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国際戦略研究所 田中均「考」

【毎日新聞・政治プレミア】総選挙から見えたこと 今後の政治に注文する

2021年11月10日 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所理事長


 総選挙は⾃⺠党が半数を⼤きく超え、単独で絶対安定多数の261議席に達し勝利した。筆者は⾃⺠党1強体制が権⼒の集中の弊害を⽣んでいるので、与野党の勢⼒が拮抗(きっこう)し、権⼒の乱⽤をチェックする体制が好ましいと述べてきたが、選挙結果だけから⾒れば、願望はむなしく潰(つい)えたかに⾒える。⾃⺠党1強や官邸1強体制が好ましくない理由はこれまで9年の⻑期政権が、「3S政治」、すなわち説明せず、説得せず、結果責任をとらず、⺠主主義の基本原則をおろそかにしてきたと考えるからだ。ただ、選挙前と⼤きくは変わらない権⼒集中体制であったとしても、指導者が明確な認識を持てば3S政治の弊害は避けられる。今回の選挙を通じて⾒えてきた諸課題を改めて整理し、今後の政治への注⽂をしたいと思う。

国民の政治参加を活発にしなければならない
 残念なことに今回の総選挙の投票率は55.9%と戦後3番目に低く、10代の投票率は僅か43%にとどまった。今年9⽉に⾏われたドイツの連邦議員選挙の投票率が76.6%、カナダの総選挙は62.3%、ノルウェーの総選挙は77.2%であったことに⽐べると、あまりに低い。これら3カ国においては、いずれも第1党は過半数にはほど遠く、与野党が拮抗する結果となっている。これら諸国の総選挙における最⼤の関⼼はコロナ対応の経済回復策と並び、気候変動問題だった。やはりコロナ感染拡⼤や⽔害・⼲ばつなど気候変動が⼈々の⽣活を脅かしていることが国⺠の選挙に対する関⼼を⾼める結果となっているのだろう。同時にドイツなどでは⽇ごろから政府やNGOによる住⺠の政治教育が活発であることも⾼い投票率に結びついている。

野党は猛省を
 ⽇本ではコロナ感染が急速に減ってきたこともあり、国⺠の政治に対する関⼼が格段に低い。特に野党のアプローチに猛省が促されてしかるべきだ。野党は個別の問題についての政府批判には躍起となるが、野党⾃⾝が⽇本をトータルにどうしていきたいのか、与党と対⽐できるビジョンを提起しているわけではない。…

続きは、毎日新聞「政治プレミア」ホームページにてご覧いただけます。
https://mainichi.jp/premier/politics/田中均/
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