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2006年01月13日

消費税率引き上げの影響を考える ~過去の局面・海外事例からのインプリケーション~

要旨
1. 本レポートでは、消費税率引上げの景気面への影響について、過去の経験や海外の動向を踏まえて考察するとともに、望ましい税率引き上げのあり方について提言。
2. 消費税率が引き上げられた際の家計部門への影響を試算すると、消費税率1%ポイントの引上げは、消費者物価を0.9%押し上げ。これに伴う実質所得の減少により、初年度の実質個人消費は0.6%、実質GDPは0.4%、それぞれ下押しされる。世帯あたりの負担増についてみると、年収下位20%の世帯(平均年収347万円)では月あたり 2,000円、年収上位20%の世帯(平均年収1,234万円)では同4,000円。
3. もっとも、現実の影響は、税率引上げの方法や実施時の経済情勢により異なる。過去の経験を振り返ってみると、1989年度には、物品税の廃止により実質所得の減少が小幅にとどまり影響は小さかった。これに対し、1997年度には、特別減税の打ち切り(2兆円)、年金・医療保険改革(1.5兆円)が所得下押しに拍車をかけるなか、年金不安の高まり等から消費者マインドが悪化し、消費が大きく低迷。
4. 海外諸国の動向に目を転じると、わが国の消費税率は、OECD諸国の中で実効税率ベースでみて米国に次いで低い。消費税率引き上げの際は、所得税減税などと組み合わせて税収中立とした例が多いものの、ネット増税となった独仏の例に注目すると、景気拡大期と後退局面では増税の影響の出方に大きな違い。
5. 以上からは、消費税増税に伴う景気への影響が、①景気局面の違いによる所得増加ペースと負担のバランス、②増税に対する家計の納得感の度合いにより異なることがあらためて示唆される。このため、引上げに際し、①足元の景気情勢に応じてある程度柔軟に対応できる枠組みを作っておくこと、②漸進的に実施し、需要の大幅な変動を抑制すること、が重要。また、①徹底した歳出リストラを通じた財政健全化の道筋を提示すること、②社会保障制度改革により、持続可能な制度への信頼感構築を進めること、が増税実施の必要条件。
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