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2006年04月26日

少子化対策は抜本的見直しを ~強力な政策パッケージの確立を~

要旨
(1) 1~3月期の実質GDPは前期比+0.5%(年率換算+1.9%)と、成長ペースが10~12月期の前期比+1.1%(年率換算+4.3%)から鈍化。
  しかし、今回の成長率鈍化は、輸入の増勢回復による側面が大きい。むしろ、国内民需の寄与度は、設備投資の復調を主因にわずかながらも上昇(前期比年率ベースで+2.4%ポイント←+2.3%ポイント)。
  企業部門の各種構造調整が完了するなか、景気が底堅さを増している状況がうかがえる。
(イ) わが国出生率は、先進各国中、最低水準まで低下。そのうえ、歯止めが掛かる兆しなし。 それに対して、アメリカでは、合計特殊出生率が98年以降、趨勢的に上昇し、2004年には 人口を維持できる(人口置換水準:2.07)とほぼ同水準の2.05へ。一方、フランスでも、94年 以降、趨勢的に上昇し、2005年には1.94へ。
(ロ) アメリカの出生率上昇は、人種別にみると、ヒスパニック系の出生率上昇が最大の原動力。 さらに母の年齢別出生率をみると、ヒスパニックを除く白人系では、わが国とほぼ相似するの に対して、ヒスパニック系およびヒスパニックを除く黒人系では、20~24歳が出生率のピーク。 20歳代前半期での高出生率の背景には非嫡出子の多さ。
(ハ) 一方、フランスでは、近年の出生率上昇は母30歳以上の層が主因。手厚い家族手当や行き 届いた育児サポート制度が貢献。もっとも、わが国と対比してみると、①30~34歳と並んで、 25~29歳での出生率が高く、②20~24歳の出生率もわが国を大きく上回る特徴。この点に 着目すると、法律婚に拘らない事実婚が浸透し、出生数のほぼ半数を占めるまで非嫡出子 が増大したという情勢変化が指摘可能。
(ニ) 近年、先進各国での出生率の下げ止まり、あるいは反転上昇について、女性の社会進出を 重視する有力な見解。しかし、1人当たりGDPが3万ドル超の国に限定してみると、少なくとも 2003年時点で、女子の労働力率と合計特殊出生率との関係に相関性は希薄。むしろ、各国 出生率のピークが総じて20代で、高出生率の国では20代前半の貢献が大きいという2点を 踏まえてみると、非嫡出子のウエイトと合計特殊出生率との関係がより強い可能性。
(ホ) 翻ってわが国をみると、出生率の低下は、母の年齢別にみて、20~24歳および25~29歳で の出生率低下が主因。わが国の非嫡出子ウエイトは国際的に際立って低水準であるため、 出生数から非嫡出子を除外せず、母の年齢別出生数を、年齢別婚姻女性数で割ると、婚姻 女性1人当たりでみた母の年齢別出生数の近似が可能。これによると、総じてわが国の場合、 婚姻女性の年齢別にみた出生率は長期にわたり安定的。少子化は非婚化・晩婚化が主因。
(ヘ) 非嫡出子の問題は各国固有の社会規範に根差す部分が大きく、慎重な論議が必要。もっとも、 多民族国家のアメリカを除くと、西欧各国とわが国の間には、出産・育児を個人の問題とするか、 社会全体で支える問題と位置付けるかという点で根本的違い。非嫡出子の差異が象徴的。 さらに踏み込んでみると、底流には、社会や政府が果たすべき役割について異なる考え方。 西欧、とりわけ北欧各国では、産業化やグローバル化に伴う雇用・社会の流動化、女性就労の 拡大と高度化は必然的潮流と受け止め、次世代形成に対する社会や政府の役割を見直し。 一方、わが国では近年、雇用の流動化や女性就労が進行するなか、格差が拡大。
(ト) 1.就業支援の強化
  グローバル化の進展が一段と本格化するなか、欧州先進各国は、90年代半ば以降、 就業支援を軸とする積極的雇用政策を総じて強力に推進。それに対して、わが国 では、失業給付をはじめとする消極的雇用対策が中心。わが国の雇用対策関連の 政府支出規模はGDP比でみてOECD主要各国中、最小グループ。そうしたなか、 所得格差問題が深刻化へ。
  2. 子育て・教育負担の軽減
  就業支援を梃子に婚姻件数の増加を図る次のステップとして、婚姻者の出生率 引き上げが目標。わが国の場合、持ちたいと考える子供の数は予定する子供の数を上回っており、その最大の障害が子育て・教育コストの重さ。こうした観点から OECD先進各国と対比してみると、教育関連分野に対する政府支出は、GDP比 でみて、各国のなかで最小規模。
  3. 国内コストの適正化
  子育てや教育関連のコスト負担の軽減には、政府支出の増加以外に、国内物価 の引き下げを通じた家計の実質購買力増大によっても解決可能。そうした観点から わが国内外価格差を点検すると、今日でも高コスト体質は是正されず。とりわけ、公共工事に象徴される政府部門では是正が遅延。PFIや今後導入が見込まれる 市場化テストを駆使した行革断行は、国内コスト適正化のためにも焦眉の急。
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