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2006年05月23日

2006~07年度改訂見通し (1~3月期1次QE公表後)

1~3月期は年率+1.9%成長
(1) 1~3月期の実質GDPは前期比+0.5%(年率換算+1.9%)と、成長ペースが10~12月期の前期比+1.1%(年率換算+4.3%)から鈍化。
  しかし、今回の成長率鈍化は、輸入の増勢回復による側面が大きい。むしろ、国内民需の寄与度は、設備投資の復調を主因にわずかながらも上昇(前期比年率ベースで+2.4%ポイント←+2.3%ポイント)。
  企業部門の各種構造調整が完了するなか、景気が底堅さを増している状況がうかがえる。
(2) 主要需要項目、およびGDPデフレーターの動きは以下の通り。

イ)個人消費(実質前期比+0.4%、年率換算+1.6%)
雇用者報酬が前期比でほぼ横這い(実質前期比+0.1%)にとどまったほか、定率減税半減の影響が出始めたにもかかわらず、一定の伸びを確保。株価が不安定ながらも水準を切り上げていくもとで、「高額品」市場の活況が続いたことが主因とみられる。

ロ)設備投資(実質前期比+1.4%、年率換算+5.8%)
10~12月期における7四半期ぶりの減少(実質前期比▲0.2%)から息を吹き返す姿に。受注・着工統計や日銀短観などの内容から、①電力業による更新投資が集中的にあらわれた可能性、②昨年末にかけ弱めの動きがみられた建設投資の復調(商業施設がリード)、などの要因を指摘可能。

ハ)純輸出 (実質前期比寄与度:+0.1%ポイント、年率寄与度:+0.2%ポイント)
  輸出は、4期連続の年率2ケタ増(前期比+2.7%、年率換算+11.3%)。米国向けの増勢が若干鈍ったものの、自動車を中心とした産油国・資源国向けの大幅な増勢が全体をリード。昨年末にかけ弱含んだアジア(除く中国)向け資本財も復調。
  もっとも、10~12月期に前期比マイナスとなった輸入が増勢を回復(前期比+3.0%、年率換算+12.6%、パソコン・食料品の振れによる)した結果、純輸出の成長率寄与度は10~12月期(前期比年率ベースで+2.4%ポイント)から大きく縮小。

ニ)GDPデフレーター(前期比:▲0.4%、前年同期比:▲1.3%)
  前期比では11期連続のマイナス。内訳をみると、①国内民需デフレーターは概ね下げ止まる方向にあるものの(前期比▲0.1%)、②資源価格高に伴う輸入デフレーターの上昇(同+0.7%)が続いたほか、③輸出デフレーターが4期ぶりのマイナスに(同▲1.2%)。④官公需デフレーターも政府消費を中心に低下(▲0.3%)。
  この結果、1~3月期の名目GDPは前期比+0.0%(年率換算+0.2%)と、ほぼ横這いに。
 【わが国実質成長率(前期比年率)の部門別寄与度】

 2006年度は持続可能な成長ペースに収束へ。
2007年度は「団塊定年」のプラス影響が徐々に顕在化。
(1) 景気の先行きを展望すると、基本的には、【輸出増/設備投資増】→【収益増】→【雇用・賃金増】→【消費増】→【収益増】、の好循環が作動するもとで、回復トレンドが持続。
(2) とりわけ、企業部門では、各種構造調整圧力が解消するなか、中期的な期待成長率を高めつつ、①グローバル競争での勝ち残りをかけた積極的な事業展開、②団塊世代引退・人口減少本格化に備えた人材の確保、に注力へ。
(3) ただし、以下の諸点を勘案すれば、当面の間、成長ペースが再加速していく可能性は小。
イ)米国景気が来春ごろにかけ緩やかに減速していくと予想されるもとで、年率2ケタが続く輸出のハイペースな伸びは、次第に鈍化していく公算が大きいこと。  
ロ)ハイテク分野では、出荷・在庫バランス改善および増産ペースに一服感が出始めており、その景気牽引力が徐々に低下していく可能性があること。
ハ)労働分配率の低位安定が図られるなか、雇用者数が回復傾向を強めていくとしても、賃金が調整されるため、マクロでみた雇用者報酬の増勢は引き続き緩やかなものに。
ニ)資源価格・長期金利の上昇が企業収益を圧迫(*)。

(*)円高進行の企業収益への影響については、大幅な輸出超となっている機械セクターでは押し下げ 要因として作用する見込み。しかし、その他の業種(素材、機械を除く加工、非製造業)では、 資源輸入価格高騰に伴うコスト負担増が緩和される側面も。このため、マクロでみた収益圧迫影 響は限定的と考えられる(具体的な試算結果などは別途レポート)。
(4) 結局、2006年度の景気は、「踊り場」脱却後の急回復モードから、持続的成長のための「巡航速度」を模索する局面に。具体的には、平均的な成長ペースが年率2%近辺へ収束していく展開を予想。
(5) 2007年度は、①米国景気復調のプラス影響に加え、②団塊世代の大量定年が、退職一時金増加による消費押し上げ・人件 費軽減を通じた企業収益押し上げ、の両ルートで徐々にプラス作用を広げていく公算。このもとで、成長ペースは下期に向け強含み、年度全体の成長率も2%台 半ばに達する可能性。
【わが国経済成長率見通し】
  (資料) 内閣府。予測は日本総研。
(注1) 予測の際、以下の4点を前提としている。
①米国景気は、住宅価格の騰勢鈍化などを背景に2007年にかけ小幅減速。
②原油輸入価格(入着CIFベース、1バレルあたり、年度平均)は、2006年度62ドル、07年度68ドル(05年度実績:55ドル)。
③日銀は本年夏場にもゼロ金利を解除(0.25%)。その後も、ほぼ半年に1度、0.25%ずつのペースで政策金利を引き上げ。
④定率減税は2007年1月に全廃。
(注2) 2008年度に消費税率を引き上げる場合の影響(駆け込み需要の発生など)は考慮していない

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