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2007年06月12日

2007~08年度改訂見通し(1~3月期2次QE公表後)

当面減速も、2007年度下期は再加速へ
(1)  内閣府が6月11日に公表した1~3月期2次QEによると、実質成長率は前期比年率+3.3%と、1次QEの同+2.4%から上方修正。
 とりわけ、「法人企業統計季報」を新たに反映することで設備投資が前期比プラスに改訂(実質年率+1.0%←1次QEでは同▲3.7%)されたことが、全体の上方修正に大きく影響(実質GDP伸び率への寄与度でみると、年率で+0.8%ポイント上方修正)。
 この結果、2006年度の実質成長率は+2.1%となった(1次QEの段階では+1.9%)ほか、2007年度への成長率の「ゲタ」も+1.4%へ上方修正(1次QEでは+1.2%)。
(2)  もっとも、このところの機械受注や建築着工統計の動きをみると、足元の設備投資の実勢は製造業を中心にペースダウン。1~3月期は前期比プラスに上方修正されたものの、その分、4~6月期の設備投資はマイナスに転じる可能性が高まったと判断している。
(3)  今回の2次QEを反映した当社成長率予測は以下の通り。景気コースについての基本的な見方は、前回(1次QE後の5月18日公表)から変えていないが、a.「ゲタ」の上方修正、b.足元における設備投資先行指標の弱めの動きなどを踏まえ、予測値を微修正(2007年度実質成長率は0.1%ポイント上方修正、08年度は0.1%ポイントの下方修正)。
 わが国景気の現状は、総じて回復傾向を維持しているものの、一部に弱めの材料がみられる。すなわち、個人消費の持ち直しや輸出の拡大が続いているものの、設備投資が製造業を中心にペースダウン。
 景気の先行きを展望すると、当面は、a.米国景気減速と先行き不透明感残存の影響(輸出下押し作用および設備投資先送り)、b.一部分野の高水準の在庫率、c.国から地方への税源移譲に伴う家計向け課税時期の変更(6月の住民税増加)を背景に、やや減速感が強まる公算。
 もっとも、わが国経済は相当程度のショック吸収力を保持。米国景気が腰折れしない限り、景気が底堅さを維持していくことは可能。
  1. 輸出先の多様化(新興国、資源国など)
  2. 鉱工業全体の在庫率は低水準を維持 …
    とりわけ、金属セクターやIT最終財の在庫率は過去最低。昨年末以降調整色がみられるITデバイスも、なお楽観は禁物ながら、世界的な設備稼働率の下げ止まりなど明るい材料も。こうしたもとで、鉱工業全体で生産調整が長期化・深刻化するリスクは小。
  3. 企業部門における潤沢なマネーストック …
    企業の中期的な期待成長率が2%台を回復してきたこともあり、設備投資や雇用には短期的な収益動向にかかわらずなお拡大の余地。
    設備投資は、各種先行指標の動きからみて当面弱めの動きが残るとみられるが、夏場以降、米国景気の不透明材料が払拭されていくにつれ、増勢を回復していく可能性が高い。
 こうしたなか、個人消費は、賃金回復力の強まりに大きな期待を寄せづらいほか、上述の課税時期変更の影響が目先の増勢を抑える公算。しかしながら、a.雇用情勢の改善、b.団塊世代向けの退職一時金増加、c.金利・配当収入の増加、d.地価の下げ止まり・持ち直し傾向を踏まえれば、やや長い目でみた消費の方向は上向きと判断。秋口以降、徐々に底堅さを増していく展開を予想。
 以上のもとで、実質成長率(前期比年率)は、2007年度上期に+2%弱の水準まで鈍化した後、下期に再加速。年度通期では+2.4%と5年連続の2%成長へ。
 2008年度については、2007年度下期の景気回復の構図がしばらく続くものの、北京オリンピックを境に年度下期は、a.中国の投資需要を中心とした海外需要のスローダウン、b.設備投資効率の上昇ペース鈍化を受けた国内設備投資の弱含み、が生じる可能性。この結果、景気の「実勢」も次第に弱まっていく展開が予想される。
 もっとも、2009年4月に消費税率引き上げが実施される場合、「駆け込み需要」の盛り上がりにより景気の振れが生じることに。この結果、2008年度は07年度と同程度の成長率を維持するものの、2009年度にその反動が出る可能性が高い。
  消費者物価(除く生鮮食品、前年比)は、石油製品価格の騰勢鈍化、携帯通話料引き下げなどによる下押し影響がしばらく残るものの、a.マクロの需給バランス改善が続いていくと見込まれること、b.サービス価格のプラス傾向定着、c.原油価格が今後ジリ高となる可能性などを勘案すれば、早晩ゼロに浮上し、その後も徐々にではあるがプラス傾向を強めていく見通し。
(株)日本総合研究所
わが国経済成長率見通し
わが国経済成長率見通し
  (資料) 内閣府、総務省。予測は日本総研。
(注1) 当予測における主な前提は以下の通り。
  1. 米国景気の減速は2007年央前後に歯止め(実質成長率は05暦年:+3.2%、06暦年:+3.3%<実績>、07暦年:+1.9%、08暦年:+2.9%)。
  2. 原油輸入価格(入着CIFベース、1バレルあたり、年度平均)は、2005年度:55ドル、06年度64ドル<実績>、07年度64ドル、08年度68ドル。
  3. 日銀は2007年後半以降、ほぼ半年に0.25%ポイントずつのペースで政策金利を引き上げ。
  4. 消費税率は2009年4月に2%ポイント引き上げ。
  5. 円ドル相場(年度平均)は、2005年度:113円、06年度:117円<実績>、07年度:119円、08年度:116円。、07年度:117円、08年度:115円。
5月18日公表(1次QE後)の成長率予測値は以下の通り(08年度の< >内は2009年4月に消費税率引き上げがない場合)。
<実質>2006年度:+1.9%→07年度:+2.3%→08年度:+2.5%<+2.2%>。
<名目>2006年度:+1.3%→07年度:+2.2%→08年度:+2.6%<+2.4%>。
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