平成21年度 潜在ホームヘルパーの実態に関するアンケート
調査結果
訪問介護員に従事している「訪問介護員養成研修」修了者は21.1%
2010年08月18日
各位
株式会社日本総合研究所
●訪問介護員養成研修(1~3級)を修了したものの、修了後1年以内に訪問介護員として従事していない「潜在ホームヘルパー」は、平成7年度から始まった養成研修修了者全体の78.9%に上り、その数は138.4万人※1と推計される。 ●潜在ホームヘルパーのうち、無職である人は34.0万人。また、現在、訪問介護以外に従事している人の業種で多いのは対人サービス業であり、「医療、福祉」(推計23.9万人)、「生活関連サービス、飲食・宿泊、その他サービス」(推計24.0万人)となっている。 ●潜在ホームヘルパーのうち、訪問介護員に「すぐにでも就きたい」意向を持つ人は7.6万人(養成研修修了者全体の4.3%)、「いつか就きたい」意向を持つ人は63.3万人(同、36.1%)と推計された。 ●就業意向のある潜在ホームヘルパーの規模は、2025年までにさらに必要とされる介護人材※2の約5~7割に相当。新規入職者の確保とともに、これら人材に的を絞った就業支援が重要と考えられる。 |
※1 厚生労働省「平成20年介護サービス・事業所統計」の「訪問介護」および「訪問入浴介護」の従事者数をもとに推計
※2 社会保障国民会議では、2025年には2007年時点の従事者数からさらに95万~138万人の確保が必要と推計
株式会社日本総合研究所(本社: 東京都千代田区、社長: 木本 泰行)では、平成21年度老人保健健康増進等事業の国庫補助を受け、2009年10月、訪問介護員養成研修(1~3級)のいずれかを修了している人3,000人を対象に「潜在ホームヘルパー実態に関するアンケート調査」を実施し、その調査結果をもとに推計結果をとりまとめました。調査分析結果の概要は以下の通りです。
なお、弊社の「潜在ホームヘルパー実態調査」事業は、平成22年度老人保健健康増進等事業の国庫補助に採択されました。昨年度成果を踏まえ、地方公共団体および国における在宅介護を担う人材の確保・活用に係る実態把握と政策提言を目的として、本年度は都道府県レベルでさらに詳細な実態調査を実施します。調査結果は2011年4月頃に公表する予定です。
アンケート概要
調査方法: インターネットリサーチ
調査地域: 全国
調査対象: 株式会社楽天リサーチのインターネットモニターのうち、訪問介護員養成研修1~3級のいずれか1つでも修了している人(18歳~79歳)3,000人
調査期間: 2009年10月20日~26日
調査の目的
今後の高齢化の進展と、施設介護から在宅介護へのシフトを鑑みると、在宅介護を担う人材の確保・活用が喫緊の課題となっています。しかし、訪問介護員養成研修修了者のうち、現在は訪問介護員として従事していない人材の実態について、十分に把握されていませんでした。
そこで、今後の在宅介護を担う人材に関する検討の基礎資料とすべく、訪問介護員養成研修(1~3級)を修了したものの、修了後1年以内に訪問介護員として従事していない人を「潜在ホームヘルパー」と定義し、養成研修修了者全体に占める比率、現在の就業状態、今後訪問介護員として就業する意向等について調査を実施しました。
主な調査結果
<人材動態>
- 潜在ホームヘルパーは145.8万人(厚生労働省「平成20年介護サービス・事業所統計」の「訪問介護」および「訪問入浴介護」の従事者数をもとに推計)。これは平成7年度から始まった訪問介護員養成研修修了者の78.9%に当たる。
- 毎年の新規就業者(5.2万人)のうち、養成研修終了後1年以内の者が半数(2.6万人)、残りの半数(2.6万人)は潜在ホームヘルパーから就業していると推定される。
(注)
※1 資格保有者全体の5.0%
※2 直近年度に新規資格取得した者にしめる現役ホームヘルパーの割合28.0% 修了後1年未満で現在未就業の人は
「潜在ホームヘルパー」とした
※3 厚生労働省「平成20年介護サービス施設・事業所調査」の「訪問介護」および「訪問入浴」に従事する介護職員数
(実人数)
※4 訪問介護員の採用率(15.5%)と※2から算出
入職率は厚生労働省「平成20年介護サービス施設・事業所調査」「訪問介護」の就職者数と※3をもとに算出
※5 訪問介護員の離職率(14.3%)
離職率は厚生労働省「平成20年介護サービス施設・事業所調査」「訪問介護」の退職者数と※3をもとに算出
※6 資格保有者に占める現役ホームヘルパーの割合(21.1%)と※3から算出
※7 ※3と※6の合計。資格保有者の死亡による自然減は考慮していない
※8 各推定値は小数第2位以下を四捨五入のため、合計が一致しない場合がある
<職業意識>
- 現役ホームヘルパーの方が潜在ホームヘルパーよりも、「仕事を最優先して、できるだけ多くの時間働きたい」および「自分の現在の能力に照らして非常に難しい仕事だが自分の能力を伸ばす可能性が非常に大きい仕事」を選ぶ傾向が見られる。
- 一方で、潜在ホームヘルパーの多くが自分の能力を伸ばす仕事を求めており、成長意識を持って働くことができる仕事のあり方や人材育成が必要。
<潜在ホームヘルパーの現在の就業状態>
- 訪問介護以外で働く潜在ホームヘルパーは、その多くが「医療、福祉」をはじめとする対人サービス業に従事しており、「生活関連サービス、飲食・宿泊、その他サービス」に24.0万人(養成研修修了者全体の13.7%)、「医療、福祉」に23.9万人(同13.6%)となっている。
- 潜在ホームヘルパーのうち「無職」である人は34.0万人(養成研修修了者全体の19.4%)。
<潜在ホームヘルパーの就業意向>
- 潜在ホームヘルパーのうち、将来的に訪問介護員として就業する意向のある人は70.9万人と推定される。
- 介護人材全体で、今後さらに95万人~138万人必要とされる人材需要を満たすためにも、これら人材に的を絞った就業支援が重要。
調査の詳細については、別添資料(「潜在ホームヘルパーの実態に関するアンケート調査研究」(結果概要)をご参照ください。
本件に関するお問い合わせ先
総合研究部門
E-mail:rcdweb@ml.jri.co.jp
TEL:03-3288-4144(担当: 齊木、山崎)