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2007年05月18日

2007~08年度改訂見通し(1~3月期1次QE公表後)

1~3月期は実質年率+2.4%成長
(1)  1~3月期のわが国実質GDP(1次QE)は前期比+0.6%(年率換算+2.4%)と、成長ペースが昨年10~12月期対比鈍化したものの、引き続き1%台半ばと目される潜在成長率を上回る形(9四半期連続のプラス成長)。
 前年同期比でも+2%台を維持(+2.0%)し、景気回復トレンドが維持されていることが確認された。
(2)  需要項目別にみると、今回の成長は、1.デジタル家電、旅行・外食などのサービス分野が主導する形で個人消費の持ち直しが続いたこと、2.新興国・資源国市場の掘り起こし効果やユーロ高を背景とした欧州向け販売増が対米輸出弱含みの影響を吸収し、財・サービス輸出が5四半期ぶりの年率2ケタ増になったことが主因。
 半面、設備投資は5四半期ぶりの前期比マイナス。10~12月期における大幅増の反動という側面もあるが、1.2月下旬に生じた世界同時株安、2.米国景気に対する先行き不透明感の強まりを背景に、短期的な投資先送りの動きが生じた模様。
(3)  また、GDPデフレーターは、1.個人消費デフレーターの軟調、2.輸入デフレーターの騰勢再加速からややもたつき感が生じ、前期比では再びマイナス(▲0.3%)に。
 もっとも、前年同期比でみたマイナス幅は引き続き縮小の方向(▲0.2%)にあり、この結果、名目GDPの前年同期比は+1%台後半の伸びを維持(+1.8%)。
わが国実質成長率<前期比年率>の部門別寄与度
わが国実質成長率<前期比年率>の部門別寄与度
  (資料) 内閣府資料をもとに日本総研作成
(注) 家計=個人消費+住宅投資、企業=設備投資+在庫投資、官公=政府消費+公共投資+公的在庫
  家計消費増減率<実質・前期比年率>の
形態別寄与度
家計消費増減率<実質・前期比年率>の形態別寄与度
地域別実質輸出の推移
<季調値>

  (資料) 内閣府資料をもとに日本総研作成 (資料) 財務省、日本銀行
(注1) 凡例< >内は2006年度名目輸出77.5兆円に占めるウエイト(%)。
(注2) その他:中東、中南米、大洋州、ロシアなど。
当面足踏みも、2007年度下期は再加速へ
(1)  景気の先行きを展望すると、当面は、1.米国景気の減速と先行き不透明感残存の影響(輸出下押し作用および短期的な設備投資先送り)、2.ITデバイスなど一部産業の高水準の在庫率、3.国から地方への税源移譲に伴う家計向け課税時期の変更(6月の住民税増加)を背景に、足取りの重さが残る公算。
 加えて、4.中小企業の業況回復ペースの遅れが景気全体の加速にブレーキをかける、という構図が解消するにはなお時間。
(2)  もっとも、わが国経済は相当程度のショック吸収力を保持。米国景気が腰折れしない限り、景気が底堅さを維持していくことは可能。

1.輸出先の多様化(新興国、資源国など)
 
2.鉱工業全体の在庫率は低水準を維持 …
とりわけ、金属セクターやIT最終財の在庫率は過去最低。このため、鉱工業全体で生産調整が長期化・深刻化するリスクは小。
3.企業部門における潤沢なマネーストック …
企業の中期的な期待成長率が2%台を回復してきたこともあり、設備投資や雇用にはなお拡大の余地。設備投資は、各種先行指標の動きからみて目先弱めの動きが残るとみられるが、夏場以降、米国景気に対する不透明感が払拭されていくにつれ、増勢を回復していく可能性が高い。
(3)  こうしたなか、個人消費は、賃金回復力の強まりに大きな期待を寄せづらいほか、上述の課税時期変更の影響が目先の増勢を抑える公算。しかしながら、1.雇用情勢の改善、2.団塊世代向けの退職一時金増加、3.金利・配当収入の増加、4.地価の下げ止まり・持ち直し傾向を踏まえれば、やや長い目でみた消費の方向は上向きと判断。本年秋口以降、徐々に底堅さを増していく展開を予想。
(4)  以上のもとで、実質成長率(前期比年率)は、2007年度上期に+2%弱の水準まで鈍化した後、下期に再加速。年度通期では+2.3%と、再び+2%台を回復する見通し。
(5)  なお、2008年度については、2007年度下期の景気回復の構図がしばらく続くものの、北京オリンピックを境に年度下期は、1.中国の投資需要を中心とした海外需要のスローダウン、2.設備投資効率の上昇ペース鈍化を受けた国内設備投資の弱含み、が生じる可能性。この結果、景気の「実勢」も次第に弱まっていく展開が予想される。
 もっとも、2009年4月に消費税率引き上げが実施される場合、「駆け込み需要」の盛り上がりにより景気の振れが生じることに。この結果、2008年度は高めの成長率となるものの、2009年度にその反動が出る可能性が高い。
(5)  消費者物価(除く生鮮食品、前年比)は、石油製品価格の騰勢鈍化、携帯通話料引き下げなどによる下押し影響がしばらく残るものの、1.マクロの需給バランス改善が続いていくと見込まれること、2.サービス価格のプラス傾向定着、3.原油価格が今後ジリ高となる可能性などを勘案すれば、早晩マイナス幅を縮小し、その後も徐々にではあるがプラス傾向を強めていく見通し。
(株)日本総合研究所
わが国経済成長率見通し
わが国経済成長率見通し
  (資料) 内閣府、総務省。予測は日本総研。
(注1) 当予測における主な前提は以下の通り。
  1. 米国景気の減速は2007年央前後に歯止め(実質成長率は05暦年:+3.2%、06暦年:+3.3%&実績>、07暦年:+2.2%、08暦年:+3.1%)。
  2. 原油輸入価格(入着CIFベース、1バレルあたり、年度平均)は、2005年度:55ドル、06年度64ドル&実績>、07年度64ドル、08年度68ドル。
  3. 日銀は2007年後半以降、ほぼ半年に0.25%ポイントずつのペースで政策金利を引き上げ。
  4. 消費税率は2009年4月に2%ポイント引き上げ。
  5. 円ドル相場(年度平均)は、2005年度:113円、06年度:117円<実績>、07年度:117円、08年度:115円。
(注2) 3月13日公表(10~12月期2次QE後)の成長率予測値は以下の通り。
<実質>2005年度:+2.4%→06年度:+2.1%→07年度:+2.4%。
<名目>2005年度:+1.0%→06年度:+1.4%→07年度:+2.4%。
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