コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

会社情報


2006年09月11日

関西経済復活の実像と虚像

要旨
(1) 関西経済は、2002年以降、途中生じた「踊り場的局面」を乗り越え、景気変動的な観点からは拡大を続けてきた。また、いくつかの指標では全国に優るとも劣らない力強さを示している。
(2) 関西の鉱工業生産は、今回の景気拡大局面では、全国をやや上回る増加を示している。製造業の景況感改善も全国平均以上である。ただし、景気変動としての拡大と、経済構造、産業構造等の面からみた強さは別の観点から見る必要がある。
(3) 関西には、産業に基礎資材を提供する鉄、プラスチックなどの素材型、家電、建設機械などの加工組立型、研究開発型の医薬品、都市型製造業である印刷など多様な生産拠点が集積している。また抜群の存在とまでは言えないが、デジタル関連製品の有力な生産拠点の一つである。
(4) 関西では製造業の工場立地が急回復している。ただし、中部をはじめいくつかの地域の増勢は更に強い。中部には、地元に本社がある企業だけでなく、関東や関西など他地域に本社がある企業の工場立地も多いことが特徴である。長期的に生産増加を支える基礎となる生産能力の拡充に関しては、関西は中部に大きく水を開けられている。
(5) 関西の非製造業の業況は「地方」の非製造業を明らかに上回る動きを示している。これは、「地方」に比べて建設業と小売業に左右されにくいことや、企業活動活発化の恩恵を受けやすい非製造業の業況が改善していることによる。
(6) 関西は日本を代表する経済圏の一つであり、複数の大都市を地域内に有しているため、非製造業のうち物流関係や不動産取引、飲食店において、関東や中部と並んで集積が進んだ地域である。ただし、非製造業の中でも企業取引と密接な関係を持つ分野や特定の専門分野などにおいて顕著な集積を示している関東との差は大きい。
(7) 関西経済は、今回の景気拡大局面において「地方」を上回る改善を実現し、「地方」を含む全国平均と比較すれば優るとも劣らない景気の好転を示している。しかし、三大経済圏の中で経済構造、産業構造にも目を向ければ、製造業については中部、非製造業については関東の強さが目立つ。
(8) 関西は、今回の好景気に浮かれることなく、引き続き経済基盤、産業基盤の拡充に取り組んでいく必要がある。関西以外にも幅広く立地を展開している関西企業に、関西に対する立地を増やしてもらえるように誘致策を強化することは身近な方策であり、関西の強みである企業単位でとらえた集積の大きさを生かす道であろう。
 
目次


1.今回の景気拡大局面で復調が目立つ関西経済

2.製造業に関するファクトファインディング
  (1)鉱工業生産の動向と企業単位・事業所単位の集積の違い
  (2)製造品出荷額の動向と産業構造の特徴
  (3)工場立地・資本ストックの動向

3.非製造業に関するファクトファインディング
  (1)業況の動向
  (2)産業構造の特徴

4.おわりにかえて
会社情報
社長メッセージ

会社概要

事業内容

日本総研グループ
ニュースリリース

国内拠点

海外拠点
人材への取り組み
環境への取り組み
ダイバーシティ&健康経営
会社案内(PDF版)
メディア掲載・書籍
インターンシップ

会社情報に関する
お問い合わせ