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2007年01月31日

2006年10~12月期GDP統計予測

10~12月期は年率4.0%成長
(1)  10~12月期のわが国実質GDP(1次QE、2月15日公表)は前期比+1.0%(年率換算+4.0%)と、2004年1~3月期以来の高成長(8四半期連続のプラス成長)となる見込み。
(2)  もっとも、今回の高成長は、設備投資の拡大ペース持続がもたらした側面もあるが、基本的には、a.7~9月期に生じた個人消費急減の反動、b.公共投資の一時的な減少ペース一服が主因。

 a.2006年後半(7~12月)に均した実質成長率は前期比年率+1.7%と、プラス幅が2006年前半の同+2.2%から縮小、b.10~12月期の実質GDPを前年同期比でみれば+1.7%と、7~9月期の+1.6%からほとんど変わりがない、などの点も踏まえれば、久方ぶりの強めの「瞬間風速」が観測されたとはいえ、国内景気の基調は「底堅さを維持しつつも緩やかな減速局面にある」と判断される。
(3) 主要需要項目、およびGDPデフレーターの動きは以下の通り。

イ)個人消費(実質:前期比+0.8%、年率換算+3.3%)
  7~9月期の前期比▲0.9%から息を吹き返し、一方的な落ち込みは回避。
 賃金の伸び悩みが続いているものの、a.雇用環境の改善、b.株価の回復、c.夏場からの天候持ち直しが家計の支出マインドに好影響を及ぼした模様。
 分野別には、a.旅行、通信などのサービス支出が堅調を持続するなか、b.薄型テレビやデジタル家電の増勢が加速。c.生鮮品価格の急騰(天候不順の影響)を受け7~9月期に大きく落ち込んだ食料品への実質支出も、10~12月期は2006年前半の平均レベルに回復。
 ただし、衣料品や暖房器具など、暖冬がマイナスに作用している分野も。また、家計の支出に対するメリハリ意識が強まるなか、業態ごとの売れ行きには「まだら模様」がみられる。

ロ)設備投資(実質:前期比+1.8%、年率換算+7.3%)
 大型案件が集中した2006年前半からは増勢が鈍化しているものの、a.企業業績の堅調、b.設備投資効率の改善持続、c.潤沢なマネーストックを背景に、着実な拡大基調をたどっている。
前年同期比でみれば+10.2%と、2000年10~12月期以来の2ケタ増に。

ハ)公共投資(実質:前期比+1.2%、年率換算+5.0%)
 前年同期比では2ケタ減(▲11.9%)ながら、前期比では前2四半期の記録的な落ち込み(年率▲25.0%、▲19.7%)のウラが出る形でプラスに。

ニ)純輸出(実質前期比寄与度:+0.1%ポイント、年率寄与度+0.3%ポイント)
 輸出は、a.米国向けも含めた世界的な日本車需要の拡大、b.中国向け生産財輸出の絶好調(とりわけITデバイス)を背景に増加傾向が続いているものの、そのペースは米国景気減速の影響が徐々に顕在化する形で減速してきている(前期比+1.2%、年率換算+5.1%)。ちなみに、前年同期比は、1~3月期の+13.0%をピークとして期を追うごとに縮小。10~12月期は+6.9%と見込まれる。
 一方、輸入は、名目金額ベースでは前期比マイナスとなったものの、原油価格の下落(10~12月期入着価格:60.6ドル/バレル←7~9月期:70.6ドル/バレル)を主因としたデフレーターの低下が実質値を押し上げ(実質前期比+1.0%、年率換算+4.2%)。
 この結果、実質純輸出(輸出-輸入)の前期比寄与度は、7~9月期の+0.4%ポイント(年率+1.7%ポイント)から縮小。

ホ)GDPデフレーター(前期比+0.4%、前年同期比▲0.2%)
 8四半期ぶりの前期比プラス。
 a.国内需要デフレーターが建設関連分野を中心に下げ止まる(同+0.1%)もとで、b.輸入デフレーターが7四半期ぶりのマイナスとなった(▲1.5%、GDPデフレーター上昇に寄与)ため。
 この結果、10~12月期の名目GDPは前期比+1.4%(年率換算+5.7%)と、記録的な「瞬間風速」に(前年同期比では+1.5%)。
(4)  なお、10~12月期のGDP統計が当社予測通り、a.個人消費の底割れリスク後退、b.企業活動の堅調持続、c.国内需要デフレーターのマイナス基調脱却、を確認する結果となれば、「日銀2月利上げ」論のサポート材料に。

 もっとも、本年1~3月期は、a.海外景気減速の影響本格化、b.ITデバイス分野の生産スピード調整、c.賃金伸び悩みの長期化(個人消費の加速感の乏しさ)、などを背景に、景気減速傾向が続く見込み(実質成長率は現時点で+1%台半ばへの鈍化を予想)。

 (1)企業の設備投資・雇用に対する積極スタンスがなお続くとみられること、(2)自動車・鉄鋼など非IT分野が良好な在庫・出荷バランスを維持しつつ増産を続けていること、などから、景気の回復トレンドが崩れるリスクは小さいものの、成長ペースが基調として再び加速感を強めていくのは、a.米国景気のソフトランディングが確認され、b.「団塊定年効果」(退職一時金増による消費押し上げなど)が出始める本年半ば以降と見込まれる。
(図表1) 2006年10~12月期GDP統計<1次速報値>予測の概要 図表1
  (資料) 内閣府、日本総合研究所
(注) 国際収支統計の確報公表を受け、当予測では2006年7~9月期の輸入・GDPに微修正を加えている。
(図表2) わが国実質成長率<前期比年率>の部門別寄与度 図表2
  (資料) 内閣府。予測は日本総研。
(注) 家計=個人消費+住宅投資、企業=設備投資+在庫投資、官公=政府消費+公共投資+公的在庫。
(図表3) わが国実質成長率<前年同期比>の部門別寄与度 図表1
  (資料) 内閣府。予測は日本総研。
(注1) 家計=個人消費+住宅投資、企業=設備投資+在庫投資、官公=政府消費+公共投資+公的在庫
(注2) シャドー部分は景気後退期(内閣府)。
(図表4) GDP統計予測表 図表4
  (資料) 内閣府、日本総合研究所
(注) 国際収支統計の確報公表を受け、当予測では2006年7~9月期の輸入・GDPに微修正を加えている
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