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1~3月期・1次QEはゼロ成長も、2次QE以降上方修正含み。 |
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1~3月期のわが国実質GDP(1次速報値、5月19日公表)は、前期比+0.0%(年率換算+0.1%)と、ゼロ成長になった見込み。
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1~3月期の成長ペース鈍化の主因としては、①10~12月期における年率5%成長の反動が個人消費・在庫投資・輸入を中心にあらわれたこと、
②設備投資が統計作成上の技術的要因もあって、2004年1~3月期以来2年ぶりの前期比マイナスになったこと、を指摘可能。
①2005年度下期(10~3月)で均した前期比年率、10~12月期の前年同期比は、ともに+3%水準を確保していること(それぞれ+2.9%、+3.1%)、②より多くの基礎データが反映される2次QE(6月12日公表)で、
設備投資が上方修正される可能性、などを踏まえれば、今回1次QEのスローダウンは、一時的な動きかつ上方修正含みの値と解釈されよう。 |
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主要需要項目、およびGDPデフレーターの動きは以下の通り。
イ)個人消費(実質:前期比+0.2%、年率換算+1.0%)
天候要因が大きく影響し、2005年中にみられた強めの伸びに一服感。すなわち、戦後最大の寒波が、昨年末までの段階では防寒衣料や暖房器具の購入を促す形でプラスに作用していたが、年明け以降は、そうしたプラス影響が一巡したほか、レジャー・外食の減少といった形で消費全体を下押す方向に作用。
もっとも、雇用者所得の着実な回復が続いているほか、「高額品」市場の活況などを勘案すれば株価不安定化の影響も限定的にとどまっている模様。3月には、レジャー・外食需要も持ち直し。以上より、個人消費の基調は依然としてしっかりしていると判断。
ロ)設備投資(実質:前期比▲0.2%、年率換算▲1.0%)
2004年1~3月期以来2年ぶりの前期比マイナスに。都心部の大規模再開発案件による押し上げ効果が減衰しているほか、対外直接投資・M&Aなど他の事業拡大手段を採用する動きも広がるなか、05年度前半にみられた大幅な増勢からはスローダウン。 もっとも、1次QEにおける設備投資の値は、基本的に一部の供給統計(生産動態統計など)をもとに推計された「総固定資本形成」の値から、公共投資・住宅投資を控除した
「残差」となっている。このため、法人企業統計など、設備投資需要を直接集計した統計が反映される2次QEで大幅に改訂されることが多い(ちなみに、10~12月期値は、1次QEで年率+7.2%だったのが2次QEで同+1.4%に下方修正)。 日銀短観3月調査の2005年度設備投資見込みが前年度対比2ケタ増(+11.3%)となっていることなどを踏まえれば、設備投資は2次QE以降で上方改訂される可能性が高く、その分、全体の成長率も押し上げられることになろう。
ハ)純輸出(実質前期比寄与度:+0.1%ポイント、年率寄与度:+0.4%ポイント)
輸出は、4期連続の年率2ケタ増(前期比+3.0%、年率換算+12.7%)。米国向けの増勢が若干鈍ったものの、自動車を中心とした産油国・資源国向けの大幅な増勢が全体を
リード。昨年末にかけ弱含んだアジア(除く中国)向け資本財も復調。
もっとも、10~12月期に前期比マイナスとなった輸入が増勢を回復(前期比+3.0%、年率換算+12.6%)した結果、純輸出の成長率寄与度は、10~12月期の+2.3%ポイント
(年率ベース)から大きく縮小。
ニ)GDPデフレーター(前年同期比▲1.1%)
前年比マイナス幅が10~12月期対比0.5%ポイント縮小。輸入デフレーターが比較可能 な1994年以降で最大の上昇率(前年同期比+15.0%、GDPデフレーターを下押し)と
なったものの、個人消費デフレーターが1998年10~12月期以来の前年比プラス(+0.2%)
に。依然として燃料など一部の分野に限られた動きとはいえ、資源価格高を起点とした仕
入価格の上昇を販売価格に転嫁する動きが出始め、資源価格高に伴うGDPデフレーター
への下押し影響を縮小する方向に作用した模様。
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景気の先行きを展望すると、①米国景気の小幅減速、②賃金の回復ペースが引き続き緩やかなものにとどまること、
③原油価格・長期金利の上昇が企業収益を圧迫すること、などが当面の回復ペースを抑制する見込み。
もっとも、各種構造調整圧力が解消し、経済のショック耐性が強まるなか、
【輸出増/設備投資増】→【収益増】→【雇用・賃金増】→【消費増】→【収益増】
の景気循環メカニズムが途絶する可能性は小。
加えて、株価が安定的に推移していけば、引き続き家計支出を押し上げる方向に作用する期待も。
結局、景気はなお、緩やかながらも息の長い回復が続く見込み。1~3月期に鈍化した実質成長率も早晩回復し、平均的な成長ペースは、
1%台半ばとみられる潜在成長率並みか、やや上回って推移していくと予想する。 |