【通信】「iPhoneアプリ「セカイカメラ」近日リリース」
=====≪quote≫ ≪評≫岡本俊哉〔研究員〕 まず、モバイルネットワークの高度化を基礎とし、位置情報、画像処理など様々な高度技術をマッシュアップした斬新なオープンプラットフォームと言え、日本発という部分は素直に喜ばしいことである。ただし、技術的には課題も多いと考えられ、仮に日本で実現できたとしても、諸外国での普及の観点からは、インフラ面での劣位性から、時期尚早な感もある。 米Google社が世界中の地図および航空写真をベースに、様々な情報をクリッカブルにしたことを、現実社会で実現する取り組みと見ることもできる。単純にベースが現実社会に変わっただけと考えれば、その場でカメラを通して見るだけで、商業店舗などの情報やクーポンなどを取り出すなど、利便性に関しては一定の価値があるだろう。 しかしながら、そういった利便性の面を陽とすれば、応用技術には陰の部分を想像される。例えば、画像認識などの技術が組み込まれれば、人にタグをつけ管理することも可能かもしれない。この場合、当然ながら、フィルタリングにより特定の人からしか、その情報を見ることができない様になるだろう。 また、現実社会においてあらゆるモノに情報がタギングされることで、人の創造力が削がれていく可能性もあるだろう。リアルに感じ得たことや、記憶・知識などを、頭の中で考え、マッシュアップすることで、新たな発想や考えを創造するといったプロセスが一般的であるが、情報としてインプットされることで、考えが固定化することが危惧される(ただし、はたして、人がリアルにおいても、すべてモノをカメラというフィルターを通して見るようにはならないだろうということも想像されるが)。 実現に向けては、技術面以外でも金融危機により投資余力が不足する中での、開発資金の調達やストリートビューに見られるようなポリティクス面での対応など課題もある。高度技術の裏にある負の要素も認識しながら、今後の動向を把握しておきたい。 |