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情報通信・エネルギー技術 水素エネルギーに賭ける ビジネス編 1

出典:電気新聞 2004年2月24日号

新エネ普及の核

-日本総研にとっての水素エネルギービジネスの位置付けは。
「新エネルギーの普及の核になるのが水素だということだ。新エネルギーは、コスト面からの効率が非常に悪い。すでにビジネスとして何とか成り立っている風力発電、太陽光発電でもそうだし、今、われわれが研究を重ねているバイオエネルギーに至っては、何とか電気を売れるかどうかという段階だ。いまだ10年前のレベルを脱していない。また、バイオで大型発電が実現するのは、まだ、先のことだろう。効率の悪い発電方法をどうやってうまく利用していくか、ということになった場合、発電した電気をそのまま売るのではなく、水素に変える、という発想が生まれる。水素は今後、エネルギーの『媒体』となるわけだ。しかも水素はメタノールなど、形を変えることもできる。メタノールそのものを商品にする場合、濃度の問題があるだろうが、それを水素という媒体に変えて電力をつくれば容易に売ることができる」

システムを確立

-媒体としての水素とマイクログリッドの関係は。
「エネルギー密度が低い発電法となれば、分散電源が必要となり、これをネットワーク化すればマイクログリッドになる。ただ、マイクログリッドには問題もある。いい例が米国だ。米国のマイクログリッドは大きな電力系統に依存している。本当の分散電源を確立するには、大きな系統に依存しないネットワークを構築する必要がある。そのためには、非常に小規模だが完全に独立したシステムとしてのマイクログリッドが必要になる。われわれが組織しているDESSコンソーシアム(燃料電池に焦点をあてた分散ネットワークシステムの研究組織)の目標は、このようなマイクログリッドネットワークを構築するためのソフト・ハード両面でのシステム技術の確立だ」

価値観の提示へ

-水素エネルギー社会の実現自体を疑問視する向きもある。
「エネルギーに限らず、これからの新商品はすべて買い替え需要だ。消費者にお金を出させるだけの『価値観』を提示する必要があるが、それができれば、普及することも確かだ。大切なのはプロモーション、具体的に言えばしっかりしたマーケットリサーチと商品コンセプト。水素エネルギーに関しては、環境の価値観を消費者に売る、というビジネスを展開できれば、あっという間に普及する。環境の価値観が消費者に受け入れられた例はすでにトヨタ自動車の『プリウス』がある。これほど売れるとは、発売前は予想できなかった。プロモーションの成功例だろう」
-日本総研としては具体的にどのような水素エネルギービジネスを展開する計画か。
「分散エネルギーネットワークのオペレーションビジネスだ。燃料電池のメンテナンスや燃料供給をはじめ、どんなことが起こっても今の電力供給と同じように停電しないことを保証できるサービス事業を展開する。今は、DESSコンソーシアムを通じ、ビジネスに必要な特許を取得する。04年度中に100件の特許取得を予定している。実際のオペレーションビジネスへの進出のめどは06年から07年ごろに見えてくると思う」

 

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