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国際戦略研究所 田中均「考」

【毎日新聞・政治プレミア】コロナ危機と検察庁法改正案から見える政官関係

2020年05月29日 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所理事長


 コロナ危機管理や検察庁法改正案問題を通じて「安倍1強体制」の⽭盾や⽋陥が出てきた。コロナ対策にしても東京⾼検検事⻑の定年延⻑問題にしても、政府内の吟味された政策というより、政治的動機に満ちた⾏動の⾊合いが濃いように⾒える。強い官邸の政治権⼒の前に官僚が本来のプロフェッショナルな役割を果たせていないのではないか。今⼀度、政治権⼒と官僚の関係が⾒直されるべきではないか。

コロナ危機で⾒えた政と官のギャップ
 コロナ危機管理を通じて⾒られるのは、政と官の間に存在する⼤きなギャップだ。例えば2⽉の段階での全国の⼩中⾼校の休校は専門家の意⾒を聞かず⾸相が決断し、また、多額の国費を使っての布マスク2枚の全国⺠への配布は官邸の秘書官の助⾔で決まったという。これらが適切な施策であったかどうかは検証されなければならないが、政府内で省庁を動員して⼗分考え抜かれた施策とは⾒受けられない。その後もPCR検査について⾸相は何度も検査能⼒を上げ実施ペースを上げる、と⾔いながら実際にはそうはならず、相当時間が経過してから政府専門家会議が検査の増えない理由を列挙する。国⺠が最も望む給付⾦などにしても⾸相の掛け声とは裏腹に、なかなか国⺠の⼿には届かない。本来は問題点を織り込んだうえで⾸相の発⾔になるはずのところ、前のめりの政治的発⾔となる。幹部官僚はともかく、実際に作業にあたる現場の官僚との間のギャップは甚だしく⼤きいのだろう。このような政と官の信頼関係の⽋如の背景には、政治権⼒の⼈事を通じる官僚組織の掌握と幹部官僚の忖度(そんたく)体質が垣間⾒え、その結果、忖度体質とは無縁な末端の官僚は、トップダウンで決められた政策の実⾏に⼤きな無理を強いられる。…


続きは、毎日新聞「政治プレミア」ホームページにてご覧いただけます。
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20200527/pol/00m/010/003000c
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