要旨 |
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少子高齢化の進行により、今後、消費市場に占める高齢者のウエートが高まる見込み。とりわけ、高齢者は自由に使える時間が増えるため、時間消費型サービス市場の動向がひとつの大きな焦点。そこで本レポートでは、2015年時点の時間消費型サービス市場の規模を試算し、その特徴を分析。
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具体的には、「人口×一人当たり(年間)行動日数」という算式により、延べ行動日数ベースの市場規模を試算。この結果、高齢者の時間消費サービス市場規模は、10年間で約23%拡大する見込み。もっとも、その内訳項目をみると、高齢者の市場が現役世代の市場縮小を相殺するほどには拡大せず、その結果、全体の市場規模が縮小する項目も多数。この背景には、自由に使える時間が増えるにもかかわらず、現役世代に比べて時間消費型サービスへの時間配分を減らすという高齢者の行動パターン。
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(3) |
高齢者が時間消費型サービスへの時間配分を減らす原因として、余暇時間の活用面で積極派と消極派に二極化し、消極派の方が多数を占めることが指摘可能。すなわち、時間消費型サービスを行わない人が増える一方(行動者率の低下)、時間消費型サービスを選好する人はより多くの時間を配分する傾向。全体の市場規模が縮小する項目が多いのは、行動者率低下によるマイナス影響の方が上回る項目が多いため。
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したがって、時間消費型サービス市場を拡大させるためには、高齢者の行動者率を引き上げることが重要。高齢者の行動率引き上げには、人的ネットワークの拡大や、就業率の引き上げなどが有効。 |