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2006年02月21日

2005~06年度改訂見通し(10~12月期1次QE公表後)

10~12月期は年率+5.5%成長
(1)   10~12月期のわが国実質GDPは前期比+1.4%(年率換算+5.5%)と、成長ペースが7~9月期対比加速。前年同期比では+4.2%と、前年値が下振れたこと(*)の反動を含んではいるものの、比較可能な1995年以降で最大のプラス幅に。
 一方、名目成長率も前期比+0.9%(年率換算+3.5%)と、原油高などに伴うGDPデフレーターの下落が続くなかでも一定の伸びを確保。


(*)2004年10~12月期の実質GDP・前年比は+0.4%。暖冬・自然災害に伴う個人消費の下振れが生じたことから、同年7~9月期の+2.4%、翌年1~3月期の+1.4%に比べ低めの伸びとなっている。
(2)   10~12月期の高成長の背景としては、各種構造調整圧力が後退するもとで、【輸出の好調・設備投資の拡大→企業収益の堅調→雇用者報酬の持ち直し・株価の上昇基調持続→家計需要の拡大→企業収益を一層押し上げ】といった好循環が、原油高のマイナス影響を吸収する形で作動している、という点が大きい。
 加えて、10~12月期は、このところ短期的な振れが大きくなっている輸入の伸びがほぼ横ばいにとどまり、成長率の押し上げに作用。
(3) 主要需要項目、およびGDPデフレーターの動きは以下の通り。
イ)個人消費(実質:前期比+0.8%、年率換算+3.2%)
  好調に推移。雇用者所得の持ち直しが続くなか、国内株価のハイピッチな上昇が家計の支出意欲を刺激した模様。戦後最大の寒波の影響も、12月までの段階では、防寒衣料や暖房器具の購入を促す形で消費・景気に対しプラスに作用。
ただし、商品別の売れ行きには、依然としてバラツキが存在。たとえば、「高額品」市場では、薄型テレビやブランド品が好調に推移した一方、乗用車が7~9月期に続き不調。

ロ)住宅投資(実質:前期比+1.9%、年率換算+7.6%)
  2期連続の前期比プラス。投資マネーの不動産市場への流入を背景とした、賃貸住宅建設の活発化が全体を押し上げ。もっとも、一戸建ての減少傾向が続いているほか、12月の着工統計では賃貸・分譲の増勢にも一服感。耐震強度偽装問題の影響も勘案すれば、1~3月期以降はやや慎重な動きとなる可能性。

ハ)設備投資(実質:前期比+1.7%、年率換算+7.2%)
 底堅く推移(前期比プラスは7期連続)。都心部の大規模再開発案件による押し上げ効果が減衰しているものの、①製造業による製品高度化・成長市場参入に向けた投資、②電力業による送配電設備の更新、③通信業による光ファイバー網の整備、④金融機関によるIT投資の拡大など、幅広い分野で投資を増やす動き。

ニ)公共投資(実質:前期比▲1.7%、年率換算▲6.6%)
  2005年度上期は災害復旧事業などで一時的に下げ止まっていたが、下期に入り再び減勢が明確に。

ホ)純輸出 (実質前期比寄与度:+0.6%ポイント、年率寄与度:+2.3%ポイント)
  輸出は、3期連続の年率2ケタ増(前期比+3.1%、年率換算+13.0%)。アジア(除く中国)向け資本財の動きにやや弱さがみられたものの、中国向けや産油国・資源国向けの増勢が続いていることに加え、7~9月期に弱含んだ米国向け自動車が急回復。
  一方、輸入は、2003年4~6月期以来の前期比マイナス(▲1.3%、年率換算▲5.1%)。
基本的には、①内需回復、②国際分業体制の本格稼動を背景とした拡大基調にあるものの、10~12月期は7~9月期における航空機・パソコンの大幅増の反動が生じ、全体を大きく押し下げ(7~9月期の実質輸入は前期比+3.2%、年率換算+13.5%)。ちなみに、2005年後半(7~12月)に均してみれば年率+7.4%と、前半の同+4.5%から加速する姿に。
  以上のもとで、純輸出の成長率寄与度は、比較可能な1994年以降で最大のプラス幅に。

