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Sohatsu Eyes

次世代型ゼロエミッションシステム

2008年10月07日 武藤一浩


先日開催された第10回自動認識展で、当社と積水ハウスさんが共同で進めている「次世代型ゼロエミッションシステム」の表彰式(社団法人日本自動認識システム協会が主催する第10回「自動認識システム大賞」の「フジサンケイビジネスアイ賞」)がありました。
本システムは、当社が立ち上げた民間コンソーシアム(MATICSコンソーシアム【約40社が参加:2004年1月~2006年度末】)で検討したモデルの一つを具現化したものといえます。

  3R(リデュース、リユース、リサイクル)の分野では、排出事業者が推進するリサイクル活動に思うような成果があがらないなどの課題があります。これは、静脈分野(廃棄や3Rに関する分野のこと。一方、動脈分野とは、通常の製造・流通の分野を示す。)の物流・事業構造が不透明であるとともに、「排出」、「収集運搬」、「処理」における各関係者間での情報共有が進んでいないことに起因しています。
これらの課題を抱える静脈分野に対して、当社では、ICタグやIT技術の活用が有効と考え、ゼロエミッション活動の先進企業である積水ハウスさんと共同で、新築施工現場から発生する建設副産物(木材、床材、石膏ボードなど)について、次世代型のゼロエミッションシステムの構築を目指しています。
実際、本システムを導入している支店の一部では、1棟当たりの平均廃棄物発生量で約1tの削減を達成しています。これは重量比で原投入量に対し約2.4%の削減です。
また、本システムにより、現場(棟、邸、拠点、資源循環センター)ごとにゼロエミッションの取組み成果が明確になるため、意識や理解の獲得につながり、各現場に3Rの取組みを自発的に進めるインセンティブ付けにもなっています。結果、現場美化・安全環境の確保や作業効率の改善が進み、顧客満足度の向上にも効果が波及し始めました。
更に、分別精度の更なる向上により、従来は焼却による熱回収でのリサイクルであったものはマテリアルリサイクルが可能となり、既にマテリアルリサイクルを行っていたものの一部は有価売却が可能にもなっています。

積水ハウスさんは、今後1棟あたりの建設副産物発生量を800kgにまで減らす目標を掲げています。この達成に向け、本システムによる情報共有を、施工現場の業務改革だけではなく、上流工程となる設計・生産工場、物流までを含めた全体の改善に役立てるよう、モデルを深化していく予定です。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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