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2007年04月24日

限られた消費需要を巡り強まる業態間、都市間、繁華街間の集客競争

要旨
1. 個人消費を取り巻く環境は、景気上昇によって雇用・賃金情勢が改善してきているため、大きな流れとしては回復の方向にあるが、消費関連産業の景況感は他の業種に比べて総じて弱い。
2. 小売業は、最大の消費関連産業であるが、小売業の取扱品目に対する消費支出額の増勢が弱く、市場環境は全体として厳しい。小売業の販売額は1993年度の151.8兆円から2003年度には133.3兆円に減少している。市場規模が縮小する中で、売上高を確保するための顧客獲得競争が業態間、商業地区間で激しくなっている。業態別には、過去10年間で、専門店・中心店や百貨店が販売シェア、販売額を落とす一方で、専門スーパーや、コンビニエンスストア、ドラッグストアが販売シェア、販売額を伸ばしてきた。
3. 小売業市場規模(133.3兆円)を地域別にみると、最も大きいのは関東 で43.8兆円、続いて関西が21.5兆円、中部が15.8兆円となっている。各地域の小売業市場規模の差を決定付けているのは主として人口の違いであり、消費者が購買行動のために移動する範囲を包含するような広さを取って比較すれば、各地域の小売業市場規模はその地域の常住人口におおむね比例する。
4. 地域をより細分化して比較すると、消費者の居住地と消費支出を行う地区が必ずしも同じではないため、小売業市場規模は常住人口に必ずしも比例しない。関東では東京都区部、中部では名古屋市、関西では大阪市、京都市、神戸市に周囲の居住者の購買力が流れるため、こうした大都市では人口1人あたり小売業販売額が地域平均を上回っている。
5. 人口1人あたり小売業販売額が大きな東京都区部や大阪市の中でもさらに中心となる都心型大規模繁華街は、最も集客力の強い特別な商業エリアである。都心型大規模繁華街の間でも、集客力を競う動きが絶えず繰り返されている。
6. 関西では、今後予想される大阪市内の百貨店売場面積増加によって、繁華街同士の顧客獲得競争が一段と激しくなることが予想される。その影響は大阪市内、大阪府内にとどまらず、京都市や神戸市など関西全体の商業地区に広がる可能性が強い。業態別にみても、百貨店同士の競争にとどまることなく、総合スーパー、各種専門スーパー、各種専門店・中心店など他の業態も顧客獲得競争の枠の外にいることはできなくなるとみられる。
7. 企業誘致などを成功させることによって、2006年から2011年までの5年間に、過去5年間の関東や中部のように人口を約2%増やすことができれば、関西の小売業市場規模は約4000~4500億円程度拡大して、地区間の再開発競争や業態間の出店・売場面積拡張競争の激化を一部緩和できると期待される。他方、従来のように人口がほぼ横ばいであれば、関西全体としての小売業市場規模の拡大はあまり期待できず、地区間や業態間の顧客獲得競争はゼロサムゲームの様相を呈するおそれがある。
目次
 
  要 旨
  1. 消費関連産業を取り巻く最近の経済状況と業態別の動向


  2. 地域別、地区別の小売業市場規模を左右する要因


  3. 大都市圏における繁華街同士の競合
    (1)大都市圏と「地方」の商業地区競合の構図の違いと大都市圏の繁華街同士の競合
    (2)繁華街同士の競合~近隣のより大きな商業集積地区と競合する鉄道拠点への出店
    (3)繁華街同士の競合~最も商業集積が進んだ地区への追加的な出店
    (4)関西における今後の百貨店売場面積増加に対する示唆


  4. おわりにかえて
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