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TOPIX500社における役員報酬の支給実態調査(2023年度版)

2023年11月28日 綾高徳


株式会社日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門は、TOPIX500社における役員報酬の支給実態について調査しましたので、この結果を公表します。


【調査概要】
□調査目的
・TOPIX500社における報酬水準や報酬構成比率等を調査・分析し、役員報酬制度を検討する際のベンチマークデータの1つとして活用することを目的に実施した。

□対象企業とソース
・2023年3月31日現在のTOPIX500構成銘柄498社を分析対象とした。調査は有価証券報告書をソース(※1)とし、有価証券報告書記載の4【コーポレート・ガバナンスの状況等】(2)【役員の状況】、(4)【役員の報酬等】から役員人数、報酬項目および額を抽出して整理した。
・有価証券報告書は2022年4月~2023年3月決算のものを用いた。

要 旨

■報酬水準
・TOPIX500社における社内取締役(執行役含む、監査等委員を除く、以下同)の年間1人当たり平均総報酬(※2)は中央値で66.6百万円、基本報酬41.5百万円、賞与17.7百万円、株式報酬9.5百万円であった。社内監査役(社内取締役(監査等委員)含む)の年間1人当たりの平均総報酬は中央値で25.0百万円であった。社外役員(※3)の年間1人当たりの平均総報酬は中央値で11.7百万円であった。
・各社の当期純利益に対する役員報酬総額の割合(※4)は中央値で1.3%であった。

■報酬構成比率(報酬総額に占める各報酬額水準の割合_※平均ベース)(※5)
・社内取締役の報酬構成比率は、企業規模(売上高)が大きいほど業績連動報酬比率が高くなる傾向が見て取れる。3兆円以上の企業では固定報酬(基本報酬):業績連動報酬(賞与+株式報酬)の構成比率はおよそ5:5であり、TOPIX500社の平均では6:4となる。2020年度調査ではTOPIX500社の平均が7:3であったことから、TOPIX500社の業績連動報酬比率(実績)が高まっていることが伺える。

■業績連動報酬算定に用いるKPI(財務、非財務指標含む)
・社内取締役の賞与算定に用いるKPIは、採用数(※6)の多い順に①営業利益、②当期純利益、③ESG。株式報酬(業績連動型)は①ESG、②営業利益、③ROEであった。

■株式報酬の種類
・社内取締役の株式報酬は、採用数(※7)の多い順に①RS・RSU(215社)、②信託型株式報酬(164社)、③PS・PSU(70社)、④SO(60社)、⑤ファントムストック(11社)であった。PS・PSUの存在感が増している(2022年度版調査から25%増加)。

■ペイレシオ(1人当たりの役員報酬/社員平均給与)
・社内取締役のペイレシオの中央値は8.8倍である。企業規模が大きくなるにつれてペイレシオが高まる傾向が見て取れる。
                                                

※詳細につきましては、下記の報告書をご参照ください。
【報告書】

(※1) 役員報酬サーベイの方法論は、主として本調査で採用した有価証券記載事項から抽出する方法と、アンケートによる方法がある。それぞれの方法にメリット・デメリットがあり目的に応じて方法論を選択、または組み合わせて使用することが重要である。
(※2) 有価証券報告書記載の4【コーポレート・ガバナンスの状況等】(4)【役員の報酬等】➁「役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の員数」表に記載の報酬額を、(2)【役員の状況】①役員一覧に記載の役員数をカウントして除算した。
(※3) 本稿において社外役員は、社外取締役(監査等委員を含む)と社外監査役を指す。
(※4) 割合=役員報酬総額/(当期純利益+役員報酬総額)にて計算した。
(※5) 報酬構成比率(実績)は、前回調査までは総報酬の総和に占める各報酬の総和の割合として計算していたものを、今回は各企業の報酬構成比率の平均を報酬構成比率とした。報酬構成比(基準)も同様である。
(※6) 延べ数。
(※7) 延べ数。
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