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イノベーションの原動力を育てる

2014年09月16日 村上芽


 イノベーション創出のために、「どのような素養が必要なのか」、あるいは、「素養を育てるためにはどのような手法が有効なのか」といったことへの関心が高まっている。大学院レベルでは、世界的にイノベーション創出プログラムに取り組む研究機関が目立ち、日本総研でも現在、各大学や公的研究機関と連携して教育プログラム開発に取り組んでいる。

 このような社会からの関心に対し、日本の子どもはどのような状況にあるか。OECDによるPISA(学習到達度調査)から分かる15歳児の学力をみると、最新(2012年)の日本の結果は3項目の平均点で過去最高、OECD加盟34か国では読解力1位、科学的リテラシー1位、数学的リテラシー2位という好結果が出ている。

 しかし、小学校から高校までの子どもに関する諸データからは、楽観的にはなれない状況が見えてくる。例えば、日本の高校生は、「自分の参加により、変えてほしい社会現象が少し変えられるかもしれない」と考える割合が、韓国・中国・米国と比較して半分の約3割にとどまっているとする調査結果が出ている(※1)。また、日本の子どもはネガティブに自己評価する割合が24か国中最も高い(※2)であるとか、いじめに対する傍観者が日本では一貫して増加している(英、蘭との比較)(※3)などの調査もある。

 これらから、日本の子どもは、「勉強はできる」ものの、自信がなく、社会的な課題に対して積極的な関心を持っていないと言えるのではないか。イノベーション創出に関する諸研究が、子ども時代に育まれる自己肯定感や目的意識の重要性を説いていることと照らせば、日本の子ども全体で見ればその原動力に欠けていることになる。これは、近い将来の日本の活力にとってもマイナスであるし、将来の社会で生きていかないといけない子ども自身にとっても不利益だろう。

 そこで、日本総研では、「自信を持ち、社会に対して『何か変えよう』という思いを持つ子ども」を増やそうという観点から、国内の現状把握や諸外国との比較等を行い、日本で子どもが育つシステムのどこに課題があるのか、どのような解決策があり得るのかを検討する計画である。解決策の検討にあたっては、子どもに最も近いおとなである親の労働環境、特に女性活躍支援との整合や、地域活性化との相乗効果といった点にも注目していきたい。

(※1)財団法人日本青少年研究所(2009)「中学生・高校生の生活と意識 日本・アメリカ・中国・韓国の比較」
(※2)ユニセフイノチェンティ研究所(2007)「イノチェンティレポートカード」
(※3)国立教育政策研究所/文部科学省(2006)「平成17年度教育改革国際シンポジウム報告書」


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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