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Sohatsu Eyes

インドネシアのバイオマスエネルギー

2006年05月12日 三輪泰史



東南アジアに位置するインドネシアは、豊富な自然を有し、1万以上の島々から成ることから、「赤道にかけられたエメラルドの首飾り」と形容されています。近年、そのインドネシアにおいて、バイオマスエネルギーに対する関心が高まっています。

インドネシアのエネルギー供給事情は都市部と農村部で大きな差があります。農村部における電力供給事情はあまり良くなく、1000万世帯程度の非電化世帯が存在するとの報告もあります。東南アジア有数のエネルギー生産国であり、石油・石炭・天然ガス等の輸出を行っているにも関わらず、なぜ国内で非電化世帯があるのか疑問に思われるかも知れませんが、島国に起因する物理的な距離と著しい貧富の格差により、非電化地域が生じているのです。

このような電力事情の悪い地域に対するソリューションとして、バイオマスエネルギーが有効だと考えられています。熱帯地域に位置するインドネシアでは、全国的に農業が盛んであり、主な農産物はコメ、サトウキビ、オイルパーム、天然ゴム、キャッサバ等となっています。生産量が多く、しかも品目によっては多期作が可能なため、年間通じて安定的にバイオマス供給が可能な点が特徴的です。

一方、エネルギー政策上では、バイオマスエネルギーは風力や太陽エネルギーに比べて若干優先度が低くなっています。また、化石燃料に対する補助が手厚いため、バイオマスエネルギーはコスト競争力が低いと認識されています。実際、以前インドネシアの農業省(Ministry of Agriculture)にてディスカッションをした際にも、バイオマスエネルギーの普及には未だいくつもの障害があるとの厳しい意見が出ていました。

このような状況により現地の民間企業ベースではなかなか普及の突破口が開けないため、海外からの開発援助やCDM事業に大きな期待がかかっているのです。インドネシアにおけるバイオマスエネルギーの今後の展開に注目していきたいと思います。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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