国際戦略研究所 田中均「考」
【毎日新聞・政治プレミア】自民党総裁選 強い指導者を生み出せるのか?
2024年09月24日 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問
自由民主党の総裁選は9月12日に告示され、27日に投開票が行われる。9人という過去最多の候補者が立候補し、論戦が行われている。
この総裁選は裏金問題をはじめとして自民党に対する信頼、ひいては日本の政治に対する信頼が大きく損なわれたことに対して、信頼回復のためにどう向き合うのかを示すことが最大の目的であったはずだ。しかし、候補者が推薦人を得る過程や実際の所見、討論の際の発言を聞いていると、従来とあまり変わらない選挙となっているようだ。
世界は先進民主主義国におけるポピュリズムの台頭、既成の体制に対する反発の強まりの中で、政治的不安定の傾向が強まっている。日本も同じような道をたどるのか。それともこの総裁選は出直しのきっかけとなるものだろうか。幾つかの視点がある。
旧態依然とした派閥選挙から抜け出しているか
9人の議員が立候補できたのは確かに派閥の締め付けが薄れた結果だろうし、派閥の思惑に沿って推薦人が送り込まれたわけでもないだろう。しかし旧派閥にとって最も好ましい結果となるように各種の思惑も働いていると思われる。 特に決選投票に際しては旧派閥ベースの行動も容易に想像できる。
また、長老支配も自民党が信頼を失った大きな要因だが、少なくとも報道ベースではいまだに菅義偉前首相や麻生太郎元首相がキングメーカーたらんとして行動しているようだ。各候補者の討論でも自民党を徹底的に改革するという迫力は全く感じられない。
派閥の長の役割など裏金問題の事実関係を究明するという動きはなく、「裏金議員」の次期総選挙での公認問題も歯切れが悪い。多数の裏金議員が存在するわけで、それら議員の反発を買うのは選挙展望を損ねることになる。
自民党の旧来体質に加え、総裁選は国会議員票が重要となるだけに、そもそも議員の利益を損ねるような政治改革は期待できないということなのだろう。
選挙で当選するためには多くの裏金議員の支持も必要になる一方、裏金議員に支持されていることが世論の不興を買う。旧来の自民党体質を変えるようなことにはならないということなら、次回選挙での政権交代も視野に入る。
総理・総裁の資質が問われている
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