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2006年12月11日

2006~07年度改訂見通し (7~9月期2次QE公表後)

「発射台低下」により、2006年度は実質1.8%成長へ
(1)  今回の成長率予測改訂では、(イ)2005年度国民経済計算確報(12月1日公表)(ロ)7~9月期2次速報値(12月8日公表)、の内容を反映。それぞれのポイントは以下の通り。

イ)2005年度確報では、a.「工業統計表」「法人企業統計年報」といった年次統計の結果が新たに反映されたほか、b.流通在庫・デフレーターの推計方法を変更。この結果、2005年度の実質成長率は+2.4%と、国内民需を中心に0.9%ポイント下方修正(従来公表値:+3.3%)。
 また、名目成長率も+1.8%から+1.0%へ。

ロ)a.2005年度確報や7~9月期法人企業統計季報の新規公表、b.商業販売統計などその他基礎統計の確報化、を受けて新たに推計された7~9月期実質GDP・2次速報値は、前期比+0.2%(年率+0.8%、前年比+1.6%)と、1次速報値の+0.5%(年率+2.0%、前年比+2.7%)から下方修正。
 需要項目別にみても、官公需を除くすべての項目で下方修正。また、4~6月期の実質GDPについても、前期比+0.3%(年率+1.1%、前年比+2.1%)へ下方修正(1次速報段階:前期比+0.4%、年率+1.5%、前年比+2.6%)。
 さらに、名目GDPは、4~6月期・7~9月期いずれも前期比横這い・前年比+1.0%となり、「実感の乏しい景気回復」を裏づける動きに。

 以上により、10~12月期以降の前期比を据え置いた場合の2006年度実質成長率は、従来系列対比+0.6%ポイント弱低下することに。
(2) 今回の当社予測は、1次速報後の前回予測(11月15日発表)から、2006年度実質成長率を0.5%ポイント(+1.8%←+2.3%)、07年度実質成長率を0.2%ポイント(+2.3%←+2.5%)下方修正。
 ただし、今回の予測修正は、景気の先行きについての基本的な見方を修正したものというよりは、予測の大前提となる過去の統計値の改訂(「発射台」の低下)に伴うものと解釈されたい。
 ちなみに、今回の過去データの改訂を受け潜在成長率を再推計すると、2000年代は0.2~0.3%ポイント低下する形となる。

 (*)なお、GDP速報値の推計精度向上について絶えず検討していく必要性はいうまでもないが、とりわけ個人消費は、基礎統計の調査方法変更(あるいは新規調査実施)も視野に入れた抜本的な見直しが望まれる。また、法人季報反映前の設備投資にも受注統計の活用などの早急な対応が待たれる。
(3) 国内景気の先行きに関する当社メインシナリオを改めて示すと、以下の通り。

 イ)2006年度下期は、a.海外景気減速の影響本格化、b.電子部品・デバイスを中心としたIT分野の生産スピード調整、c.大型案件による設備投資上振れ分の剥落、を主因とした緩やかな減速傾向が持続。
ロ)もっとも、わが国経済は、ITバブル崩壊時や2004年の「踊り場」局面と異なり、相当程度のショック吸収力を保持。このため、景気回復トレンド自体が崩れる公算は小。   
  1. 非IT分野の出荷・在庫バランス改善 … 仮にIT分野で調整が生じるとしても、自動車や一般機械などの非IT分野が下支え役となり、鉱工業全体での大幅生産調整は回避。   
  2. 企業部門における各種構造調整圧力の解消と潤沢なマネーストック … 企業の経営課題が「過剰雇用・設備・債務の調整」から「グローバル競争での勝ち残りをかけた積極的な事業展開」へシフトしているなかで、設備投資・雇用に対する積極スタンスはなお持続。
ハ)こうしたなか、個人消費は、賃金伸び悩み・各種家計負担増の影響が続くほか、天候要因や株価動向に伴う振れが生じやすいものの、基調としては雇用情勢の改善などに支えられる形で底割れを回避。
ニ)結局、国内景気は当面減速傾向をたどるとしても、基調としての底堅さを維持する見通し。
 むしろ、米国景気の「軟着陸」を前提にすれば、2007年春以降は、a.米国景気復調のプラス影響に加え、b.団塊世代の大量定年が退職一時金増加による消費押し上げ・人件費軽減を通じた企業収益押し上げ、の両ルートで徐々にプラス作用を広げていく公算。このもとで、成長ペースは再加速に向かう可能性が高い。

(**)上記メインシナリオに対する主なリスクファクターとしては、a.米国景気が軟着陸に失敗、b.地政学的リスクの増幅を受けた資源価格の急騰、といった下振れ要因の一方、金融の超緩和状態が続き、企業減税も実施されるなかで海外景気復調に呼応する形で非効率な投資が膨らむ、という「短期上振れ」要因(ただし、いずれは深刻なストック調整圧力に転化)、があるとみている。
なお、今回の予測の詳細および2008年度予測について、12月13日(水)に「2007~08年度日本経済見通し ~停滞・再生の軌跡と成長率強化への戦略~」と題したレポートを公表する。

(株) 日本総合研究所
【2006~07年度わが国経済成長率・物価見通し】
2006~07年度わが国経済成長率・物価見通し

(資料) 内閣府、総務省。予測は日本総研。
(注1) 予測の際、以下の4点を前提としている。
a.米国景気の減速は2007年春ごろに歯止め(実質成長率は05暦年+3.2%<実績>、06暦年+3.4%、07暦年+2.6%)。
b.原油輸入価格(入着CIFベース、1バレルあたり、年度平均)は、2005年度55ドル<実績>、06年度67ドル、07年度70ドル。
c.日銀は2006年度中に0.25%の利上げを実施した後、07年後半からほぼ四半期に0.25%ずつのペースで政策金利を引き上げ。
d.定率減税は2007年で全廃。
(注2) 2006年11月下旬時点(7~9月期1次QE公表後、05年度確報公表前)の当社成長率予測は以下の通り。
     【実質】05年度実績+3.3%→06年度+2.3%→07年度+2.5%。
     【名目】05年度実績+1.8%→06年度+1.6%→07年度+2.6%。
【わが国実質成長率(前年同期比)の部門別寄与度】
わが国実質成長率(前期比年率)の部門別寄与度
(資料) 内閣府。予測は日本総研。
(注) 家計=個人消費+住宅投資、企業=設備投資+在庫投資、
官公=政府消費+公共投資+公的在庫
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