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2006年03月14日

2005~06年度改訂見通し(10~12月期2次QE公表後)

息の長い景気回復トレンドをたどる公算
   内閣府が3月13日に公表した10~12月期2次QEによると、実質成長率は前期比年率+5.4%と、1次QEの同+5.5%からはほぼ変わらず。
 もっとも、需要項目別にみると、「法人企業統計季報」の内容を織り込んだことにより、設備投資が下方修正(実質値の前期比年率+1.4%、1次QEでは+7.2%)となった一方、在庫投資が上方修正(実質値の前期比年率寄与度+0.7%ポイント、1次QEでは+0.1%ポイント)。

 今回の成長率予測改訂における主なポイントは、以下の通り。
(イ)設備投資は、①都心部の大規模再開発案件による押し上げ効果が減衰してきているほか、②企業各社が事業拡大の手段として「対外直接投資」や「M&A」なども重要な選択肢と位置づけてきたなかで、拡大ペースが従来の拡大局面対比強まりにくい状況にある。
 しかし、(i)昨年終盤に各機関が実施したアンケート調査結果は、2005年度の設備投資伸び率が投資の裾野を広げながら2ケタに届く可能性を示唆していたこと、(ii)足元の企業収益は、売上増が原油高のマイナス影響を吸収する形で堅調が続いていること、などを勘案すれば、設備投資がこのまま減速感を強めていくとまでみるのは早計
 むしろ、1~3月期は息を吹き返す可能性が高いほか、需要の一部が2006年度にズレ込むことにより、2006年度における投資拡大の持続力が強まったと考える。
(ロ)在庫投資は、足元の原材料在庫増加額が1次QE段階で過小推計されていた模様。このため、2005年度成長率への寄与度をわずかに上方修正
こうした材料などをもとに需要項目ごとの修正を行ったものの、景気全体の先行きに関する基本的な見方や成長率の予測値は、1次QE後の予測(*)から変更なし。具体的には以下の通り。
 
(*)2月21日公表の前回予測値は、実質:05年度+3.3%→06年度+2.3%。名目:05年度+2.0%→06年度+2.1%。
(1) 以下の事情から、10~12月期並みの高成長が続く公算は小。

イ)企業は事業拡大の際に、①国内設備投資のみならず、②M&A、③海外向け投資なども選択肢に入れ、どれが最も資本効率の向上に貢献するか、との観点から決定する傾向を強めている。このため、国内設備投資の拡大テンポには振れが生じるほか、平均的なペースも従来の拡大局面からみれば相対的に緩やかなものに。

ロ)労働分配率の低位安定が図られるもとで、雇用・賃金の拡大ペースも緩やかに。このため、個人消費の一方的な加速は困難。

ハ)米国景気の小幅減速に伴い、足元で年率2ケタに達している輸出の増勢は徐々に鈍化へ。
(2) もっとも、【輸出増/設備投資増】→【収益増】→【雇用・賃金増/株価上昇】→【消費増】→【収益増】、の循環メカニズム自体は作動し続けており、景気は底堅さを増す方向。
 むしろ、企業の経営スタンスに慎重さが維持されていること、設備投資需要の一部が2006年度にズレ込む展開は、かえって景気回復の息を長くする方向に作用する見込み。
(3) さらに、株価がファンダメンタルズを反映する形で安定感を取り戻していけば、株高のプラス影響が定率減税縮小に伴う当面のマイナス影響を相殺する展開も期待可能。
(4) 結局、実質成長率(四半期ごとの前期比年率)は当面、1%台半ばと推定される潜在成長率並みか、それを上回って推移。2005年度全体では+3%台に乗せ(+3.3%)、2006年度全体も+2%台を確保する見通し(+2.3%)。
(5) なお、上記標準シナリオの攪乱要因として、①米国景気、②原油価格、③国内株価の動向には引き続き留意の要。
(6) また、3月9日の日銀による量的緩和解除については、日銀が超低水準の政策金利を当面維持すると表明していることなどから、2006年度内の景気に目立った影響を及ぼす公算は小。
 より長い視点からみれば、景気回復の広がり、インフレ基調の定着から、金融政策も緩やかな利上げ局面に向かい、企業収益にもマイナス影響が及ぶ可能性があるものの、企業部門全体でみた純金融費用の増加幅は、景気回復に伴う売上増の効果で吸収できる範囲にとどまる見通し。むしろ、より収益性の高い事業への経営資源シフトを促すことにより、持続的な生産性の向上、ひいては景気拡大の持続性を高める方向に作用するものと期待される。
  【2005~2006年度わが国経済成長率・物価見通し】
  (資料) 内閣府。予測は日本総合研究所。
(注) 予測の際、以下の4点を前提としている。
①米国景気は今春以降、住宅価格の騰勢鈍化などを背景に小幅減速(実質成長率は2005暦年+3.5%、06暦年+3.4%)。
②原油輸入価格(入着CIFベース、1バレルあたり)は、2005年度平均54ドル、06年度平均58ドル。
③日銀は2006年度下期に政策金利を0.25%に引き上げ。
④定率減税は2007年1月に全廃。

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