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2007年03月13日

2006~07年度改訂見通し(10~12月期2次QE公表後)

2006年度は実質2.1%成長、07年度は2.4%成長を予想
(1)  内閣府が3月12日に公表した10~12月期2次QEによると、実質成長率は前期比年率+5.5%と、1次QEの同+4.8%から上方修正。
 需要項目別にみると、今回の上方修正には、1.設備投資(実質値の前期比年率寄与度+2.1%ポイント←1次QEでは+1.5%ポイント、10~12月期法人企業統計季報を反映)、2.公共投資(同+0.7%ポイント←+0.5%ポイント、12月建設総合統計を反映)が寄与。一方、輸出は小幅下方修正(同+0.4%ポイント←←+0.7%ポイント、12月国際収支統計を反映)。
(2)  また、今回の2次QEでは、季節調整のかけ直しにより、7~9月期の実質成長率も設備投資を中心に小幅上方修正(前期比年率+0.5%←1次QEでは+0.3%)。
 以上の結果、本年1~3月期が年率▲0.6%程度のマイナス成長でも「2006年度実質2%成長」を達成できる状況に(1次QE段階では年率+1.0%程度の成長が必要だった)。
(3)  もっとも、今回の2次QEは、「1.個人消費が7~9月期の急減分を取り戻す動きとなったこと、2.設備投資の着実な拡大、3.公共投資の一時的な減少ペース一服、が輸出減速のマイナス影響を吸収し、景気全体の底堅さは維持されている」との1次QE段階での10~12月期GDPに対する評価に大きな修正を迫るほどの内容ではなかった。
(4)  2次QE反映後の当社成長率予測は以下の通り。景気のコースについての見方は変えないが、実質成長率の予測値は、「発射台」の上方修正を受け、2006・07年度ともに2月予測から0.1%ポイントずつ上方修正。
ただし、GDPデフレーターについては、1.消費者物価における携帯通話料引き下げの影響が従来予測対比前倒しであらわれる公算、2.IT製品価格の下落ペースがややシャープになっていることから、本年1~3月期以降の動きを小幅下方修正。この結果、名目成長率の予測値は、2006年度を実質と同様に上方修正した一方、07年度は0.1%ポイント下方修正。
  • 年明け後の景気は、1.輸出のスローダウン、2.ITデバイスの生産スピード調整を主因に、やや減速の方向。
    1~3月期の実質成長率(前期比年率)は、潜在成長率並み(1%台半ば)への鈍化を予想。

  • もっとも、わが国経済は相当程度のショック吸収力を保持しており、景気回復トレンドそのものが崩れる可能性は小。

    イ)ITデバイス以外の在庫率は総じて低水準 …
    とりわけ、金属・機械セクターの在庫率は過去最低水準。このため、鉱工業全体で生産調整が長期化・深刻化するリスクは小。
    ロ)企業部門における各種構造調整圧力の解消と潤沢なマネーストック …
    企業の経営課題が、「過剰雇用・設備・債務の調整」から「グローバル競争での勝ち残りをかけた積極的な事業展開」「団塊世代引退・人口減少本格化に備えた人材確保」へシフトしているなかで、設備投資・雇用に対する積極スタンスはなお持続。

  • こうしたなか、個人消費は、1.企業の労働分配率抑制、2.各種家計負担の増加といったネガティブ材料と、(1)雇用情勢の改善、(2)株価の持ち直し基調・配当所得の増加といったポジティブ材料が拮抗するもと、一進一退の動きがなおしばらく続く見込み。
    しかし、(3)原油価格の高騰一服に伴う賃金引き上げ余地の広がり、(4)団塊世代の大量定年に伴う退職一時金の増加なども加わる形で、徐々に押し上げ要因が優勢となる可能性が高い(やや長い目でみた消費の方向は上向き)。

  • 結局、景気は当面減速気味に推移するとしても、基調としての底堅さを維持する見通し。2006年度通期の実質成長率は+2.1%と4年連続の2%成長を予想。
    また、米国景気の「軟着陸」が実現すれば、成長ペースは2007年後半に再加速していく可能性が高い。2007年度通期の実質成長率は+2.4%と、前年度を上回るプラス幅になる見通し。

  • 一方、消費者物価(除く生鮮食品、前年比)は、マクロの需給バランス改善を背景に徐々にプラス基調が定着へ。ただし、1.家計の根強い低価格志向を背景とした激しい市場競争、2.前年比でみた石油製品価格の上昇ペース鈍化などから、騰勢は小幅にとどまる公算。目先については、月によってわずかなマイナスとなることも。
    このようなもとで、GDPデフレーター(前年比)は改善の方向にあるものの、プラス圏への浮上は本年央以降となる見通し。
わが国経済成長率・物価見通し 図表1
  (資料) 内閣府、総務省。予測は日本総研。
(注1) 当予測における主な前提は以下の通り。
  1. 米国景気の減速は2007年央前後に歯止め(実質成長率は05暦年:+3.2%、06暦年:+3.3%、07暦年:+2.6%)。
  2. 原油輸入価格(入着CIFベース、1バレルあたり、年度平均)は、2005年度:55ドル<実績>、06年度64ドル、07年度64ドル。
  3. 円ドル相場(年度平均)は、2005年度:113円<実績>、06年度:117円、07年度:117円。
(注2) 2月16日公表(1次QE後)の成長率予測値は以下の通り。
<実質>2005年度:+2.4%→06年度:+2.0%→07年度:+2.3%。
<名目>2005年度:+1.0%→06年度:+1.3%→07年度:+2.5%。
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