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国際戦略研究所 田中均「考」

【毎日新聞・政治プレミア】米国は信頼できる同盟国なのか

2025年09月10日 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問


 9月3日、北京天安門広場で行われた「抗日戦争勝利80周年」軍事パレードを習近平国家主席、プーチン大統領、金正恩総書記の3者が並んで見る写真が世界中に配信された。

 変わりつつある国際社会の構造を象徴しているようだ。中国を軸としてロシアと北朝鮮の3者の連携が西側に抗するブロックのごとき意味を持つに至ったとは考えないが、重要な意味を有しているように見える。

 3カ国の連携がトランプ米国に対するけん制であることは明らかだ。「トランプ大統領は何をするかわからない」という不確実性が彼らの頭にあるということなのだろう。中国は米国に抗しつつも極端な反発を招かないよう極めて慎重に行動している。

 米国の高関税政策に対しての対抗措置を前面に、米国に有利な一方的な関税は受け入れない姿勢を示している。

 同時に、「アメリカ第一」や「法の支配より力の支配」のトランプ・アプローチで米国の同盟国や友好国の間にも不協和音が生じている状況を利用すべく活発な外交を行っている。上海協力機構の場などで、米国と関係が悪化しているインドやブラジルなどグローバルサウス諸国との関係強化を図るとともに、東南アジア諸国にも接近しつつある。

 欧州連合(EU)や日本も「ほほ笑み外交」の例外ではない。中国は北朝鮮がウクライナ戦争に派兵し露朝関係がほぼ同盟国のように進展しているのを快く思っていないだろうし、ウクライナ戦争を巡る露朝の軍事協力に参加するつもりはないのだろう。

 しかし、中国にとってのプライオリティーは米国の高関税政策や貿易制限にじゅうりんされ経済が一層落ち込むことを防ぐことであり、そのためには中露朝の連携は米国けん制には有効と考えているのだろう。ロシアにしてみればウクライナ戦争を勝ち抜くためには中国の支援は必須だ。プーチン大統領は日本の安倍晋三元首相との関係(主に領土交渉)もそうであったが、「トランプ大統領との関係が良い」ことは「ロシアが妥協する」ことと同義ではないし、トランプ大統領と良好な関係を装いながらもウクライナ戦争を停止する意図はないだろう。金正恩総書記にしてみれば、ロシアに加え中国も北朝鮮の背後にいることを米国に示す機会と捉えたのだろう。

最大の問題はトランプ米大統領だ

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続きは、毎日新聞「政治プレミア」ホームページにてご覧いただけます。
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20250909/pol/00m/010/006000c
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