ヘ)GDPデフレーター(前年同期比▲1.6%)
 前年比マイナス幅が7~9月期対比0.25%ポイント拡大。主因は、①原油価格の高止まり(輸入デフレーターの前年比プラス幅は1997年1~3月期以来の2ケタに:+13.3%)、   ②生鮮食品価格の大幅下落(消費デフレーター低下、04年の野菜高騰の反動などが背景)、③価格下落が続くデジタル家電への支出ウエイト上昇(消費デフレーター低下)、の3点。
慎重さを残しつつ、息の長い回復トレンドをたどる公算
(1) 先行きを展望すると、米国景気が小幅減速に向かう公算が大きいほか、企業部門のマネーフローに構造的な変化が生じているもとで、10~12月期並みの高成長が続く公算は小。
イ)「財務健全性の維持」「株主還元策の充実」に対する意識を強めるなか、企業は、①国内設備投資のみならず、②M&A、③海外向け投資など他の手段も選択肢に入れ、どれが最も「資本効率の向上」に寄与するか、という観点から決定する傾向を強めている。この結果、過去の局面と比べれば、設備投資の拡大テンポは相対的に緩やかに。
ロ)今年の春闘では基本給アップが焦点となっているものの、①株主主権の強まり、②競争力維持・強化の必要性などから、経営側は総じて労働分配率の引き上げに慎重。マクロベースでみた雇用・賃金の拡大ペースは従来対比緩やかなものに。
ハ)米国景気が今春以降、小幅ながらも減速に向かうとみられるもとで、足元で年率2ケタに達している輸出の増勢は徐々に鈍化していく見通し。
(2) もっとも、【輸出増/設備投資増】→【収益増】→【雇用・賃金増/株価上昇】→【消費増】→【収益増】、の好循環が徐々に強まる方向。
むしろ、企業の経営スタンスに慎重さが維持されていることや、昨年終盤から明確化してきているデフレ色の後退が、かえって景気回復の息を長くする方向に作用する公算。
 加えて、家計消費と国内株価との連動性・感応度が強まるなか、株価がファンダメンタルズを反映する形で安定感を取り戻していけば、家計消費が雇用・賃金の改善ペースを上回る形で拡大を続け、年初からの定率減税縮小に伴うマイナス影響を相殺する展開も期待可能。
(3) 結局、実質成長率は当面、1%台半ばとみられる潜在成長率並みか、これをやや上回って推移し、2005年度全体では3%台に乗せる公算。2006年度も2%台を確保する見通し。
(4) なお、以上の標準シナリオに対する主な攪乱要因は、①米国景気、②原油価格、③国内株価、の3点。とりわけ目先は、やや軟化している国内株価の動きに要注意。景気の上振れ要因・下振れ要因のどちらにもなり得よう。
  わが国経済成長率見通し
  (資料) 内閣府。予測は日本総研。
(注) 予測の際、以下の4点を前提としている。
①米国景気は今春以降、住宅価格の騰勢鈍化などを背景に小幅減速(実質成長率は2005暦年+3.5%、06暦年+3.3%)。
②原油輸入価格(入着CIFベース、1バレルあたり)は、2005年度平均54ドル、06年度平均58ドル(04年度実績:38.7ドル)。
③日銀の量的緩和政策は2006年4月に解除。
④定率減税は2007年1月に全廃

ちなみに、7~9月期2次QE公表後の前回予測値(2005年12月)は、2005年度:実質+2.8%・名目+1.6 %、2006年度:実質+2.1%・名目+1.9%。今回上方修正した主な要因は、①資産効果の強まりを反映する形での個人消費のベースライン修正、②純 輸出の足元修正、の2点。
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