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2006年08月14日

2006~07年度改訂見通し(4~6月期1次QE公表後)

4~6月期は年率+0.8%成長
(1) 4~6月期の実質成長率は前期比+0.2%(年率換算+0.8%)と、6四半期連続のプラス成長となったものの、成長ペースは昨年10~12月期の前期比+1.1%、本年1~3月期の同+0.7%から鈍化。
(2) 成長率鈍化の要因は以下の4点。

2006年度入り後の公共投資の減少ペース加速 … 公共事業費の削減が続くもとで、災害復旧事業の需要押し上げ効果が一巡。
 
米国・アジア向けを中心とした輸出のスローダウン … 米国景気が減速し始めるなか、現地向けの最終製品のみならず、生産拠点向けの中間財にも下押し影響が顕在化。
 
分譲マンションを中心とした住宅投資の急減 … 背景には、都心部を中心とした地価の持ち直しを販売価格に反映させたい、というデベロッパー側の要因等があると考えられる。
 
企業(とりわけ流通部門)の在庫減少
(3) そうした半面、設備投資は前期比+3.8%(年率+16.2%)と、増勢が1~3月期の年率+13.9%から一段と加速。
 加えて、天候不順のマイナス影響などが懸念された個人消費も前期比+0.5%(年率+1.9%)と、雇用情勢の改善が進むもとで(実質雇用者所得は前期比+0.5%、1~3月期は同+0.0%)一定の伸びを確保(*)。総じてみれば、国内民需の腰の強さがうかがえる内容(**)。
 

(*)4~6月期の実質個人消費伸び率が大方の予想対比強めの伸びとなったことには、今回のQEで、1~3月期の個人消費が前期比+0.5%から同+0.2%(年率+0.8%)へ下方修正されたことも大きく影響。 内閣府へのヒアリングによれば、電話通話料やインターネット接続料の推計に用いている基礎統計(通信動態統計)の下方改訂などによる対応とのこと。

(**)成長率を押し下げた在庫投資の減少についても、供給サイドの見込み対比、需要の強かった分野・品目が数多くあったことにより生じた側面もあろう。

(4) 結局、4~6月期の全体的な動きは「2005年度にみられた強めの成長から、持続可能な成長ペースへ収束していくうえでのスピード調整」と解釈される。
(5) なお、4~6月期は、GDPデフレーターが2003年4~6月期以来の前期比プラス(+0.1%)に。資源価格高を受けて輸入デフレーターの上昇幅が広がった(GDPデフレーターを下押し)一方、国内需要デフレータが同+0.2%と、家計需要(消費・住宅)を中心に2002年1~3月期以来のプラス幅となった。
表

2006年度は持続可能な成長ペースへ収束する動き。
2007年度は米国復調・団塊定年のプラス影響により再加速。
(1) 景気の先行きを展望すると、来春にかけては、①米国景気のスローダウン、②原油・資源価格の上昇、③緩慢な賃金回復ペース、④株価軟調に伴う資産効果の減衰を背景とした、緩やかな減速傾向をたどると見込まれる。
(2) 加えて、米国をはじめとした海外景気が下振れる場合、足元でハイペースな増産を続けるIT分野に在庫調整圧力が生じるリスクもある。
(3) もっとも、わが国経済は、ハイテクバブル崩壊時や2004年の「踊り場」局面とは異なり、相当程度のショック吸収力を保持。

イ)非IT分野の出荷・在庫バランス改善<短期的要因> … 仮にIT分野で調整圧力が生じるとしても、非IT分野が下支え役となり、鉱工業全体での大幅生産調整は回避される公算。
 

ロ)企業部門における各種構造調整圧力の解消と潤沢なマネーストックの存在<中長期的要因>… 企業の経営課題が「過剰雇用・設備・債務の調整」から「グローバル競争での勝ち残りをかけた積極的な事業展開」「団塊世代引退・人口減少本格化に備えた人材確保」へシフトしているなかで、設備投資・雇用の拡大トレンドが早晩崩れるリスクは小。

(4) 結局、2006年度内の景気は、持続的な成長軌道に向けたスピード調整を続けつつ、回復期間の最長記録更新(いざなぎ超え)を実現していく展開に。四半期ごとの成長ペースは、1%台後半と推定される潜在成長率を若干上回る年率2%近辺で推移し、年度全体の成長率は2.2%となる見通し。
(5) 2007年度は、①米国景気復調のプラス影響に加え、②団塊世代の大量定年が、退職一時金増加による消費押し上げ・人件費軽減を通じた企業収益押し上げ、の両ルートで徐々にプラス作用を広げていく公算。このもとで、成長ペースは下期に向け再加速、年度全体の成長率も2%台半ばに達する可能性が高い。
(6) 消費者物価(除く生鮮食品、前年比)は、需給バランスの改善を背景にプラス基調が定着。ただし、①激しい市場競争、②緩やかな賃金の回復力、③前年比でみた資源価格の上昇ペース鈍化などから、騰勢加速の余地は小。現行の2000年基準では前年比+0.5%近辺、新しい2005年基準(8月25日公表予定、品目・ウエイト変更で下方改定の公算)では+0%台前半での動きが長引く見通し。

表

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