(ⅱ)Bowling Alone -The Collapse and Revival of American Community- 2000 イタリアでの研究をもとに、パットナムは次に自分の母国であるアメリカにおけるコミュニティの崩壊、すなわち「ソーシャル・キャピタル」の衰退に注目することになる。 2000年の著書Bowling Aloneにおいて、パットナムは地域のボーリングクラブには加入せず、一人で黙々とボーリングをしている孤独なアメリカ人の姿を象徴として、アメリカにおける「ソーシャル・キャピタル」の衰退状況を、包括的な州ベースのマクロデータを基に実証分析した。その結果、アメリカにおいては、政治・市民団体・宗教団体・組合・専門組織・非公式な社交などに対する市民の参加が減少していることが幅広く検証された。ソーシャル・キャピタル衰退の主な要因としては、 TVの台頭・女性の役割の変化(社会進出)・人々の地理的流動性の増加・ライフスタイルの変化・市民参加に関する価値観や行動の世代間変化などが指摘されている。 本書はアカデミックな世界を越えて、アメリカの一般社会にまで話題を提供することとなり、その後の「ソーシャル・キャピタル」研究ブームとも呼ぶべき現象を世界中で生むに至った。勿論多くの批判もあった。