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国際戦略研究所 田中均「考」

【毎日新聞・政治プレミア】米中関係の推移を見ない日本の政治の危さ

2025年11月14日 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問


 米中首脳会談で台湾問題に言及がなかった一方で、高市早苗首相は「台湾有事は存立危機事態になり得る」と国会で答弁し、論議を巻き起こしている。筆者は先週末北京での国際会議に参加していたが、中国の現在地を見極める必要がある。トランプ米大統領が台湾問題に言及しなかった背景と共に高市首相発言の意味合いを考えたい。

米中首脳会談に見る米中の思惑
 韓国・釜山で行われた米中首脳会談は双方が成功と述べあう結果となり、米中関係の緊張は一段落し、世界は安堵(あんど)した。トランプ大統領は明らかに米国に持って帰る「成果」を欲した。国内的には不支持率の上昇や関税問題での最高裁審理の見通し悪化などの状況下で、中国との経済関係の一層の悪化は明年の中間選挙に向けても好ましくないとの思いは強かったのだろう。また中国側にも経済デフレ化が進む中でこれ以上米中貿易を悪化させたくないとの思惑も働いた。クアラルンプールでのベッセント財務長官と何立峰副首相の協議を経てフェンタニル問題や米国輸出規制の50%ルール停止による規制緩和とレアアース中国側規制の1年間延期、海事物流造船業301条調査措置の1年間停止など、米中貿易衝突の1年間延期という形で米国中間選挙までの休戦が合意された。大豆、トウモロコシなど米国農産物の中国による大量購入も合意された。それだけではなく、米中双方が首脳間信頼関係を前面に出すとともに、トランプ大統領の明年4月の訪中、習近平国家主席の明年中の訪米の見通しも明らかにされた。このような首脳の相互訪問の予定が合意されることはその間不断の対話が行われることとなり、文字通り、米中関係は異なるフェーズに来たということが言える。

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続きは、毎日新聞「政治プレミア」ホームページにてご覧いただけます。
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20251113/pol/00m/010/005000c
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