要旨 |
1. |
関西経済は、2002年初めから中国などアジア向けを中心に輸出が好調を取り戻したことを契機に、企業部門主導で回復傾向に転じた。景気回復局面は、期間ではいざなぎ景気を超える長期回復になったとみられる。このような景気回復の動きに伴い、関西の雇用は着実な改善を続けている。
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2. |
関西では、90年代以降、雇用・就業形態の多様化が急速に進展し、非正社員の増加が、特に若年者(15~34歳)において、顕著にみられた。これは、非正社員活用の動きが産業全体に広がったことが主因である。
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3. |
関西の若年者の雇用は、足元では新卒採用の増加など明るさがみられているため、非正社員の増加傾向は弱まると考えられるが、既卒者を含む若年者全体の雇用改善の動きは一様ではない。若年者を取り巻く雇用情勢について、関西の厳しさの背景と要因を、雇用が相対的に良好な中部と比較すると、関西はa.企業活動の停滞などによって労働需要が中部に比べて弱かったこと、b.中小企業の経営環境が中部に比べて厳しかったために中小企業の労働需要も弱かったこと、などがあげられる。
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4. |
関西においては、中部との比較において産業構造、経済構造の違いが労働需要の弱さを生んでおり、この点を改善していくことで、より良質な雇用の拡大を確実に進めていくことがまず求められる。加えて、企業が様々な形態の従業者に対する人材育成も含めた活用方法を十分に検討することが求められる。また、行政においては、若年者に対する就職支援や職業能力開発支援などの実効性を一層高め、若年者の失業から就業へ、非正社員から正社員への移行を後押ししていくことが望まれる。 |