国際戦略研究所 田中均「考」
【毎日新聞・政治プレミア】衆院選 政治を変える機会を逸するな
2024年10月25日 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問
10月27日に衆院選の投開票日を迎える。おそらく、ここ10年で最も重い選挙になるだろう。裏金問題で揺れた政治を刷新することができるか。国民の選択が問われる。
投票率が鍵となる
第一に、投票率がどうなるかだ。2012年に自民党が政権に復帰して以降、60%を割り込み、その後7回にわたる衆参の選挙で自民党は勝ち続ける一方、投票率は50%台半ばに停滞したままであった。特に若者の投票率は極めて低く、前回21年衆院選では20歳代は36%と60歳代の71%に比し、大きく劣る。
これまでの国政選挙をたどれば、投票率が上がる時に政治は動く。冷戦後、選挙が政治を動かしたのは1993年、05年、09年、12年の4回だが、投票率も、93年67.26%、05年67.51%、09年69.28%、12年59.32%と比較的高い。
93年の選挙では日本新党ブームが起き、非自民・非共産8党派による連立政権が成立した。05年は郵政選挙といわれ、小泉純一郎首相は参院で郵政民営化法案が否決されると解散に反対する閣僚を罷免して総選挙に持ち込み、民営化反対の自民党議員の選挙区には対立候補を立て、圧勝した。09年には麻生太郎首相は「追い込まれ選挙」で惨敗し、民主党への政権交代が実現した。12年は安倍晋三総裁の下で自民党が民主党から政権を奪取する選挙となった。
投票率が低ければ自民党や公明党など固定票を持つ政党が有利となる。政治を変えることは、いわゆる浮動票が既成の固定化した体制を打ち破ることができるかにかかっており、投票率が上がることが必須だ。
裏金に対してインフレで苦しむ「国民の怒り」が投票につながるのか。どうせ何も変わらないと諦め、棄権してしまってはならない。投票することによってしか変化はもたらせない。
選挙の意味が有権者に十分理解されているか
第二に、有権者が今度の選挙の意味を十分認識しているかだ。すなわち、「選挙の争点」だ。
イデオロギーの対立があった時代とは異なり、今日、多くの政党の政策は幹の部分では大差がない。
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