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中国の建設会社 国外展開で受注伸ばす 安い労務費武器に買収・倒産など再編も

王婷

出典:日刊建設工業新聞 7月11日号

 

国土交通省は、中国の建設産業に関する調査報告書をまとめた。政府の一部門から別会社化されて誕生した中国の建設会社も、分野や地域を問わず競争するようになり、上場を果たした企業があるほか、買収・倒産などの再編劇も起きているという。同時に、政府との結びつきは依然として強く、専門的な分野では新規参入が難しい実態も明らかになった。売上高上位の企業は国外展開に積極的で、安い労務費を武器に国際入札を通じた受注を着実に増加させているところもあるという。調査報告書は、中国の建設会社が施工能力面で日本の建設会社と差がなくなってきており、日本の建設会社にとっては品質やサービスの優位性をどのように生かしていくかが、今後さらに重要になると提言している。

中国国内の建設市場や許可制度などに関する調査はこれまでにもあったが、中国の建設会社の活動に焦点を当てた調査は初めて。調査は日本総合研究所に委託した。

調査報告によると、中国の建設会社は、90~95年に行われた国営企業改革で、中央・地方政府の一部門がそのまま企業形態に移行して誕生した。米誌ENRの調査(03年)によれば、世界の建設会社の売上高ランキング50位以内に中国の建設会社は6社が入る。6社のうち上位3社は日本の大手5社並みの売上高を計上している。国内のおう盛な建設需要を背景に、着実に収益を伸ばしているようだ。

国外への事業展開も積極的で、中央政府系の建設会社7社のうち4社は国外売上高が全売上高の10%以上を占めた。進出先は香港を含むアジア地域やアフリカ、南米などが多い。日本のゼネコンが海外では日系企業の進出案件や日本の政府開発援助(ODA)案件を中心に受注しているのに対し、中国の建設会社は国際入札での受注がほとんどという。政府の一機関だった時代からの流れで建設作業員をそのまま抱えていることから、30万人近い従業員を抱える企業もあり、安い労務費を武器に低価格で応札して国外での実績を伸ばしているようだ。

もともと政府系の企業集団のため、公的発注者との人的・資金的結びつきが強く、専門的分野ほど他者が参入しにくい環境となっている。一般的な建築市場などでは政府系列の垣根を超えた競争が激しく、再編・淘汰(とうた)も起きているという。急成長の一方、必要な技術者を名義貸しによって確保している実態なども明らかになっている。 

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