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2006年03月10日

量的緩和解除の金利・企業収益へのインパクト

【本レポートの問題意識】
   景気の持続的回復の展望が立ち、デフレからの脱却も実現されたとみられるなか、日銀は3月9日、量的緩和政策を解除。これを受けて次の焦点は、政策金利がどの時点からどういったペースで引き上げられていくのかに移っている。さらには、長期金利がどういった推移をたどるか、そして、その景気への影響をどうみるかが、政策運営上あるいは企業経営にとっても重要なテーマとなりつつある。

 そこで本レポートでは、「テイラールール」をもとにした場合の政策金利の水準、さらにはファンダメンタルズ要因から導き出される長期金利の推移について予測を行う。加えて、そうした金利体系を前提とした場合、企業収益にどういった影響が及ぶかを試算することで、政策運営および企業経営についてのインプリケーションを抽出する。


【本レポートの要旨】
1.  今後の政策金利(無担保コールO/N)について、①緩やかなペースでの景気回復、②CPIの小幅プラス基調を前提に推定すると、2006年中の利上げの有無にかかわらず、2008年にはほぼ1%まで引き上げる余地が生じる、との結果。
 足元1.6%の水準にある長期金利(10年債利回り)も、年平均0.3%ポイント程度の緩やかなペースで上昇し、2008年度末には2%台半ばへ。
2.  企業部門では、有利子負債の規模が「有利子金融資産」(金利変動が直接影響する現預金・長期貸付など。株式は除く)を上回る状況にあることから、金利が上昇した場合、直接的には純金融費用の増加を通じ、経常利益を押し下げ。
 もっとも、財務健全化に向けた努力により、企業部門の有利子負債は1990年代終盤以降減少。このため、上述のペースで長短金利が上昇する場合、企業部門全体でみた純金融費用の増加幅は、景気回復に伴う売上増の効果で吸収できる範囲にとどまる見通し。
3.  もっとも、有利子負債の削減ペースの違いを反映して、業種別、企業規模別に影響の出方は異なる。総じてみれば以下の通り。   
  • 業種別では、製造業よりも非製造業へのダメージが相対的に大きい。   
  • 規模別では、非製造業については明確な差異を確認できないものの、製造業、とくに加工分野については、中堅・中小への影響が幾分大きい。
4.  さらに、金利上昇が景気回復を伴わないケースでは、増収効果が純金融費用の増加を賄いきれず減益に転じる分野が、製造業、非製造業ともにいくつか発生する見込み。このケースについて、短期のリスクとして過度に警戒する必要はないものの、景気の成熟期には「金利高止まり・増収ペース減速」のパターンが生じやすいだけに、中期的なリスク要因として十分留意しておく必要。
5.  以上の分析のインプリケーションは以下の通り。
【政策面】金融政策については、実体経済の回復力に歩調をあわせた緩やかな利上げならば、金利上昇が景気の腰を折る可能性は小さい。ただし、景気が予想対比下振れする場合には、柔軟な政策対応姿勢も必要。
【経営面】当面景気回復による売上増が見込める間、財務体質がなお脆弱な企業はスリム化を進める好機ととらえるべき。また、健全な企業も安易な拡大路線をとるべきではなく、来たるべき減速局面でも耐えられるだけの健全な財務体質を維持していく必要。
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