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国際戦略研究所 田中均「考」

【毎日新聞・政治プレミア】10.31総選挙の選択 −⽇本が繁栄を取り戻すために

2021年10月14日 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所理事長


危機意識なき政治に終⽌符を打とう
 「⽇本」という視座に⽴った時、10.31総選挙に望むことは多い。今度の総選挙で直ちに実現することはできないのだろうが、少なくとも将来に向けて確かな歩みとなることを願う。なぜ、今、「⽇本」という視座が必要なのか。それはあらゆる⾯における⽇本の劣化が⽌まらないからである。世界の30年の歩みは、冷戦が終わり、グローバリゼーションが新興国の急激な経済成⻑を加速させ、⽶国では⾦融・ITを中⼼にダイナミックな発展を続け、欧州ではユーロの導⼊をはじめ欧州統合に⼤きく前進していった。⽇本では何が起こったのか。ほとんど成⻑は起こらず、1990年には名目GDP(国内総⽣産)で⽶国のおよそ54%、中国の約8倍であったものが30年たった2020年には⽶国の24%、中国の34%と急激に低下し、相対的な国⼒は⼤きく変化した。まさに「失われた時代」だった。労働⽣産性の低下、少⼦⾼齢化、公的債務のGDP⽐の悪化など主要な経済指標を捉えても、主要先進国の優等⽣的地位から劣等⽣に転落した。21年のジェンダーギャップ指数では世界120位(世界経済フォーラム、156カ国)、報道の⾃由度では世界67位(国境なき記者団、180の国と地域)にランキングされており、社会的指標においても劣る。この10年近くは政権与党が国会で圧倒的多数を占め、強い政権基盤があったのにもかかわらず、政治は思い切った⾏動に出ることはなく、ほとんどの指標がどんどん悪化した。「アベノミクス」は象徴的だ。株価を上げ、円安で輸出産業を潤したが、⼤企業の内部留保が⼤きく拡⼤しただけで、労働賃⾦は増えず、需要は拡⼤されず、デフレは続き、国⺠経済に進展をもたらすことはなかった。新型コロナウイルス対策としてやむを得ないものはあるが、それでも財政資⾦の⽀出は際限なく、今や政府債務残⾼のGDP⽐で⾒れば、⽇本はベネズエラやスーダンといった深刻な債務危機にある国々に次いで世界3位である。そして⾃⺠党総裁選挙をみても、指導者には危機意識が全く感じられない。安倍・菅政権を総括することはなく、結局、岸⽥政権は9年の⾃⺠党政治の延⻑と映る。それで良いはずがない。

選挙で「非⾃⺠」への選択をする理由
 ⻑期の与党への権⼒の集中が⽣んだ最⼤の弊害は競争的政策形成プロセスが消滅してしまったことだろう。官邸に権⼒が集中し、官邸主導体制がもたらしたものは既得権益の擁護であり、⼗分に練られた戦略の⽋如だったのだろうと思う。

続きは、毎日新聞「政治プレミア」ホームページにてご覧いただけます。
https://mainichi.jp/premier/politics/田中均/
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