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《2010~11年度見通し》
関西経済展望
~不況のなか、アンカー役を果たす関西経済~

2010年12月16日

【要 約】

(1)関西経済は2010年夏場頃に踊り場局面入り。内需の牽引力が乏しいなか、輸出が頭打ち。
①企業部門はリーマンショックを契機として設備投資、企業収益の面で水準の下方シフトが発生。円高傾向のもとで国内の設備投資は盛り上がりを欠く展開。企業収益も損益分岐点比率が依然として高く、リストラの手を緩められない状況。
②家計部門は所得・雇用環境の改善ペースが緩慢。製造業を中心にリーマンショック前と比べて所定外労働時間が短くなっており、売り上げ増加には所定外労働の増加で対応可能な環境。
③輸出は2010年初め頃から頭打ちに。主因は海外における景気対策効果の一巡。
④以上を背景に生産活動が夏ごろから弱含みに。

関西経済を全国と比較すると、経済指標面では関西が平均を若干上回る。

(2)関西経済を取り巻く環境を展望すると、欧米経済は、2011年にかけて成長率が鈍化するとみられる。新興国は比較的高い成長を続けるものの、当面は相手国における景気対策効果の一巡などを受け、輸出の伸び悩みが続く可能性。
国内的にはエコカー補助金、家電エコポイント・地デジ切り替えの反動が予想される。一方で、2010年の秋以降に打ち出された景気対策の効果は限定的。
全国ベースで3%を超える需給ギャップが残存するため、デフレが長期化。

以上の状況下、2011年度の焦点は、関西がどれだけアジアの成長を取り込めるか。

(3)関西の貿易構造を分析すると、関東、中部とは相違。貿易取引の増加に伴って黒字が増えやすい体質。
①関東
すでに2001年から貿易赤字(通関ベース)。電気機械、科学光学機器などで競争力を落とし、原油高騰の影響を相殺できない状況。
②中部
他地域と比べて大幅な黒字を維持。ただし、品目別には輸送機械に大きく依存。
③関西
安定した黒字を確保。品目別にも偏りの少ない黒字構成。電気機械、科学光学機器に加えて一般機械、素材産業も健闘。

なお、貿易額でウェイト付けした名目実効為替レートはこれまでのところ全国平均とほぼ同様の動きで、関西だけが円高の影響を強く受けるわけではない。

(4)関西の鉱工業生産も底堅い。政策の押し上げ効果が最も働きやすい耐久消費財のみならず、非耐久消費財、投資財も依然増加傾向。中間財が弱含んでいるものの、在庫積み上がりの規模は小さく、輸出の回復とともに増加に転じる可能性。

テレビの生産は関西に大きく偏っているわけではなく、反動の影響も全国並みと想定可能。

(5)以上を踏まえれば、関西経済は、輸出の頭打ち、政策の押し上げ効果の反動、内需の自律回復力の弱さを受け、全国と同様、当面は停滞色の強い状況に陥る公算が大ながら、他の地域と比べて底堅い展開となろう。また、年度後半には新興国向け輸出の増加に伴って、他地域に先駆けて景気が回復に向かうとみられる。2011年度の実質成長率は全国の0.3%に対して関西は0.9%になる見通し。

(6)長期的には、経済が成長しても雇用が伸びない構造を打開する必要。そのためには、研究開発投資や起業支援に加えて外資誘致を実施すべき。

本件に関するお問い合わせ先

調査部 関西経済研究センター 廣瀬、西浦
TEL : 06-6479-5753、5750
E-mail : hirose.shigeo@jri.co.jpnishiura.mizuho@jri.co.jp

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