コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

会社情報


2006年11月15日

2006~07年度改訂見通し (7~9月期1次QE公表後)

~9月期は年率+2.0%成長
(1)  7~9月期のわが国実質GDP(1次QE)は前期比+0.5%(年率換算+2.0%)と、7四半期連続のプラス成長。プラス幅は4~6月期(年率+1.5%)からやや拡大し、景気回復傾向の持続が確認された。
(2)  需要項目別にみると、7~9月期の成長は、①海外需要の拡大・円安に支えられた輸出(前期比+2.7%)(*)、②運輸業などの大型案件を含んだ設備投資(同+2.9%)など、企業活動の好調がリード。
 半面、個人消費は、①賃金の伸び悩み、②天候不順、③夏場の株価軟調を背景に、前期比マイナス(▲0.7%)(**)。

  (*)輸出は、4~6月期にかけスローダウンしていた拡大ペースが回復。米国景気減速などを背景としたアジア向け生産財輸出のもたつきを、資源国向けの増勢加速がカバー。米国向けについても、資本財・生産財に頭打ち感が生じたものの、自動車の好調が続き、全体の伸びはむしろ4~6月期を上回る形に。

  (**)個人消費の弱い動きは一方で、①民間在庫投資の押し上げ、②輸入(前期比▲0.1%)の押し下げに作用(いずれも成長率への押し上げ要因)。もっとも、7~9月期の民間在庫投資の増加(前期比成長率への寄与度+0.3%ポイント)には、IT分野を中心とした積極的な在庫積み増しの影響も多く含まれており、必ずしもネガティブには評価できない。
(3)  また、GDPデフレーターは前年比▲0.8%と、4~6月期対比マイナス幅が縮小。内訳をみると、輸入デフレーターの2ケタ上昇(前年比+11.7%、GDPデフレーターを下押し)が続いたものの、国内需要デフレーターが04年10~12月期以来のプラス圏に(同+0.1%)。
(4)  なお、景気回復傾向が持続し、デフレ色が着実に薄れるわが国経済の姿を示した今回のGDP統計は、「年内利上げ」の可能性を排除せず。
 【わが国実質成長率(前期比年率)の部門別寄与度】
わが国実質成長率(前期比年率)の部門別寄与度
 わが国実質成長率(前期比年率)の部門別寄与度
2006年度は持続可能な成長ペースへ収束する動き。
2007年度は米国復調・団塊定年のプラス影響により再加速。
(1)  景気の先行きを展望すると、10~12月期は、①米国景気減速の影響本格化(輸出のスローダウン)、②電子部品・デバ イスを中心としたIT分野の生産スピード調整、③設備投資で大型案件による上振れ分の剥落が見込まれることなどから、成長ペースが7~9月期対比鈍化する 公算。来年1~3月期も、緩やかな減速局面が持続する見通し。
(2)  もっとも、わが国経済は、ITバブル崩壊時や2004年の「踊り場」局面とは異なり、相当程度のショック吸収力を保持。

  イ)非IT分野の出荷・在庫バランス改善 … 仮にIT分野で調整圧力が生じるとしても、非IT分野が下支え役となり、鉱工業全体での大幅生産調整は回避される公算。

  ロ)企業部門における各種構造調整圧力の解消と潤沢なマネーストックの存在 … 企業の経営課題が「過剰雇用・設備・債務の調整」から「グローバル競争での勝ち残りをかけた積極的な事業展開」「団塊世代引退・人口減少本格化に備えた人材確保」へシフトしているなかで、設備投資・雇用に対する積極スタンスはなおしばらく持続。
(3)  こうしたなか、個人消費は、賃金伸び悩みの影響が続くほか、天候要因や株価動向に伴う振れが生じやすいものの、基調としては、①雇用情勢の改善、②企業収益の堅調を映じた株価の持ち直し傾向に支えられる形で底堅さが維持される見通し。
(4)  結局、2006年度内の景気は、持続的な成長軌道に向けたスピード調整を行いつつ、回復期間の最長記録を引き続き更新していく展開に。四半期ごとの成長ペースは、1%台後半と推定される潜在成長率近辺で推移し、年度全体の実質成長率は2.3%となる見通し。
(5)  2007年度は、①米国景気復調のプラス影響に加え、②団塊世代の大量定年が、退職一時金増加による消費押し上げ・人 件費軽減を通じた企業収益押し上げ、の両ルートで徐々にプラス作用を広げていく公算。このもとで、成長ペースは下期に向け再加速、年度全体の成長率も2% 台半ばへ。
(6)  消費者物価(除く生鮮食品、前年比)は、需給バランスの改善を背景にプラス基調が定着。ただし、①緩やかな賃金の回復力、②家計の根強い低価格志向、③前年比でみた資源価格の上昇ペース鈍化などから、騰勢は引き続き小幅に。
    (*)なお、上記メインシナリオに対するリスクファクターは、①米国景気の減速が大幅になること、②IT分野の生産調整が深まる可能性。日米の年末商戦が期待はずれの結果となれば、2006年度下期が「第3の踊り場」となる展開も想定されるだけに要注意。
 
 【わが国経済成長率見通し】

   (資料) 内閣府、総務省。予測は日本総研。
(注1) 予測の際、以下の4点を前提としている。
①米国景気は、住宅価格の騰勢鈍化などを背景に2007年春にかけ小幅減速(実質成長率は05暦年:+3.2%、06暦年:+3.3%、07暦年:+2.6%)。
②原油輸入価格(入着CIFベース、1バレルあたり、年度平均)は、2005年度:55ドル<実績>、06年度67ドル、07年度70ドル。
③日銀は2006年度下期以降、ほぼ半年に1度、0.25%ずつのペースで政策金利を引き上げ。
④定率減税は2007年1月に全廃。

会社情報
社長メッセージ

会社概要

事業内容

日本総研グループ
ニュースリリース

国内拠点

海外拠点
人材への取り組み
環境への取り組み
ダイバーシティ&健康経営
会社案内(PDF版)
メディア掲載・書籍
インターンシップ

会社情報に関する
お問い合わせ