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2006年11月21日

外国人の高度人材活用を ~成長戦略の推進力強化に向けて~

要旨
(イ)  高度人材の獲得に向け、とりわけ近年では留学生獲得をめぐって国際競争が激化。1995年と2004年を対比すると、OECD主要18カ国への外国人入国者数が267万人から330万人へ66万人増加。それに対して、世界全体の留学生数は130万人から265万人へ135万人増加。ベースは異なるものの、留学生の9割弱はOECD各国が受け入れ。
(ロ)  主要各国で留学生受入れ政策が強化されてきた背景を整理すると次の通り。

a.研究者や技術者など第一線の高度人材を海外から調達する困難さに比べて、予備軍である留学生の受入れは相対的に容易。
b.先進各国にとって、持続的な経済成長にイノベーションが不可欠となり、多くの有能な人材が必要に。しかし、出生率低下の結果、国内だけで必要な人材の調達が困難化。
c.途上国サイドでは、近年の経済成長によって高等教育へのニーズが拡大しているものの、充実した高等教育システムの構築は短期間では難しく、留学ニーズが増大。
(ハ)  わが国でも、1983年の「留学生受入れ10万人計画」を嚆矢に留学生の増加を積極的に推進。しかし、わが国の留学生受入れには問題。主な問題を整理すると次の通り。

a.他の先進各国対比、受入れ規模が大きく見劣り。高等教育学生総数に占める留学生数のシェアは、イギリス16.2%、ドイツ11.2%、フランス11.0%に対して、わが国は2.9%。
b.受入れ留学生が専攻する分野が社会科学に偏り、とりわけ人文科学分野を専攻する層が厚いのに対して、サイエンスなど自然科学分野を専攻する層はきわめて希薄。
c.受入れ留学生の質低下。留学生の大学院入学者数に対する学位取得者数の比率は、過去10年間で修士課程で97%水準から70%台半ば、博士課程では80%弱から50%水準へ。
(ニ)  わが国が成長戦略を成功させ、21世紀も引き続き旺盛な成長力を堅持するにはイノベーションが不可欠。そのためには多くの有能な人材が大前提。外国人の高度人材活用に向け、今後、わが国が取り組むべき最重要課題を整理すれば、次の3点。

a.留学生受入数を大きく伸ばした仏英独3カ国はいずれも積極的な受け入れ対策をスタートさせ、留学希望学生や送り出し国の教育関係者に対して専門の機関が直接活発な勧誘活動を展開。わが国でも、より積極的な活動が必要。
b.国際的に通用する学位の導入や拡充など、高等教育機関の国際競争力向上が留学生増加の原動力に。そうしたなか、各国では総じて厳格な履修チェックを実施。それに対して、わが国の履修チェックには相対的に甘さ。高等教育の国際競争力強化は焦眉の急。
c.アメリカが外国から高度人材を多く呼び込めるのは、出自や年齢、実績によらず、競争的研究資金によって有望プロジェクトを選別し、チャンスを付与するため。しかし、わが国では依然総予算の1割強。競争的研究資金のさらなる拡大が必要。
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