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2007年05月01日

2007年1~3月期GDP統計予測

1~3月期は年率3.2%成長
(1)  1~3月期のわが国実質GDP(1次QE、5月17日公表予定)は前期比+0.8%(年率換算+3.2%)と、昨年10~12月期に続き、1%台半ばと目される潜在成長率を大きく上回る成長(9四半期連続のプラス成長)となる見込み。
 前年同期比でみても2004年4~6月期以来の+3%台(+3.0%)に乗せた公算。
(2) 今回の「3%成長」は、1.サービス分野が主導する形で個人消費の回復力復元が続いていること、2.新興国・資源国市場の掘り起こし効果が対米輸出弱含みの影響を吸収し、財・サービス輸出が5四半期ぶりの年率2ケタ増となったことが主因。
(3) このところ、1.3月日銀短観・業況判断DIの2年ぶり低下、2.1~3月期鉱工業生産・前期比の6四半期ぶりマイナス(▲1.4%)など、産業別には製造業、企業規模別には中小企業を中心とした「景気足踏み」材料が出続けているが、今回の1次QEは非製造業、あるいは大企業が下支え役となっているもとでの「景気の底堅さ」を強く示した内容となる公算。
 結局、一連の国内景気指標の内容を総合すれば、「足取りに重さがみられるものの、回復基調自体は維持されている」との現状認識が妥当。
(4) 主要需要項目、およびGDPデフレーターの動きは以下の通り。

イ)個人消費(実質:前期比+0.7%、年率換算+3.0%)
 実質・前期比ベースでは、1.外食などのサービス、2.デジタル家電への支出が牽引し、10~12月期に次ぐ強めの伸びとなったが、消費の基調は、昨年4~6月期以降の前年同期比の動き(+1.5%→▲0.3%→+0.5%→+1.3%)が示すように、天候要因・株価動向の影響による昨年後半の大幅な振れが一巡し、緩やかではあるが今回景気回復局面における平均的な消費回復ペースに復帰してきたとの判断が可能。
 もっとも、賃金伸び悩みのもとでの家計の「メリハリ意識」は根強く存在。業態・商品ごとの売れ行きに「まだら模様」が生じている状況は変わらず。

ロ)設備投資(実質:前期比+1.1%、年率換算+4.3%)
 10~12月期の年率2ケタ増(+13.2%)からは鈍化したものの、1.設備投資効率の改善持続、2.潤沢なマネーストックを背景とした拡大基調が持続。3月日銀短観の半期ごとの集計結果にもとづけば、足元では大企業の素材業種による投資がリード役となっている模様。

ハ)在庫投資(実質前期比寄与度:▲0.2%ポイント、年率寄与度▲0.7%ポイント)
 製造業の一部(とりわけ輸送機械、IT関連財)における製品在庫削減を主因に、2四半期連続の減少。

ニ)純輸出(実質前期比寄与度:+0.4%ポイント、年率寄与度+1.6%ポイント)
 輸出の増勢加速を主因に、10~12月期の+0.1%ポイント(年率+0.4%ポイント)から拡大。
 内訳をみると、輸出は5四半期ぶりの年率2ケタ増(実質前期比+3.3%、年率換算+14.0%)。米国向けが建設機械・自動車を中心に弱含みとなったものの、1.内需が堅調なEU向け、2.中東・ロシアなどの「資源国」向け(自動車が中心)、3.IT関連財を中心とした中国向け(日本への逆輸入を企図したゲーム機用部品を含む)の好調がカバー。加えて、4.新興国の貿易拡大に伴うわが国海上輸送サービスの受取額増加(日本以外の第三国向けも含めた新興国の輸送需要増→高い梱包技術や輸送能力をもつわが国海運業の業容拡大)、も全体の増勢加速に寄与。
 一方、輸入は、3四半期ぶりの前期比プラス(実質+1.0%、年率換算+4.0%)。1.航空機の増加、2.輸送・旅行などサービス支払の拡大が背景。もっとも、製造業の生産スピード調整を背景に、素原材料・中間財輸入がスローダウンしており、全体のプラス幅は輸出を大きく下回る形。

ホ)GDPデフレーター(前期比▲0.1%、前年同期比▲0.6%)
 9四半期連続の前期比マイナス。建設関連(住宅投資・公共投資)が強含んだものの、1.消費デフレーターの軟調、2.輸入デフレーターの2四半期ぶり上昇(+1.0%、GDPデフレーター低下に寄与)が全体を押し下げ。この結果、1~3月期の名目GDPは前期比+0.7%(年率換算+2.9%:2四半期連続のプラス成長、前年同期比では+2.4%)。
(5) なお、4~6月期以降の景気を展望すると、雇用・設備投資の拡大を原動力とした回復基調が持続する見込み。
 もっとも、1.企業部門におけるセクターごとのパフォーマンスのバラツキ、2.賃金の伸び悩みが個人消費の回復力を抑制する構図が、早晩解消される公算は小。
 高めの伸びとなる1~3月期個人消費の反動、米国景気減速の影響が見込まれることもあり、4~6月期の成長率は減速を示す見通し(今回の1次QE後に弊社成長率予測の見直しを予定)。
(図表1) 2007年1~3月期GDP統計<1次速報値>予測の概要
(図表1) 2007年1~3月期GDP統計

(資料) 内閣府、日本総合研究所
(注) 国際収支統計の確報公表を受け、当予測では2006年10~12月期の輸入・GDPに微修正を加えている。
(図表2) わが国実質成長率<前期比年率>の部門別寄与度
(図表2) わが国実質成長率<前期比年率>の部門別寄与度
(資料) 内閣府。予測は日本総研。
(注) 家計=個人消費+住宅投資、企業=設備投資+在庫投資、
官公=政府消費+公共投資+公的在庫。
(図表3) わが国実質成長率<前年同期比>の部門別寄与度
(図表3) わが国実質成長率<前年同期比>の部門別寄与度

(資料) 内閣府。予測は日本総研。
(注1) 家計=個人消費+住宅投資、企業=設備投資+在庫投資、
官公=政府消費+公共投資+公的在庫
(注2) シャドー部分は景気後退期(内閣府)。
(図表4) GDP統計予測表
(図表4) GDP統計予測表

(資料) 内閣府、日本総合研究所
(注) 国際収支統計の確報公表を受け、当予測では2006年10~12月期の輸入・GDPに微修正を加えている。
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