国際戦略研究所 田中均「考」
【毎日新聞・政治プレミア】中途半端に終始した裏金問題への対応 旧態依然とした「永田町的政治」の弊害
2024年04月28日 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問
昨秋発覚した自民党裏金問題は、検察の捜査、立件、自民党の裏金受け取り議員への処分を経て、政治資金規正法改正案が提案され、国会審議に至っている。
この間、自民党は4月28日の衆院補欠選挙において長崎、東京では候補者を立てられず、与野党対決となった保守王国島根では惨敗を喫した。
岸田文雄首相は派閥解散、政治倫理審議会の立ち上げなどに唐突に打って出て、米国訪問での華々しい外交で内閣支持率の回復に努めるが、支持率の低迷から脱することができず、日本の政治は解散総選挙の時期を含め不透明な情勢にある。
国民が見るのは長年にわたって裏金を生み、裏金問題の処理にあたっても抜け出すことのできない旧態依然とした「永田町的政治」体質の弊害な政治をもっとオープンでフェアにするのだろう。しかし、自民党、特に岸田総裁の対応は従来の手法に従って幕引きを急ごうとしているように見える。
筆者はいわゆる政治評論家ではなく、外交現場から長年日本の政治に向き合い、駐在した米国や英国でそれぞれの国内政治をつぶさに観察してきた。米国や英国の政党政治も深刻な危機にあると言っても過言ではない。米国大統領選挙は国内の分断をさらに深める結果になるだろうし、英国の2大政党制も存立が危うい。日本が全般的な停滞から抜け出せないのは、まさに、長く続く既存政治の劣化の故ではないだろうか。
「永田町的政治」は終わらない
自民党は裏金問題で事実関係の全容を明かすことに、なぜこれほど、ためらうのだろう。
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