国際戦略研究所 田中均「考」
【毎日新聞・政治プレミア】「競争」が欠けた政治と国力の衰退
2023年06月14日 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問
日本は経済成長率、労働生産性、公的債務残高、ジェンダーギャップといった多くの分野で主要7カ国(G7)の劣等生とみなされるようになった。その大きな原因は日本の政治に競争がなく、変革をもたらすような強い力は生まれてこないことにある。にもかかわらず自民党はポピュリスト政策をとることにより、10年を超え国政選挙に勝ち続け、権力の私物化といった事態を生んでいる。ポピュリスト政策は中長期的な日本の発展の可能性を摘むことになる。
自民党派閥間の競争原理は働かず、各政党の独自性も消えた
自民党においては派閥の性格が大きく変化し、派閥間の政策の違いを巡る論争や派閥の長を総理・総裁に押し上げる競争もなくなってしまった。中選挙区制の時代には選挙区において各派閥出身者の当選をかけた厳しい競争が存在していた。競争に勝ち抜くために派閥は政策的勉強を重ねた。タカ派・ハト派、財政規律派・積極財政派、親台湾派・親中国派など自民党は「異なる意見を包み込む間口が広い政党」といわれた。また派閥の長は議員の党公認や選挙資金の配分に大きな力を持っていたが、小選挙区制の導入により党中央(総裁・幹事長)が圧倒的な力を持つようになった。その結果、派閥は単に所属する議員数が最も重要な要素となり、次の選挙に向けて既得権擁護に…
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