2000年ごろから、わが国の食料品の輸出が増加傾向。一次産業比率が高く、少子高齢化が加速している地方にとって、食料品輸出は今後の域内経済の牽引役として期待される分野。他の先進国と比較しても、わが国の輸出全体に占める食料品のシェアは際立って低いため、食料品輸出の拡大余地は大きいと判断可能。

   食料品の輸出が増加した背景として以下の３点。
　　　　①健康的とみられている日本食への関心の強まり
　　　　②アジア諸国での所得水準の向上による高付加価値品市場の拡大
　　　　③貿易自由化の拡大に伴う輸入国サイドの関税・非関税障壁の緩和
　この傾向は今後も続き、食料品輸出が増加しやすい環境が強まる見通し。

   こうしたなかで重要になるのは、わが国農業が強みを持つ高付加価値品を軸にした輸出拡大への取り組み。これは台湾向けのリンゴ輸出が典型例。すなわち、2002年以降、わが国の台湾向けリンゴ輸出は10倍の規模に拡大。もっとも、輸出単価をみると他国の２倍の水準。こうした価格面の不利にもかかわらず輸出が急増したのは、品質・安全性を前面に打ち出して、高付加価値品市場の拡大に成功したことが背景。

   今後も、中国を中心とした高所得者層の市場規模拡大に伴い、わが国食料品の輸出は中長期的にわたって大きく増加する可能性があり、地域経済活性化の手段としても非常に有望。これを実現するには、政府としても、①海外市場でのＰＲ活動、②検疫など非関税障壁の改善、などの支援策を積極的に打ち出すことが必要。