研究院】「気候投融資プロジェクトの分類に関するガイドライン」の解釈について
 2021年10月、中国技術経済学会は中国環境科学学会気候投資・融資専門委員会が提案した団体標準である「気候投資・融資プロジェクトの分類ガイド」(T/CSTE 0061-2021)を発表した。
 「ガイドライン」は中国環境科学学会の気候投資と金融に関する専門委員会によって提出された。また、中国人民銀行、中国銀行・保険監督管理委員会、国家発展改革委員会、財政部、その他の国家省庁の関連部門局からも支援を得ている。
 「ガイドライン」は独自に策定した団体標準で、気候投資融資プロジェクトの範囲、用語や定義、分類基準などについて規定を設けており、全国での気候投資融資の発展を促進するための重要な参考資料となる。
 「ガイドライン」と「グリーンボンド支援プロジェクト目録(2021年版)」とは、気候変動緩和の分野において多くの共通点がある。例えば、再エネ関連機器の製造・建設・運用、産業の低炭素化・エネルギー効率化、低炭素輸送施設・支援施設の建設・運用、建設産業の低炭素化・低炭素建築物の建設などが双方に該当する。
 気候変動適応の分野に関して、「目録(2021年版)」は、「ガイドライン」のように気候適応を独立したカテゴリーを明示していない。「ガイド」では、主に気候変動に特化した防災・緩和システムが追加されており、予測や統合的な早期警報、異常気象の準備、緊急対応計画などが含まれている。一方、「目録(2021年版)」では、環境緊急管理計画や地質ハザード評価の準備を重視する。また、「ガイドライン」では、送電・変電設備の耐風・耐圧・耐霜の改修など、気候変動に対処するための対象措置を含むエネルギー設備の適応能力強化や、人々の健康分野の適応能力強化を明記した。
2021-10-20 中央財経大学グリーン金融国際研究院ホームページ
http://iigf.cufe.edu.cn/info/1012/4118.htm

【春華資本】6億米ドル超を遠景科技に投資、カーボンニュートラル分野最大の投資
 春華資本は、遠景科技集団傘下の遠景能源と遠景動力に対し、6億米ドル超の独占的戦略投資を行うことを発表した。
 遠景科技集団は、2007年に風力発電事業者として起業し、現在、スマートな風力・光・蓄電のグリーンエネルギーの全産業バリューチェーンにソリューションを提供する企業となった。
 遠景科技集団は、2022年末までにグローバルな事業活動においてカーボンニュートラルを達成し、2028年末までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラルを達成すると宣言した。2021年前半、遠景科技は風力発電の受注量で最大のサプライヤーとなった。
 2010年に設立された春華資本は設立当初から交通分野や新エネ車分野に注目し、哈罗出行、小鵬汽車などに投資し、モビリティや新エネ車に注力する投資基金である。
2021-10-23 科創版日報
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1714329939945172396

【世界資源研究所】生物多様性金融パートナーシップが北京で発足
 10月25日、北京で「生物多様性金融パートナーシップ・グローバル・イニシアティブ」が発足した。パートナーシップ・プラットフォームを活用して、キャパシティビルディング、知識やデータの共有、資源の交換などの具体的なアクションを通じて、生物多様性保全目標の達成を加速する狙いである。
 世界資源研究所は金融機関、民間企業、学術機関、その他のステークホルダーを結集し、生物多様性保全のための資金不足を解消するとともに、世界の生物多様性に金融機関がより積極的に参加することを目的とした「生物多様性金融パートナーシップ(PBF)」を世界のパートナーと共同で立ち上げた。PBFは金融機関や学術機関、その他のステークホルダーと力を合わせて、生物多様性保全のための資金不足を解消し、グローバルな生物多様性ガバナンスへの金融機関のより積極的な参加を促進し、自然保護や気候変動への資本投資を向上させることを目的としている。2021年10月22日までに、13の共同スポンサーに加えて、32の金融機関、環境団体、国際機関、研究機関、企業がメンバーやキーサポーターとして参加した。
2021-10-25 光明網
https://m.gmw.cn/baijia/2021-10/26/35262067.html

