わが国の動向 わが国では、2023年5月より、福井県永平寺町において、レベル4の自動運転移動サービスが開始された。この自動運転車両が走行する環境は、通常人通りの少ない歩道であり、他の車両などの侵入もない。また、弊社が幹事会社を担っている経済産業省と国土交通省が共同で進めている「RoAD to the L4」のテーマ2では、永平寺に続く社会実装先として、日立市の日立電鉄線跡地のBRT(線路を道路にして専用道路を走行)を対象に想定している。これらは、先ほど紹介したフランスの「公共交通のみ走る道路から自動化が検討されていく」流れと同じといえるだろう。 ただ、フランスでは、まちづくり政策の一環として公共交通を組み込み、公共交通を円滑にするために公共交通専用道を設定したうえで、自動化していく流れがみえる点で包括的である。これに対して、わが国では、今ある専用道路を走るバスを単純に自動化していくだけにとどまっており、「そのような専用道路の公共交通が全国にどれだけあるのか」という疑問が次に呈せられることがもっぱらで、普及し易い走行環境を如何に創出していくかのような話しにはなっていない状況だ。
「RoAD to the L4」のテーマ2では、2025年までに全国50か所程度での自動運転移動サービスの展開を目標として掲げ、我々も幹事会社として取組を推進しているところである。しかし、この目標を達成していく広がりを作るためには、フランスのように地域のまちづくりの政策に公共交通を組み込み、自動走行し易い走行環境(=公共交通が走行し易い環境でもある)の整備が必須であり、国内で、そうした認識を醸成していかなければなるまい。