2006年07月19日 |
地方の停滞を打破する分権改革を ~求められる都道府県への権限と財源の本格移譲~ |
要 旨 |
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(イ) | 本年5月、地方六団体に続いて、総務大臣主催の地方分権21世紀ビジョン懇談会が地方分権改革プランを公表。ビジョン懇談会のペーパーに即してみれば、少子高齢化や人口減少が本格化するまでに分権改革を断行との認識。確かに、国立社会保障・人口問題研究所の2002年1月推計日本の将来推計人口の中位推計によれば、わが国総人口は2007年以降減少に向かうが、前年比減少数は2010年から▲10万人台に乗り、2015年から▲30万人台に拡大。こうした予測に基づけば本格的な人口減少局面は5~10年先であり、分権改革を遂行する猶予は残されているという見方も成立。 |
(ロ) | しかし、地方圏では、すでに政府の将来推計人口の想定を上回る深刻な人口減少が進行。これは、出生率の低下が進むなか、地方圏から都市圏への人口流出傾向が加速した結果。背景には、雇用の伸び悩みや減少に象徴される地方経済の低迷。さらに今後、地方圏の人口減少スピードが一層加速する見込み。実効性の高い活性化対策を策定し、強力に実施していくことが焦眉の急。 |
(ハ) | 先進各国では、70年代以降、地域経済振興に向け様々な取り組み。地方分権推進により、今日、地方政府が中心的な役割を担う推進スタイルが支配的。わが国でも独自に政策展開を行う強力な地方政府の構築が指向。ビジョン懇談会でも現行都道府県を統合した道州制が提唱。地域毎の経済規模と活力の相関性に着目すれば当然の方向。 |
(ニ) | しかし、州制度のある米独仏をみると、①州人口はわが国都道府県と総じて同規模、②人口規模の小さい州が人口増加や雇用増加の中心。③アメリカのニューヨーク州やドイツのヴェスト・ファーレン州、フランスのイル・ド・フランス州など人口集積が進んだ州では人口、雇用とも相対的に伸び悩み。これは、都市圏では人口集積に伴うコスト増が成長制約に作用する一方、地方では産官学、さらに国内外のリソースを積極的に活用する独自の活性化策が強力に展開されてきたことが大きく作用。 |
(ホ) |
このようにみると、道州制移行まで権限と財源の本格移譲を先送りする必要性は小。地方分権で地域再生と地方財政健全化を実現するために、次の3改革が喫緊の課題。 |
レポート目次 |
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1.はじめに 2.わが国の現状と将来展望 3.仏独米3カ国の動向 4.今後の課題 5.図表 (レポート全体はPDFでご覧いただけます。) |