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国際戦略研究所 田中均「考」

【毎日新聞・政治プレミア】時代の節目で⾏われるG7サミット−⽇本の戦略は

2021年06月09日 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所理事長


 今年の主要7カ国⾸脳会議(G7サミット)は英国のコーンウォールにて6⽉11⽇から3⽇間、対⾯で⾏われる。私は2002年から05年までの3年間、政務局⻑としてサミットの政治問題について各国との協議を担当していた。サミットは時の国際社会のプライオリティーを⽰す灯台のような役割を果たしており、今年はコロナ・パンデミックもあって時代の⼤きな節目を照らし出すサミットとなるのだろう。

地位は停滞したが⽇本が担う重要な役割
 メルケル独⾸相に次ぐ古顔としての安倍晋三前⾸相の活躍ぶりとは裏腹に、⽇本はこの10年で経済社会の実績は優等⽣から劣等⽣へと転落してしまったようだ。経済成⻑率、労働⽣産性、公的債務の国内総⽣産(GDP)⽐率、ジェンダーギャップ、報道の⾃由度などの⽐較において⽇本はG7中ほぼ最低となってしまった。コロナ禍においても感染率は低く⽇本⼈は特別だ、と思っていたものが、いつの間にかコロナ禍から抜け出せない国となっている。在宅勤務に必要なデジタル環境も遅れていることが露呈した。ワクチン接種率についても東京オリンピック・パラリンピックを控えている⽇本はG7の中で群を抜いて低く、100⼈当たりの接種回数(6⽉3⽇現在、⽇経新聞・英フィナンシャル・タイムズ集計)では英97⼈、⽶89⼈、加64⼈、独62⼈、伊58⼈、仏54⼈に⽐べ、11⼈という有様だ。しかし、経済規模においてG7の中で⽇本はいまだ⽶国に次いで2番目であり、唯⼀のアジアの国としての存在感は⼤きい。特に、今回のサミットはメンバー以外でゲストとして呼ばれている国は印、韓、豪のアジア太平洋の3カ国であることが⽰唆するように、サミットの主題は中国なのだろうし、⽇本が⽶中対⽴の最前線に位置する国として格別な役割を担うのは間違いがない。

⽶中対⽴は「けん制・競争と排除・協⼒」の複雑な関係
 まず、これからの国際構造についてどのような共通認識をもつべきなのだろうか。近年急速に目⽴ち始めているのは強権的政府による強権的な⾏動だ。⾹港や新疆ウイグル⾃治区における中国の強権的⾏動、ミャンマーにおける国軍のクーデターに続く⺠衆への暴⼒的弾圧、ロシアやベラルーシにおける反体制派への強権的抑圧などコロナ・パンデミックで世界が内向きとなっている間隙(かんげき)を縫っての⾏動だ。

続きは、毎日新聞「政治プレミア」ホームページにてご覧いただけます。
https://mainichi.jp/premier/politics/田中均/
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