【中国保険資産管理協会】責任投資専門委員会が設立
 先頃、中国保険資産管理協会責任投資専門委員会が正式に設立した。第1回目の専門委員会は、ESG分野で国内外の豊富な経験と影響力を持つ44名の市場専門家、学者、機関代表者で構成された。中国人寿保険資産管理有限公司副社長の曹偉欽が会長を務め、保険資産管理会社、保険グループ、証券会社、協会などの専門家9名が副会長を務める。
 専門委員会は、以下の4つの面から、業界のESG投資の発展を推進する。
 第一に規制当局と協力して保険資産運用業界のESG投資ガイドラインを早急に完成させ、業界のグリーン転換と持続可能な発展を支援、第二に国内外の先進的なESG経験の交流を強化し、業界のより良い学習・交流プラットフォームを構築、第三に業界の自主規制管理を強化し、情報開示メカニズムの構築を加速し、関連標準体系の形成を促進、第四に業界の実践を継続的に整理し、広報・宣伝活動を強化し、責任投資の深化を総合的に推進するという。
2021-10-31 上海証券報
https://finance.eastmoney.com/a/202110302163567244.html


3. 王の視点
 中国、3060目標の実現と経済発展のジレンマ

2020年は中国のカーボンニュートラルの「元年」ともいわれています。数十の国と地域がカーボンニュートラル目標を提示し、欧米諸国が新型コロナ感染からの回復の施策として、「グリーン回復」、「グリーン発展」を掲げました。世界中で「グリーン」一辺倒の勢いだったといっても過言ではないでしょう。
 一方、2021年になってから、グリーンから遠ざかった方向に進む傾向も見てとれます。新型コロナウイルスの感染状況が緩和したことで、エネルギー需要が高まりました。4月以後、天然ガスや石炭価格が大幅に上昇、世界的にCO2の排出量が2020対比大幅に増加したと報道されています。
 中国でも同じことが発生しています。代表的なのは、9月に全国で広がった「計画停電」です。夏ごろから南の広東省や重慶などで計画停電があり、9月になり、浙江省や広西省、雲南省、東北地域、山東省など多数の省に広がるようになりました。「電力不足」再来かといわれるほど、大問題となりました。その背景には3つ原因が考えられます。
 1点目は、経済活動が回復することで、予想よりエネルギー需要が大きくなり対応しきれなかったためです。特に中国は他国に比べ新型コロナウイルス感染症による経済停滞からの回復が早く、他国での生産が中国にシフトするようになり、エネルギー需要が予想より増加したのです。
 2点目は、石炭価格の上昇で、発電会社は発電すればするほど損失を余儀なくされ、発電するインセンティブはなくなったためです。
 3点目は、政府が掲げる「第14次五カ年計画中に省エネ率13.5%」との目標を実現するためです。政府より割り振られた省エネ率目標は、2021年上期では必ずしも進捗しなかったことから、12月の評価までに何とか目標を達成すべく、9月より計画停電に踏み切ったのです。

 10月以後、政府は石炭の増産、海外からの石炭輸入の増加など緊急措置に踏み切りました。また火力発電の売電価格を上げる措置をとり、計画停電の状況が徐々に落ち着くようになりました。
 今回の計画停電について、多くの工場では経済的な損失生じたものの、グリーン電力の購入や省エネ、再エネの導入に一層取り組むべきだと認識が広がりました。一般市民からは、政府のエネルギー多消費、炭素多排出の産業を転換させることについて、理解する声が広がりました。
 中国のエネルギー分野の専門家は、「脱炭素、カーボンニュートラル実現に向けて動くとしても、エネルギー安全保障の観点からいうと、いきなり石炭を無くすことはできない。再エネを中心とした新エネルギーシステムの構築は、一夜でできるものではなく、30-40年かけて実現するものである」と訴えてます。
 「国連気候変動枠組み条約」第26回締約国会議〈COP26〉の開催に先立ち、10月24日に中国政府が「新発展理念を完全かつ正しく全面貫徹し、炭素排出ピークアウト・カーボンニュートラルを成し遂げる取り組みに関する意見」を公表しました。「意見」では、「炭素排出ピークアウトとカーボンニュートラルに対する党中央委員会の統一的指導と調整」が強調されています。3060目標に向けて、経済発展を追求しながら、脱炭素目標を実現するにあたっては、急ぐことなく、ゆっくりすることなく、常にマーケットの状況を踏まえ、スピードと方針を調整しながら、進んでいくことになるでしょう。中国政府にとって更に綿密な政策の運営が求められます。


※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
カテゴリー別

業務別

産業別

レポートに関する
お問い合わせ