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国際戦略研究所 田中均「考」

【毎日新聞・政治プレミア】今、政治指導者に問われるもの--使命感・危機意識・ビジョン

2021年08月11日 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所理事長


 10⽉末の任期満了選挙になるのか、それとも菅義偉⾸相が解散権を⾏使し、⾃⺠党総裁選の前に衆院選を実施しようとするのか。いずれにせよ今度の衆院選には⼆つの重⼤な意味合いがある。⼀つには、9年という⻑期にわたった安倍−菅政権の評価を⾏う選挙となることだ。さらには、⽇本がこのまま沈んでいく国になるのか、あるいは新しい⽅向性を⾒いだしていけるのかの節目となるという点だ。⽇本の⺠主主義の在り⽅が問われている。

総裁選の前の衆院選は⾃⺠党の⾃滅⾏為――開かれた総裁選を
 ⾃⺠党総裁の任期は9⽉末までであり、8⽉中に総裁選の⽇程を決めたにしても、9⽉に⼊り国会を召集の上、衆院を解散し総選挙に持ち込むことは可能だろう。あるいは総裁選を総選挙に先⽴ち⾏うが、形式的な形に終わらせ、菅総裁の再選を決める動きもあるようだ。すでに⼆階俊博・⾃⺠党幹事⻑は、菅⾸相が新型コロナウイルス感染防⽌や安全安⼼の五輪開催で業績を上げ国⺠の評価を得ているので、1年で交代する必要はないという⾒解を⽰している。ただ現実を⾒ると、それは⾃⺠党の⾃滅⾏為になるのだろう。コロナ感染急拡⼤の恐れが強い中で、五輪をなし崩し的に強⾏したことへの国⺠の不満は強い。結果的には緊急事態宣⾔にもかかわらず記録的な感染者の拡⼤となり、医療崩壊も目前にある。その間、酒提供の制限のために⾦融機関を使うとか、唐突にコロナ患者の⼊院規制を打ち出すなど、場当たりとしかみえない施策を打ち出す政府への不信感は強い。現⾏の体制で選挙を⾏うのは、⾃⺠党にとって⼤きなリスクとなる。総選挙は単に菅政権を信任するか否かではなく、菅⾸相も官房⻑官として⼀⼼同体であった安倍政権を含めた9年の⻑期政権への審判となる。前回のコラムで指摘した通り、筆者は、権⼒の集中とチェック機能の喪失により3S政治<YouTube>(説明しない、説得しない、責任をとらない)が横⾏し、⽇本の⺠主主義は危機にひんしていると思う。国⺠はこれに適切な判断を下すことになるに違いない。
 健全な⺠主主義のためには、⾃⺠党はまず総裁選挙を⾏い、国⺠に対して新しいリーダーと統治への基本的なアプローチを明確にしたうえで総選挙に臨むべきだろう。国⺠に、これからの重要な時期に誰に統治を委託するのか、野党の指導者も含め幅広い選択肢を提⽰すべきだ。そのためには前回のような派閥の数合わせで都合が良いリーダーを密室で選ぶのではなく、党員も含めたオープンな形式で、候補者が考え⽅をしっかり⽰し、国⺠にも分かりやすい競争的な選挙を⾏うべきだろう。

政治指導者が問われているもの
 総選挙や⾃⺠党総裁選を通じて問われなければならないのは、指導者としての使命感、⽇本の現状に対する危機意識、そして将来ビジョンだ。

続きは、毎日新聞「政治プレミア」ホームページにてご覧いただけます。
https://mainichi.jp/premier/politics/田中均/

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