コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

会社情報


2007年07月27日

自治体財政健全化法と地方財政への影響

要旨
1.  自治体財政健全化法が、2007年6月15日に成立し、指標の公表に係る規定の施行が公布後1年以内に、また計画策定義務等に係る規定が2009年度から施行されることとなった。同法は、①普通会計だけでなく、公営企業や公社・第三セクターなどまで監視対象を拡大すること、②単年度フローだけでなく、ストック面にも配慮した財政状況の判断指標を導入すること、③財政悪化を可能な限り早い段階で把握し、財政状態の改善に着手させること、という特徴がある。
2.  公表される財政健全性の指標は自治体全体に関わるものが四つ、公営企業に関するものが一つとなっている。具体的には、前者が実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率、後者が資金不足比率である。
3.  実質赤字比率について、地方債発行管理の基準値を使用して早期是正措置の対象となるとみられる自治体を試算すると、関西の市町村では5団体ある。関西以外では夕張市を除き3団体であり、関西に集中している。
4.  連結実質赤字比率は、政府で検討中の算定方法の内容次第で数値の変動が予想されるが、仮に3と同様の基準値を用いて、公営事業会計が赤字となっている関西の市町村について、試算してみると17団体となる。中には赤字比率の値が大きな自治体もある。
5.  地方債発行における起債制限の新旧の基準である実質公債費比率と起債制限比率により、新しい基準に移行する影響を試算してみると、全国1,844自治体のうち起債制限比率で許可団体となるのは260団体(14.1%)であったが、実質公債費比率では382団体(20.7%)と大きく増加する。関西についてみると、実質公債費比率によって起債許可に該当する自治体は26.6%(207団体中55)あり、全国の22.3%に比べて大きい。
6.  新しい判断指標によって、①公営事業に対して必要な繰出金を行わず、普通会計を黒字にするような操作、②公営企業や一部事務組合等が出す地方債残高の普通会計負担への影響、③地方公社、第三セクターまで含めた自治体の後年度の債務負担、が監視可能となる。
7.  新法成立を受けた今後の課題として、①指標公表の仕組みを活かした、住民の自治体財政への関心や議会の監視機能の充実、②自治体の一層の情報開示、③補完的な指標の導入や指標算出に判断の余地が入る場合のルールの明確化、④現実に経営が厳しい地方公営企業や地方公社、第三セクター等について、債務処理や自治体の責任のあり方の検討、が挙げられる。
会社情報
社長メッセージ

会社概要

事業内容

日本総研グループ
ニュースリリース

国内拠点

海外拠点
人材への取り組み
環境への取り組み
ダイバーシティ&健康経営
会社案内(PDF版)
メディア掲載・書籍
インターンシップ

会社情報に関する
お問い合わせ