コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

会社情報


2007年07月31日

2007年4~6月期GDP統計予測

4~6月期は年率0.6%成長
(1)  4~6月期のわが国実質GDP(1次QE、8月13日公表予定)は前期比+0.2%(年率換算+0.6%)と予想。10四半期連続のプラス成長となるものの、プラス幅は昨年10~12月期の前期比+1.3%、本年1~3月期の同+0.8%から鈍化する見込み。
(2)  前期比でみた成長ペース鈍化の主因は、a.対米輸出の頭打ち、b.賃金伸び悩みのなか、旅行・家電分野を中心とした個人消費の増勢に一服感が生じたこと、の2点。
(3)  もっとも、a.資源国市場の掘り起こしなどを通じた輸出先の多様化が、対米輸出頭打ちの影響を吸収している(輸出は全体で拡大傾向を維持)、b.設備投資のペースダウンの程度が緩やかなものにとどまっている(1次速報段階での前期比プラス幅は1~3月期対比やや拡大)、c.この結果、実質GDP全体の前年同期比は引き続き+2%台を確保している(+2.3%)など、わが国経済の「粘り腰」をうかがわせる側面も。
(4) 主要需要項目、およびGDPデフレーターの動きは以下の通り。

イ)個人消費(実質:前期比+0.0%、年率換算+0.1%)
 実質・前期比で横這いを予想。8月3日公表の「家計消費状況調査(6月速報)」の結果次第では、小幅マイナスとなる可能性も。
 賃金が伸び悩むもとで、1~3月期にみられた旅行・家電の強めの増勢に一服感。乗用車需要の縮小傾向も持続。
 もっとも、外食など好調が続く分野もあるなか、全体の前年同期比は+0.8%と2006年度の平均伸び率+0.7%を若干上回る形。今回の動きで個人消費の基調が崩れ始めたとまでみるのは早計と考えられる。

ロ)設備投資(実質:前期比+1.1%、年率換算+4.4%)
 1次速報値における前期比プラス幅は1~3月期(+0.3%)対比やや拡大。各種指標の動きからは製造業のスローダウンがうかがえるものの、流通や金融といった非製造業が堅調に推移し、全体を下支えているものと考えられる。

ハ)純輸出(実質前期比寄与度:▲0.0%ポイント、年率寄与度▲0.1%ポイント)
 わずかながらも前期比で4四半期ぶりのマイナス寄与に(1~3月期の前期比寄与度は+0.4%ポイント)。
 内訳をみると、輸出は前期比+0.9%(年率換算+3.7%)と、1~3月期の同+3.3%(年率+13.8%)からスローダウン。a.米国向けの減少(自動車、建設機械など)、b.1~3月期に急増した中国向け電子デバイス(日本への逆輸入を企図したゲーム機用部品など)でやや反動減が生じたことが主因。もっとも、a.内需が堅調なEU向け、b.中東・ロシアなどの「資源国」向け、c.IT関連財以外の中国向け輸出は増勢が続いており、輸出全体の拡大基調そのものは維持。
 一方、輸入は、民生用機械を中心に1~3月期の増勢をやや上回る動き(実質+1.6%、年率換算+6.4%)。ただし、個人消費の増勢に足元一服感が出ていることなどを勘案すると、輸入品の一部は流通在庫となっている可能性がある(ちなみに、大規模卸売店における6月末時点の商品手持額・前年比は+14.3%と、3月末の+7.2%からプラス幅拡大。在庫投資の押し上げ要因に)。

ニ)GDPデフレーター(前期比▲0.0%、前年同期比▲0.5%)
 前期比ほぼ横這い。建設関連(住宅投資・公共投資)が強含んだものの、a.消費デフレーターの軟調、b.輸入デフレーターの騰勢加速(GDPデフレーター低下に寄与)が全体を押し下げ。
 この結果、4~6月期の名目GDPは前期比+0.1%(年率換算+0.5%:3四半期連続のプラス成長、前年同期比では+1.7%)。
(5)  なお、今回の1次QEが当社予測通りとなる場合、前期比では減速感が強まる形となるものの、景気の回復メカニズムは引き続き作動。このため、日本銀行による「8月利上げ」の可否に対し、1次QEが及ぼす影響はニュートラルになると予想。
 むしろ、a.米国サブプライム問題やわが国政治情勢を背景とした金融・資本市場の動揺が今後どのように展開していくか、b.それが先行きの実体経済に与える影響は限定的にとどまるのかどうかといったことのほうが、「8月利上げ」を決断する際の大きな論点となろう。
(図表1) 4~6月期GDP統計<1次速報値>予測の概要
(図表1) 4~6月期GDP統計<1次速報値>予測の概要

(資料) 内閣府、日本総合研究所
(注) 国際収支統計の確報公表を受け、当予測では2007年1~3月期の輸入・GDPに微修正を加えている。
(図表2) わが国実質成長率<前期比年率>の部門別寄与度
(図表2) わが国実質成長率<前期比年率>の部門別寄与度
(資料) 内閣府。予測は日本総研。
(注) 家計=個人消費+住宅投資、企業=設備投資+在庫投資、官公=政府消費+公共投資+公的在庫。
(図表3) わが国実質成長率<前年同期比>の部門別寄与度
(図表3) わが国実質成長率<前年同期比>の部門別寄与度

(資料) 内閣府。予測は日本総研。
(注1) 家計=個人消費+住宅投資、企業=設備投資+在庫投資、官公=政府消費+公共投資+公的在庫
(注2) シャドー部分は景気後退期(内閣府)。
(図表4) GDP統計予測表
(図表4) GDP統計予測表

(資料) 内閣府、日本総合研究所
(注) 国際収支統計の確報公表を受け、当予測では2007年1~3月期の輸入・GDPに微修正を加えている。
会社情報
社長メッセージ

会社概要

事業内容

日本総研グループ
ニュースリリース

国内拠点

海外拠点
人材への取り組み
環境への取り組み
ダイバーシティ&健康経営
会社案内(PDF版)
メディア掲載・書籍
インターンシップ

会社情報に関する
お問い合わせ