コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

会社情報

ニュースリリース

2022年03月31日

各位

株式会社日本総合研究所


EV電池の残存価値評価サービス事業化に向けた協定締結

~事業化を目指しサービス実証開始 循環市場形成と脱炭素化推進に貢献~



 株式会社日本総合研究所(本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 谷崎勝教、以下「日本総研」)は、BACEコンソーシアム(注1、以下「本コンソーシアム」)の活動を踏まえ、EV電池の残存価値の診断とブロックチェーンによる継続的な情報管理を行うサービス(以下「本サービス」)について、中国国内での事業立ち上げに向けた検討を行うことを目的に、長瀬産業株式会社、カウラ株式会社、横河ソリューションサービス株式会社、日置電機株式会社、三井住友ファイナンス&リース株式会社との間で協定(以下「本協定」)を締結しました。
 本サービスは、各種EV電池の残存価値を短時間に推定する複数の診断技術とブロックチェーンによる情報管理技術を統合した、EV電池の統合評価システム「BACEプラットフォーム」を活用して提供するものです。本協定に先立ち、リユース電池の製造および利用に関するシステムサービスの実証を3月末から中国広東省において実施しています。

■EV電池の循環市場への期待と課題
 EVに搭載される大型の電池は、脱炭素とグリーン成長戦略の主役の一つとして大きな期待がかかります。
 EVの電池は、過酷な条件の下でも安定して高い出力を確保する必要があることから、高性能な電池が使われています。そのため、EVでの役目を終えた後も、再エネの調整電源をはじめとした多くの用途への転用が可能です。さらに、それらの用途での役目を終えた後には、資源枯渇などの問題を解決する再生資源としての活用が期待されます。今や、EV電池はEVで利用する部品としてだけでなく、循環利用のバリューチェーン全体で活用される製品として期待されるようになっていると言えます。しかし、EV電池の循環市場はまだ成立していないため、EV電池は、転用や再生資源としての価値が認められないまま、ほとんどが廃棄・焼却されてしまっているのが現状です。
 その原因の一つは、中古EV電池の品質を的確に診断評価し、安全に運用管理する仕組みが普及していないことが挙げられます。
 もう一つの原因として、自動車、電力、資源等の業界縦割りになってしまうことで、業界横断での循環利用の仕組みを作ることは難しいということがあります。欧州ではバッテリー指令として電池の業界横断での再資源化、最大効率利用が推進され、米国や中国がこれに続くことで世界の標準となっていく可能性が高まっており、日本は電池分野において技術開発で先行したにもかかわらず、持続可能なサプライチェーン構築で世界に取り残される可能性もあります。
 こうした事態を打開するためには、脱炭素社会実現のための中核となる製品であるEV電池の循環利用の価値を最大化する仕組みを築く必要があります。

■本コンソーシアムが構想するサービス事業と第一弾となるサービスの位置づけ
 本コンソーシアムでは、EVでの利用からリユース、リサイクル、そして再生材料として利用される段階に至る循環市場の各段階にわたってEV電池の品質管理を行い、得られた価値情報を循環市場全体で流通させる本サービスの提供を目指しています。


 今回はその第一段階として、中国広東省の電池リユース事業者と連携し、BACEプラットフォームを活用することで、電池調達時に短時間評価を行って調達する電池品質向上を行い、リユース電池製造工場の診断評価プロセスの時間を短縮して操業を効率化し、電池価値の情報管理を行って診断証明を提供するサービスの事業化を目指し、実証を開始しました。
 現在、中国の最先端の再生工場では、調達した電池をモジュール、セルに分解し、それぞれ数時間から十数時間かけて残存価値の診断試験を行って、高品質なリユース電池を製造しています。本サービスでは、BACEプラットフォームを活用することで診断時間を数十分の一に短縮させることで、毎年倍近く急増しているリユース電池の工場生産量の一層の拡大に貢献します。
 また、従来は、EV電池の残存価値を簡易に評価する方法がなかったため、走行距離などの情報のみによる調達が行われていましたが、本サービスによって調達時の高品質な選別が可能になります。
 さらに、モジュールおよびセルについて、それぞれブロックチェーンを用いた電池IDの管理を行い、診断証明をします。新たな電池パッケージに組み上げて他用途で利用する際にも、電池の価値の一貫した管理が可能になるため、電池サブスクサービスであるBaaS(Battery as a Service)の電池管理を行うこともできるようになります。
 現在、電池評価の市場では、診断計測機器を販売する方法が一般的です。しかし、この場合、電池のデータは診断計測機器を購入して利用したそれぞれの事業者に閉じてしまい、データの流通がされないことで、得られた価値も流通することができません。そこで、本サービスでは、中古EV電池の価値の診断評価情報を第三者が管理することで、電池価値を一括管理することができる情報プラットフォームを整備し、電池の循環市場を創出します。わが国の電池循環は、業界ごと、企業ごとの縦割りになっていますが、今後は欧州のように業界横断での標準化の仕組みが必要となります。この課題を解決する一つの手法として、ここでは価値情報の管理の外部化を担うサービス事業の立ち上げを目指します。

■今後の予定
 今後も継続的な実証を行うことで、中国で流通する各種EV電池の特性を分析・学習しながら、対応可能な電池の種類の拡大と診断精度の向上を図ります。また、運用時の安全性評価や長寿命化についての技術の導入も進めます。提携先である中国広東省のリユース事業者とは条件等の調整を進めサービス試行を行い、本協定当事者間で事業体制の検討を行った上で、中国国内における事業開始を目指します。

(注1)BACEコンソーシアム(Battery Circular Ecosystemコンソーシアム)
日本の先進診断技術開発および循環市場のエコシステムを形成する企業による事業検討のコンソ―シアムです。多数の先進診断技術を統合利用して、他に類のない診断機能を中核とした循環市場のエコシステム構築を目指します。これにより、①EVの中古売買時の品質明確化によるリセールバリュー向上、②リユース利用時の品質向上、高信頼化によるリユース電池の市場拡大、③中古販売、整備、解体、リユースなど分散するバリューチェーン関係者による電池流通情報の共通基盤の構築と信頼性向上、④電池のCO2排出量とCO2削減効果の算定、を行うことで電池の脱炭素価値を向上させる業界横断的なサービス事業を創出する診断と電池価値流通のプラットフォームの実現を図ります。
 車載電池の循環利用モデルに関するコンソーシアムを設立 
 (ニュースリリース/2020年10月16日)
 https://www.jri.co.jp/company/release/2020/1016-1/ 
 EV電池の残存価値診断技術の試験実施について
 (ニュースリリース/2021年7月15日)
 https://www.jri.co.jp/company/release/2021/0715/

以上

■本件に関するお問い合わせ先
【報道関係者様】 広報部         山口  電話: 080-7154-5017
【一般のお客様】 創発戦略センター  木通・李  電話: 03-6833-2820


 
会社情報
社長メッセージ

会社概要

事業内容

日本総研グループ
ニュースリリース

国内拠点

海外拠点
人材への取り組み
環境への取り組み
ダイバーシティ&健康経営
会社案内(PDF版)
メディア掲載・書籍
インターンシップ

会社情報に関する
お問い合わせ