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2007年08月14日

2007~08年度改訂見通し(4~6月期1次QE公表後)

1~3月期は実質年率+0.5%成長
(1)  4~6月期のわが国実質GDP(1次QE)は前期比年率+0.5%。10四半期連続のプラス成長となったものの、プラス幅は昨年10~12月期の同+5.4%、本年1~3月期の同+3.2%から鈍化。
(2)  成長ペース鈍化の主因は、a.対米輸出の減少、b.賃金が伸びないなかでの家計需要の  ペースダウン(個人消費の増勢一服・住宅投資の減少)、の2点。
(3)  もっとも、a.資源国市場の掘り起こしなどを通じた輸出先の多様化が、対米輸出減少の影響を吸収している(輸出は全体で拡大傾向を維持)、b.設備投資のプラス幅が1~3月期対比拡大した(実質年率+4.9%←+1.4%)、c.この結果、実質GDP全体の前年同期比は引き続き+2%台を確保している(+2.3%)など、わが国経済の底堅さをうかがわせる側面も。
(4)  また、GDPデフレーターは、資源高・円安に伴う輸入デフレーターの騰勢加速(GDPデフレーター低下に寄与)がみられたものの、a.円安を主因とした輸出デフレーターの上昇、b.建設資材や燃料の分野で原材料価格の高騰を販売価格に転嫁する動きが生じたことなどから、3四半期ぶりの前期比プラスに(年率+0.5%。国内需要に限れば同+1.5%と1997年4~6月期以来のプラス幅に)。
 この結果、名目GDPは同+1.1%(3四半期連続のプラス成長)。
(5)  なお、今回の1次QEは、前期比で減速感が強まる形となったものの、景気回復メカニズムが引き続き作動しているほか、国内市場のデフレ色が薄らいできていることを裏づけ。このようにみれば、日本銀行による「8月利上げ」の可否に対し、1次QEが及ぼす影響はニュートラルと判断される。
 もっとも、米国サブプライム問題を背景とした国際金融・資本市場の動揺が直ちに収まる可能性は小さく、これが高いハードルとなる形で、実際の利上げは9月以降にズレ込む公算が大きい。
わが国実質成長率<前期比年率>の部門別寄与度
わが国実質成長率<前期比年率>の部門別寄与度
  (資料) 内閣府
(注) 家計=個人消費+住宅投資、企業=設備投資+在庫投資、
官公=政府消費+公共投資+公的在庫
  地域別実質輸出の推移
<季調後後方3ヵ月移動平均値>
地域別実質輸出の推移<季調後後方3ヵ月移動平均値>
雇用者報酬と家計消費の推移
<名目> 雇用者報酬と家計消費の推移<名目>
  (資料) 財務省、日本銀行
(注1) 凡例< >内は2006年度名目輸出77.5兆円に占めるウエイト(%)。
(注2) その他:中東、中南米、大洋州、ロシアなど。
(資料) 内閣府
(注) 家計消費は持家帰属家賃を除く。
回復傾向が続くものの、成長ペースの明確な加速は困難
(1)  景気の先行きを展望すると、a.新興国・資源国向け輸出の好調持続、b.ITデバイス以外の分野における低水準の在庫率、c.企業部門における潤沢なマネーストックを背景に、底堅さを維持。

  このもとで、(イ)企業部門主導での米国景気の持ち直し、(ロ)非製造業による設備投資の増勢拡大、(ハ)団塊世代向けの退職一時金増加に伴うプラス影響の本格化、(ニ)ITデバイス分野における在庫調整の一巡といったポジティブ材料が加わっていく結果、四半期ごとの成長ペースは来春にかけ上向く方向。
(2)  もっとも、以下の要因が重石となるなか、成長ペースの明確な加速には至らない公算。2007年度通期の実質成長率は+2.2%と5年連続の2%成長となるものの、2006年度対比では小幅上昇にとどまる見通し。
  1. 米国景気は、住宅市場の調整持続とそれに伴う資産効果の減衰を主因に、回復ペースが緩やかに(*)。 
  2. 原材料価格上昇と低価格競争の双方に引っ張られる形での中小企業の業況回復の遅れ。 
  3. 賃金の低迷、各種家計負担の逓増が、引き続き家計部門(とりわけ現役世代)の支出活動を抑制。
(3)  2008年度入り後は、2007年度下期の緩やかな景気回復の構図がしばらく続くものの、北京オリンピックを境に年度下期は、a.中国の投資需要を中心とした海外需要のスローダウン、b.設備投資効率の改善ペース鈍化に伴い国内設備投資を抑制する動きが生じる可能性。年度通期の成長率は+2.0%と、2007年度対比小幅鈍化を予想(**)。
(4)  消費者物価(除く生鮮食品、前年比)は、携帯通話料引き下げなどによる下押し影響がしばらく残るものの、a.マクロの需給バランスの改善傾向、b.サービス価格のプラス傾向定着、c.原油価格のジリ高などを勘案すれば、早晩ゼロに浮上し、その後も徐々にではあるがプラス傾向を強めていく可能性が高い。
  (*)さらに、米国サブプライム問題が長期化し、内外金融・資本市場のリスク許容度が回復しない場合、家計における資産効果減衰などのルートで、わが国実体経済への下押し圧力が強まる可能性も。
(**)今回予測より「2009年4月の消費税率2%ポイント引き上げ」の前提を除いた(今般の政治情勢などを勘案)。
わが国経済成長率・物価見通し
わが国経済成長率・物価見通し
  (資料) 内閣府、総務省。予測は日本総研。
(注1) 当予測における主な前提は以下の通り。
  1. 米国景気の減速は足元で一応の歯止め。ただし、明確な成長ペース加速は当面困難(実質成長率は06暦年:+2.9%<績>、07暦年:+1.9%、08暦年:+2.8%)。
  2. 原油輸入価格(入着CIFベース、1バレルあたり、年度平均)は、2006年度:64ドル<実績>、07年度67ドル、08年度69ドル。
  3. 日銀は2007年秋に政策金利を0.25%ポイント引き上げ。その後もほぼ半年に0.25%ポイントずつのペースで利上げ継続。
  4. 2009年4月の消費税率引き上げは見送り。
  5. 円ドル相場(年度平均)は、2006年度:117円<実績>、07年度:120円、08年度:118円。
(注2) 6月12日公表(1~3月期2次QE後)の成長率予測値は以下の通り。

<実質>
2006年度:+2.1%→07年度:+2.4%→08年度:+2.4%(09/4の消費税率引き上げを想定、引き上げ見送りの場合は+2.1%)。

<名目>2006年度:+1.4%→07年度:+2.4%→08年度:+2.6%(09/4の消費税率引き上げを想定、引き上げ見送りの場合は+2.3%)。
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