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国際戦略研究所 田中均「考」

【毎日新聞・政治プレミア】安保日米協議 見失ってはならない対中関係と沖縄問題

2023年01月12日 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問


 1月13日、岸田文雄首相はバイデン米大統領との首脳会談で日米安保体制の強化を議論することになるのだろう。米国は間違いなくこれを歓迎し、日米の役割を吟味して新たに防衛協力のガイドラインが策定されることになると思われる。安保政策大転換の内容については今後も国会を中心に議論が行われていくだろうが、ここでは日米協議で見失ってはならない二つの重要な事項について述べたい。

綿密なシナリオがあった96~97年の安保政策転換
 1997年に日米防衛協力ガイドラインを改定した時、筆者は外務省北米局審議官で実務的責任者として米国のカート・キャンベル国防次官補代理(現ホワイトハウス・インド太平洋調整官)と協議を尽くした。冷戦が終わり、北朝鮮核危機(94年6月)や台湾海峡危機(96年3月)を経験し、自衛隊が米軍をどう支援できるかを新たに定めたものである。私たちは安保政策を大きく変える以上、国内外で「大きな絵」を説明しなければならないとの問題意識を持っていた。96年4月にクリントン米大統領が来日した機会に橋本龍太郎首相(いずれも当時)との間で日米安保共同宣言を発出し、同時に米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還に合意し、その上で日米防衛協力ガイドラインの策定という手順を踏んだ。私は日本のほとんどすべての週刊誌に安保政策を変えていく考え方を説明した小論を載せ、同時に、ガイドラインの中間報告を作成し、外務、防衛両省で手分けして周辺国へ説明に回った。私は中国へ説明に行き、王毅アジア局長(当時、外相を経て今は外交最高責任者)と向き合った。王毅氏は「ガイドラインは台湾海峡に適用になるのか」と問いを発し、…

続きは、毎日新聞「政治プレミア」ホームページにてご覧いただけます。
https://mainichi.jp/premier/politics/田中均/

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